ザビ家
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ガンダムシリーズ

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ザビ家(ザビけ、Zabi Family)は、「ガンダムシリーズ」のうち、アニメ機動戦士ガンダム』にはじまる宇宙世紀を舞台にした作品に登場する、架空の人物の一族。『ガンダム』劇中の主人公が属する地球連邦軍の敵対勢力である、ジオン公国の中枢を担う一族である。
設定の経緯

『機動戦士ガンダム』の企画初期段階「フリーダム・ファイター」においては、敵は「ジオン帝国」という異星人の全体主義国家という設定だった。その後、企画は「ガンボーイ」を経て「ガンボイ」へ改められ、ここで本作とほぼ同様に人工都市衛星の1つが「ジオン公国」を称するという形になる。「ザビ」という家名が出てくるのもこのあたりで、デギンに相当する「ギムロ・ソド・ザビ」や、ギレンに相当する「ガムロ・ザビ」といった名前が現れる。

企画が『機動戦士ガンダム』として確立するあたりでデギンとその子供たちの設定が出そろうが、この段階では「ミハル・ザビ」という17歳の末娘がいるとされている。ミハルの設定は、ガルマ葬儀の回のコンテをもって最終的に没となったが、実際の作中では同じファーストネームを持つミハル・ラトキエという少女が、ジオンのスパイという設定で登場している。

なお、シオニズムならぬジオニズムを信奉するザビ家の名は、イスラエルモーシェ・ダヤン将軍の片腕レバハン・ゼビからの発想であろうと平岡正明は推測している[1]
ザビ家直系の人物

通常は劇中に登場した以下の7人を指す。
デギン・ソド・ザビ
Degwin Sodo Zabi

声:永井一郎(テレビ版)/ 藤本譲(劇場版I)/ 柴田秀勝(劇場版III・特別版) / 浦山迅THE ORIGIN) / 松山鷹志ガンダムさん

ジオン公国公王。年齢は62歳で身長は170cm[2]ジオン・ズム・ダイクンの死後、ジオン共和国に公王制を敷くが、『機動戦士ガンダム』劇中の時点では実質的に隠居状態にある。政治的には穏健派の立場を取り、急進的なギレンと対立する。座乗艦はグワジン級戦艦グレート・デギン

ギレン(長男)、キシリア(長女)、サスロ(次男)、ドズル(三男)、ガルマ(四男)の5人の子をもうける(テレビ版の初期設定ではミハルという次女もいた[注 1][3][4]。妻はナルスだが、子の母親に関しては諸説ある[5])。

かつてはダイクンと盟友関係にあり、宇宙世紀0058年のジオン共和国宣言時には地球連邦軍駐留部隊の切り崩しに尽力したほか、連邦軍への対抗から共和国宣言時に成立したジオン国防隊を0062年にジオン共和国軍に昇格させ、軍事力の強化に努めた。デギンの軍事拡張路線はダイクンにとって認め難いことだったが、連邦へ対抗するために容認せざるを得なかった(一方、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、連邦政府との軍事衝突も辞さない強硬姿勢をとっていたのはダイクンの方であり、デギンは非戦派だったとされる)。

0067年に連邦政府のコロニー自治権整備法案が廃案となると両者の対立はより強くなるが、0068年にダイクンは急死する。これはデギンによる暗殺であったと、シャアを含めた複数のキャラクターが推測を述べるが、劇中では明らかにされることはなかった。しかし“推測”を物語る一例として、展覧会『富野由悠季の世界』におけるアニメ『機動戦士ガンダム』展示区画では「ザビ家が暗殺した」と解説されている[6]。またアニメーション『ファーストガンダム』そのもの、として富野が著した[7]小説『密会?アムロとララァ』では、デギンがダイクンを殺害したことが明言されている[8]。(『THE ORIGIN』では、ザビ家暗殺説はジンバ・ラルが主張するのみでやはり明確な証拠はない。しかし、ザビ家側はマスコミを牛耳るサスロにより、プロパガンダによってダイクンの不審死を連邦による暗殺に仕立て上げている)。ジオン共和国初代首相だった病床のダイクンにより次期首相に指名されて2代目首相となると、その後はダイクン派(旧ジオン派)を粛清して全権を掌握し、0069年8月15日には公国宣言を経てジオン公国初代公王に就任した。しかし、妻ナルスがガルマを出産した際に死亡したことにより精神的な支えを失い、さらには次男サスロも暗殺されたことから、徐々に憔悴していく。また、ダイクンを打倒して頂点に立ったことで功成り名を遂げた後の虚無感に襲われるようになり、全権を子供たちに譲り政治的に隠居した状態となる。政治の表舞台から身を引く一方、ギニアス・サハリン技術少将の提案したアプサラス計画を裁可して人員と予算を与えるなど、政治や軍事から完全に引退したわけではないとされる[9]

