ザ・ワールド・イズ・マイン
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この項目では、漫画について説明しています。STANCE PUNKSのアルバムについては「ザ・ワールド・イズ・マイン (STANCE PUNKSのアルバム)」を、その他の用法については「ワールドイズマイン」をご覧ください。

ザ・ワールド・イズ・マイン
ジャンル青年漫画
漫画:ザ・ワールド・イズ・マイン
作者新井英樹
出版社小学館
掲載誌週刊ヤングサンデー
発表期間1997年 - 2001年
巻数14冊
漫画:真説 ザ・ワールド・イズ・マイン
作者新井英樹
出版社エンターブレイン
巻数5冊
テンプレート - ノート

『ザ・ワールド・イズ・マイン』(The World Is Mine)は、新井英樹の漫画作品。週刊ヤングサンデー1997年?2001年まで連載された。略称TWIM。

小学館から単行本全14巻(B6版)が発売されたが、すぐに絶版になった。2006年エンターブレインから、ストーリー変更はないが大幅に加筆・修正・著者インタビューを追加した豪華版『真説 ザ・ワールド・イズ・マイン』全5巻(B6版)が出版された。この復刻版は発売3日目にして増刷り決定、2ヶ月で5刷という売れ行きを見せた。2010年3月にエンターブレインから、豪華版を元に本編内容のみを一部抜粋収録した廉価版(いわゆるコンビニ本)『ザ・ワールド・イズ・マイン』鬼神生誕編、世界崩壊編の全2巻(B6版)が発売された。
概要

「週刊ヤングサンデー」に同時期に連載された『殺し屋1』とともにカルト的な人気を持つ異色の漫画である。とくに理由もなく殺人を重ねる「モンちゃん」と「トシ」、正体不明の巨大生物「ヒグマドン」が起こす騒動に関わる人々の群像劇。作中ではインターネットが重要な役割を果たしたり、9.11以前に同時多発テロを描くなど、時代に先駆けた描写が多数存在する。

タイトルは映画『スカーフェイス』の劇中に登場する「The World is Yours(世界はあなたのもの)」の文字から引用された。

その過激な暴力描写とストーリー性から話題を呼び呉智英岩井俊二松尾スズキ庵野秀明宮崎哲弥高橋源一郎樋口真嗣といった著名人から絶賛された。
あらすじ

東京都内各所で消火器爆弾を設置するモンちゃんとトシの二人組(通称トシモン)は、これといった理由もなく北海道を目指す。その道中、青森県で成り行きから連続爆破、警察署襲撃、殺人代行といった日本全土を震撼させる無差別テロを開始する。それは総理大臣までも舞台へと引きずり出す大きな勢いとなる。時期を同じくして、北海道から津軽海峡を渡ったといわれる謎の巨大生物、ヒグマドンが出現し、人々を惨殺しながら東北を南下していった。「鉄人」とも呼ばれる熊撃ちの老人と、新聞記者がそれを追いかける。そして遂に3つの点が秋田県大館市で遭遇する。ここで初めてヒグマドンの全貌が明かされ、物語はアメリカ大統領すら巻き込み、全世界レベルで進行していく。

大館市内を通り過ぎた後も南下を続けるヒグマドンは、自衛隊による捕獲が決定され、宮城県仙台市で捕獲の末仮死状態にされる。その後太平洋を海上輸送されたが途中で突如巨大化。そのスピードは止まることを知らず、水爆が撃ち込まれたことでようやく成長が止まった。

トシモンは大館市を脱出するが、モンちゃんが秋田市内で銃を乱射、警察と銃撃戦を繰り広げる。やがて秋田県内の山中へと逃走の末、トシだけが逮捕される。一方、モンちゃんは国内の支持者を使って関東同時多発テロを引き起こし、その後に海外に脱出して世界のテロリストのカリスマとなった。

こうして世界は殺伐としたまま、今までと変わらず続いていくと思われたが…。
登場人物
モンちゃん(モン)
正体不明の謎の男。本名不明。自分の過去を全く語ろうとせず、会話もごく簡単な言葉しか発しない。殴る・殺す・犯す・盗むといった、犯罪行為を平然と行なう。本名は物語の最後まで明らかにされる事は無く、トシが命名した『モン』が劇中での彼の仮の名前となっている(
梶井基次郎の『檸檬』に因む)。「命は平等に価値がない」と言い、特に理由もなく殺人を繰り返すが、青森西警察署から雪山に逃亡する最中にヒグマドンと遭遇。その圧倒的な巨体と暴力の前に、全身を引き裂かれて死亡するという幻覚を見て以降、殺人を含め他人を傷付ける事でその痛みが自分のものであるかの様に感じるようになる。「チカラ」そのものであったモンの弱体化は、彼に付き従っていたトシの精神を増長させ、今度は積極的にトシが殺人を犯し始める。その後、秋田県大館市でヒグマドンと再会。一度は自分を殺した存在に強く恐怖するが、飯島猛との僅かな邂逅を経て、呪縛を振り解き覚醒。大館の街を跡形も無く破壊する怪物に対して、拳のみで立ち向かう。劇中終盤、星野の取材でモンの正体はネグレクトされた子供であり、それ故に両親や社会から学ぶ筈だった道徳・倫理や、神に対する感謝・畏敬を欠いたまま成長してしまった存在である事が明らかになる。
トシ
モンの相棒。本名は三隅俊也。彼と出逢う前までは、大阪の浪速台郵便局に勤務する大人しく真面目な青年であった。小中高と優秀な成績を修めていたにも関わらず、仕事にも私生活にも諦めたかの様に多くを望まない彼は、空虚な毎日を繰り返していた。しかしその一方で、人知れず消火器爆弾を作り続けていた。月に一度、爆弾を背負ったまま大阪の街をサイクリングする「檸檬の日」と、謎の人物「マリア」とのチャットを通して、次第に「チカラ」を行使したい欲求に駆られてゆく。マリアに拒絶されたトシは、運命に惑う様にモンと出逢う。これまでの「チカラ」に憧れていた無味乾燥な日々は終わりを告げ、「チカラ」を意のままに行使できる日々が始まる。だが、それは自分の手で命を奪う事の無い、実感の薄いものであった。東京から北海道へ爆弾をセットする旅の中で、単なる追随者に過ぎなかった彼は、遂に自らの手で初めて殺人を犯す。そして、秋田県大館市花沢町のサカタ電気商会で自分の母親が「殺人鬼の母親」として糾弾され自殺した事を知ると、これまでのオドオドとした顔付きから激変。殺人鬼然とした顔付きへと変貌を遂げる。ヒグマドンとの邂逅によって赤子の様に弱体化したモンに代わり、残虐行為に手を染めていく。「チカラさえあれば何をしても良い」という幻想を打ち砕くかの様に、自らが手に掛けてきた被害者の遺族によって、生きたまま全身をメッタ刺しにされ、果ては足を切断されるという凄惨な最期を迎える。


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