ザ・コーヴ
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ザ・コーヴ
The Cove
監督
ルイ・シホヨス
脚本マーク・モンロー
製作フィッシャー・スティーヴンス
ポーラ・デュプレ・ペスマン
製作総指揮ジム・クラーク
出演者リック・オバリー
音楽J・ラルフ
編集ジェフリー・リックマン
配給 ライオンズゲート
アンプラグド
公開 2009年7月31日
2010年7月3日
上映時間91分
製作国 アメリカ合衆国
言語英語
興行収入$1,162,422[1]
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『ザ・コーヴ』(The Cove)は、2009年に公開されたアメリカ合衆国ドキュメンタリー映画。監督はルイ・シホヨスが手掛けた。和歌山県太地町で行われているイルカ追い込み漁を描いている。イルカ漁について批判する目的で制作され、実際に西洋において日本に対する反イルカ漁の動きを強化した[2]。コーヴ(cove)は入り江の意。イルカ漁が行われている入り江を指している。PG-12指定。2009年のサンダンス映画祭で観客賞、2009年度第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞受賞作品。2015年、この映画に反論する立場から『ビハインド・ザ・コーヴ ?捕鯨問題の謎に迫る? (洋題:Behind "THE COVE") 』という作品も制作されている(後述)。
キャスト以下のキャストは全員本人役として出演している。

ルイ・シホヨス(監督)

リック・オバリー(主演)

チャールズ・ハンブルトン

ジョー・チズルム

サイモン・ハッチンズ

C.スコット・ベイカー

ハンナ・フレイザー[3]

デイブ・ラストビッチ[3]

イザベル・ルーカス

ヘイデン・パネッティーア

ミュージック

英雄夢語り (ヒーローズ)デヴィッド・ボウイ
関連

映画の製作にはシリコングラフィックス社やネットスケープ社を創設したジム・クラークが500万ドルの資金を提供しており[4]、「日本のイルカを救いましょう」と「アース・アイランド・インスティテュート(en)」という団体も製作を支援した[5]。また、アメリカ政府[6]と日本政府[7]からエコテロリストと名指しされたことのある反捕鯨団体シーシェパードは、太地町のイルカ漁を撮影した最も優れた映像に1万ドル、1分間の撮影画像につき500ドル、1枚の写真につき250ドルの懸賞金をかけるなどの活動を行ったが[8]、ザ・コーヴの製作サイドはこの件に関して映画との関係を否定した[9]。シーシェパード代表ポール・ワトソンによると、映画制作の障壁とならないようにシーシェパードの顧問会議からあらかじめオバリーを除名したという[10]。また、ワトソンはコメンテーターとして映画に出演した[8][11][12]

本作は2009年サンダンス映画祭で観客賞、2009年度第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞など数々の賞を受けた。

2010年7月6日、「ザ・コーヴ」に出演した北海道医療大学の遠藤哲也准教授は、反捕鯨運動に使われるとは思わなかったとして、配給会社に対し、映画館などに貸し出されているフィルムを回収した上で、インタビュー部分を削除すること、および、名誉を傷つけられたことについて1100万円の損害賠償を求めて、大阪地方裁判所に提訴した[13]

イルカ漁は日本だけでなくオセアニアソロモン諸島、デンマーク領のフェロー諸島などでも行われているが、2010年4月、ソロモン諸島の部族はSave Japan Dolphinsのメンバーやオバリーと会見し、イルカ漁を中止した。ソロモン諸島はイルカを食用とする他に、イルカの歯を装飾具として利用したり、マライタ島では通貨として使用するなど400年にも続く伝統的なイルカ漁の文化を持つ[14]。オバリーはこれらの現地を訪問し、繰り返し住民にイルカ肉の水銀汚染について訴えてきた[15]。しかし、オバリーらは漁への補償金を満足に支払えず、2013年に漁は再開された[16]
製作手法

撮影は「捕鯨発祥の地」とされ毎年9月にイルカ漁が開始される和歌山県太地町の漁港を中心として行われた。太地町は世界中のイルカ好きから「アウシュビッツ」と認識されるようになった[17]との見方もあるが、日本では2009年度時点で岩手県の突き棒漁を中心に年間10,000頭のイルカが捕獲されており、太地町だけでイルカ漁が行われているわけではない(2009年度の太地町のイルカ追い込み漁では1,242頭を捕獲)[18]

本編にはニカラグアで排泄物の溜まったプールにいるイルカを軍の助けを得て海に解放するなど太地町以外で活動する場面もみられる。オバリーが映画内でイルカを捕らえた網を切るシーンは、太地で撮影されたものではなく、ハイチで違法に捕られたイルカの網を切った場面であるとオバリー自身がコメントしている[19]

2010年7月6日放送のNHKクローズアップ現代 映画「ザ・コーヴ」問われる“表現”』は編集の仕方に問題があるのではないかと指摘した[20]。番組内では女性ダイバーが入り江でイルカが殺されるシーンを目撃して泣き、その後目撃したイルカ漁の残虐さを涙ながらに語るというシーンを挙げ、また、本編の中でインタビューに答えた水産庁の所管が解雇されたという情報は誤りであるとの指摘を挙げ、これについてシホヨス監督はNHKの取材に対し、2007年に飛行機の中で中前明水産庁次長と偶然に出会ったときに課長補佐が解雇されたと聞いたと述べているが、中前はNHKの取材に対してそのようなことはなかったと明確に否定している[20]

映画ではリック・オバリーが「太地町民が可能であれば私を殺害するであろう。大袈裟ではない。」と述べたり[21]、「イルカ虐殺を隠すために立入禁止としている」としている。また、警察官の質問に対して出演者が事情を述べるシーンが何度も映し出される。太地町民が出演者らに稚拙な英語で立ち去るように述べると、その町民が知っている唯一の英単語であるなどとして、町民が発音した英単語をその町民の識別名として嘲笑した。更には、映画本編エンディング・クレジットにおいて、「映画撮影後には、識別名を付けられた町民が役職を解任された」などと述べていたり、 また、本編開始からまもなく、マグロ築地市場に運ばれてから解体されるまでの映像を鮮明な画像で映すなど、観客の興味を引き立たせる場面が度々登場する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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