0079年1月3日、ジオン独立戦争(一年戦争)が始まるが、デギンにとってこの戦争の目的はあくまでジオン公国を地球連邦と対等な関係の、完全な独立国家としての主権を連邦に認めさせることにあった。ギレンは当初これを認めていたものの、後に完全に地球連邦を征服したうえでの、選ばれた優良種たるジオン国民による全人類の管理・運営を目的とするようになった。そのため、ギレンにとってデギンは次第に邪魔な存在になっていく。『THE ORIGIN』ではデギンは戦争による膨大な犠牲や連邦とジオンの国力差を懸念し、開戦前より強硬に戦争に反対している。またルウム戦役で座乗艦のグワジン(当時はグレート・デギンと呼ばれていない)を前面に突出させたギレンに対してキシリアが異論を挟んでおり、この頃からすでに隙あらばデギンを亡き者にしようという意図があったことを暗示している。なお『THE ORIGIN』アニメ版では座乗艦は当初からグレート・デギンと呼ばれ、その艦名は連邦軍にも知られている。

『THE ORIGIN』では、ルウム戦役で捕虜となったレビルと面会し、早期和平の提案を持ちかけている。そのレビルが帰還後に「ジオンに兵なし」の演説で戦争継続の声明を出したため、恩を仇で返されたことに激しく憤っている。その憤怒は演説の中継を映すモニタのリモコンを叩き壊し、さらに年を取ってからできた子で「軍人にすべきではなかった」とまで思っていたガルマに、「徹底的に連邦を叩け」と発言するほどだった。この救出作戦には、キシリアやマ・クベなどの継戦派も裏で手を回していたという説があり(事情を悟ったシャアが、レビルの脱出を見逃すこともあった)、ジオンが開戦時から一枚岩で動いていなかった事情が垣間見えている。

10月1日には、サイド3の9バンチコロニーで市民団体を中心におこなわれた戦没者慰霊祭に出席したとされる。冥福を祈るとともに「連邦軍に勝利するため、今しばらく力を貸してほしい」と国民に訴えている[10]

猛々しい性格のギレンやキシリア、ドズルを疎み、ガルマを溺愛しているが、戦争が予想外の長期にわたりガルマは地球で戦死してしまう。その一報を聞いた際、持っていた杖を使者の前で取り落とすほどの衝撃を受けたと言われる。デギンはガルマの密葬を望むが、ギレンは国葬としてプロパガンダに利用し、両者は対立を深めていく。これ以降、デギンはギレンの独裁を抑えるため、首相のダルシア・バハロに命じ、ひそかに連邦との講和を図る。

その後、ソロモン陥落に際してドズルまでも失うが、このときは「ドズルにしてもっともなことであるよ」と呟くのみだった(『THE ORIGIN』(漫画)ではギレンに対し、劣勢ながらよく戦ったドズルを援軍も出さず見捨てたと非難する)。ギレンによる軍事最優先主義が、ついには数百万人を超えるコロニー住民の強制疎開にまで過剰化し、コロニー国家にとって国土そのものである宇宙コロニーを超大口径レーザー兵器「ソーラ・レイ」に改造したこと、それを使用した強引なア・バオア・クー最終決戦を目論んだことなどで亡国の危機感を強め、ギレンを旧世紀の独裁者アドルフ・ヒットラーになぞらえて「ヒットラーの尻尾」と揶揄している[注 2]。「ヒットラー」については「所詮、敗者」「世界を読み切れなかった男」との観点から発言している。

