シェイクスピア・バースプレイス・トラスト
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1950-60年代のシェイクスピアの生家。現在正面の道路は歩行者専用で、向こう側の家は取り壊されている。

シェイクスピア・バースプレイス・トラスト (英語: Shakespeare Birthplace Trust、略称SBT)は、イングランドウォリックシャーストラトフォード・アポン・エイヴォンを拠点とした公認の民営教育チャリティ団体である[1]。1847年にウィリアム・シェイクスピアの出生地を保護のため国定記念館として買収したことを受けて組織された[2]。イギリスで最も古い保護団体といわれている[3]。財政援助や公的助成金を受けておらず、一般の人々からの援助や寄付金、観光客からの収入に頼っている[2]

シェイクスピア・バースプレイス・トラストは世界で最も大きなシェイクスピアチャリティ団体であると考えられており、シェイクスピアに関する演劇やその他の業績の研究、正しい認知を世界的に促進させ、シェイクスピアの知識を一般的に高めようとしている。トラストは、シェイクスピアの生家の地所や博物館、図書、原稿、歴史的関心が寄せられている記録類、絵画や写真、シェイクスピアの人生や時代に特に関係する骨董品からなる図書館を保存・管理している[4]。そして、トラストは国際シェイクスピア協会の本拠にもなっている[2]
トラストの起源

バードが死んでから200年以上ものあいだ、シェイクスピアの生家は少し前に寡婦になった妹のジョーン・ハートの子孫によって使用されていた。シェイクスピアの遺言のもと、すべての所有権(宿屋とジョーン・ハートのコテージ)は、シェイクスピアの上の娘のスザンナが所有することとなった。1649年にスザンナが亡くなり、その所有権はスザンナの唯一の子供であるエリザベスにわたった。1670年にエリザベスが亡くなると、所有権はトーマス・ハートに遺贈された。トーマス・ハートとは、シェイクスピアの妹ジョーンの子孫であり、ハートの家族は1646年に彼女が亡くなった後はコテージを借りて生活をしていた。ハート家は1806年まですべての土地の所有権を有していたが、その年に肉屋のトーマス・コートに売った[5]。1846年にコートの寡婦が死亡したときにその土地は再び売りに出され[3]、アメリカの興業師であるP・T・バーナムはその家を買い取り、アメリカに「一つ一つ」船で運ぶと申し出た。国のためにこの土地を買うことで生家保存委員会が組織され、チャールズ・ディケンズのような優れた業績を挙げた人たちの援助により委員会は3,000ポンドを集め、翌年にその家を買い取った[6]。生家保存員会は議会制定法によって法人組織化され、シェイクスピア・バースプレイス・トラストとなった[5]
所有・管理している建物シェイクスピアの家への観光客用の入り口は、隣接したシェイクスピア・センター(1964年開館)から入ることができる。

シェイクスピア・バースプレイス・トラストの本拠はシェイクスピア・センターであり、バースプレイスの隣にはガラスやコンクリートの建物がある。世界中の学者をひきつけるライブラリーや資料、コレクションを正しく保管することを目的として1964年に開館したシェイクスピア・センターの立役者には、1945年から1989年までトラストのディレクターでありOBEであるレヴィ・フォックス博士がいた[3]

現在トラストはハーバード・ハウスのようなストラトフォード・アポン・エイヴォンの町やその周辺にあるシェイクスピアに関連する数多くの家を所有し、管理している[7]

シェイクスピアの生家
ウィリアム・シェイクスピアが生まれ、子供時代を過ごした家。生家は現在、ジョン・シェイクスピアが仕事のために使っていた皮手袋を作る作業場や、家庭の備付家具など、シェイクスピアの時代の家庭の生活を再現している[5]。他の展示物は、所有権の変遷や、家、作業場、宿屋、肉屋の店、文学的な聖地や観光名所のような生家の役割(シェイクスピアの時代以降からの変遷を含む)を説明している[8]

ホールズ・クロフト
ホールズ・クロフトは、シェイクスピアの娘のスザンナとその夫のジョン・ホールが1613年から1616年頃に使っていた家であるといわれている。現在そこには16-17世紀の絵画や家具、ホール医師とその時代のよく知られていない医療業務についてのコレクションが収容されている。シェイクスピア・バースプレイス・トラストは現在ホールズ・クロフトの大規模な保全修復活動を行っており、一般公開もされている。[9]


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