ア・バオア・クーでの決戦の直前に至り、自ら和平交渉を進めるために独断でグレート・デギンに乗り込み、レビルが率いる地球連邦軍の主力、第1連合艦隊との接触を図る。だがギレンは、グレート・デギンの存在を承知のうえでソーラ・レイをゲル・ドルバ照準に最終設定する。宇宙世紀0079年12月30日作戦時間21:05、指示通りゲル・ドルバ照準で発射されたソーラ・レイの直撃を受け、デギンはレビルと共に光の渦に呑み込まれて死亡する。

『THE ORIGIN』(漫画)では、ガルマに続いてドズルをも戦火で失って意気消沈したデギンが、少しは自分を慕っていると信ずるキシリアに和睦を望む心中を語る。だが、そのキシリアも実際はデギンの利用価値がなくなったと考えるのみであり、戦争の原動力たるギレンを断罪する言質を取ったのち、ギレンに和平交渉に赴いたグレート・デギンが向かう宙域を打電し、ギレンが父殺しを行なうお膳立てをする。すなわち権力を得るための生け贄として、残った家族全員に捨てられたというに等しい最期であった。

アニメーション版とは展開の異なる小説版『機動戦士ガンダム』[注 3]では、ソーラ・レイの標的として狙われたのがキシリアとなっており、すでに傀儡と化していたデギンは和平交渉に向かうこともなく、無事に生き残っている。「トミノメモ」では、和平交渉の際にはホワイトベースに立ち寄って会談の後にセイラ・マスを指名し、ダイクンへの賛意が不変であることや、宇宙移民独裁と奴隷制度復活の罪などについて語り合うが、ギレンが放ったタブロー部隊により狙撃され、断末魔にシャアの名をつぶやいて死亡する。

ゲーム『ギレンの野望』では、ジオン編の全モード(ジオン公国、正統ジオン、新生ジオン、ネオ・ジオン、アクシズ)をクリアすると特別編として「デギンの憂鬱」というシナリオを体験できる。これはザビ家の内輪もめ、より封建国家という世界を強調した「お家騒動」のストーリーであり、キシリアの正統ジオン、ガルマ・ドズルの新生ジオンにジオン軍が分かれて三つ巴の戦いを繰り広げるという設定になっている(デギン自身は登場しない)。

原作アニメでは下膨れの顔立ちに半透明のサングラスを着用している。このサングラスは耳に掛けない鼻眼鏡である(設定画に「眼鏡はツルナシ・メガネ」と記載されている[11])。『THE ORIGIN』の漫画版では細面気味で鼻が大きく描かれるようになり、同アニメ版では鼻はそのままでえらの張ったくびれ顎となった。また、サングラスは完全な黒塗りとなって目と表情を覆い隠すようになった(ダイクンの死の頃は耳掛け眼鏡だが、途中で鼻眼鏡に替わっている)。なお、ガンダムエース誌の他作品に登場するデギンも、容姿は『THE ORIGIN』版に準じている。

漫画『MSV-R 虹霓のシン・マツナガ』では、9月にミネバの生誕祭に参加するためグレート・デギンでソロモンに入港。式典終了後、連邦軍の「アンタレス作戦」によりソロモンが襲撃されるが、敵の脅威が低いと判断しグレート・デギンは出港する。
ギレン・ザビ
Gihren Zabi

声:田中崇(現:銀河万丈)

ジオン公国の総帥にして階級は大将[12]。デギンの長男。年齢は35歳(『THE ORIGIN』では45歳)、身長190cmの長身[12]。少年時代から政治活動に参加し、デギンの隠居後は、ジオン公国の実質的最高指導者(総帥)となる。宇宙世紀において彼の唱えた政治思想や世界観は巨大な影響力を持ち、次世代にまで波及していく。総帥となって以降、一年戦争末期のア・バオア・クーを除きサイド3のズム・シティを離れていないため、座乗艦は不明(グワジン級戦艦グワデンなどとする説あり)。

青年時代には父デギンと共に、ジオン・ダイクンの指導する革命運動に参加。『THE ORIGIN』では、ランバ・ラルやサスロらとともに自ら銃をとっている。小説版では当初はジオンの思想に傾倒し、それを支援するデギンを心の底から尊敬した、とある。デギンの隠退後はジオン公国の全権を掌握し、事実上の最高指導者として君臨する。IQ240の天才で非情かつ高慢な性格。冷静沈着とも映るが他者への愛憎意識に踊らされないだけで、采配を振る場にあっては「圧倒的じゃないか、我が軍は」と他をも顧みず悦に入るなど自己評価は甘い側面もある。宇宙世紀0071年にサイド3国民の優秀さを讃え、彼らが選ばれたエリートであるとする選民思想の色合いが強い著書『優性人類生存説』を発表。アースノイドやスペースノイドの大多数には非難されるが、連邦政府の政策に強い不満を持つサイド3国民からは熱狂的支持を受ける。雄弁家でもあり、アジテーターとしても持てる才能を遺憾なく発揮している。デギンの反対を押し切り、国民の戦意高揚のために末弟ガルマの国葬を利用したところにも、それが現われている。

彼の政治思想は、一種の理想主義、選民思想である。スペースノイドは選ばれた民であり、さらにその中の優良種がジオン国民であると主張し、国民を煽動している。ギレンは総帥という立場から主に政治に専念することが多く、軍事についてはドズルやキシリアに任せている。しかし、一年戦争開戦当初の電撃作戦や地球侵攻作戦、ア・バオア・クー攻防戦の発案者はギレンであり、ア・バオア・クーでは自ら指揮も執っている。一年戦争初期には、サイド3(ジオン公国)以外のスペースコロニーに対する毒ガス攻撃を行い、さらにそのコロニー自体を質量兵器として地上に落下させる「ブリティッシュ作戦」により、地球圏総人口の半数を死に追いやっている。このような大量虐殺作戦の背景には、地球環境の保全には選ばれた民による支配が必要であり、増えすぎた人口は調節されなければならないという思想がある。

デギンからは「ヒットラーの尻尾」と酷評され、その己を省みぬままの急進ぶりを危惧される(その際、小説版やテレビ版などでは軽く受け流しているが、『THE ORIGIN』(漫画)では顔が引きつり、書類を持つ手が震えるほどの激しい怒りを露わにしている)。またキシリアとは政治的に競合する立場にあり、反目しあう。もっとも、ギレンは自らの才能と政治思想に絶対の自信を持っており、キシリアなど歯牙にもかけずに彼女が裏であれこれ画策するのを半ば放置している。『THE ORIGIN』(漫画)では、父から「腹芸を身につけろ」と指摘されており、キシリアの策謀をそもそも感知できていない、という描写がなされている。

ニュータイプについては、スペースノイドが優良種たる根拠の一因には使えるとは踏んでいたようで、戦争をジオンの勝利に終わらせた後、自らが地球圏を管理・運営しながらゆっくり人類のニュータイプへの覚醒を待つつもりでいると語っている。しかし、その一方でニュータイプ部隊を方便とデギンに説明したり、キシリアからは「総帥がニュータイプの存在を信じてくれれば良かったのだ」と言われており、ニュータイプの存在そのものは軽視していることがうかがえる。ただ、小説版の描写によればギレンのニュータイプ観はダイクンの語ったものに近く、ニュータイプ部隊やキシリアの言うニュータイプを真のニュータイプとみなしていないとも考えられる。劇中では、政略・戦略の観点から「木星帰り」のニュータイプ、シャリア・ブルを戦線に投入している。

一年戦争末期に、ア・バオア・クーにおいて連邦軍との最終決戦を目論むが、デギンは独断でグレート・デギンに座乗して連邦軍との和平交渉に赴く。自らの戦略に従わない老いた父を完全に見限ったギレンは、グレート・デギンの進路こそレビル将軍率いる連邦軍の主力・第一艦隊の進攻コースと読む。そして和平交渉が始まる前に事を決しようと、予定を大幅に前倒ししてソーラ・レイを「ゲル・ドルバ照準」に最終設定し作戦時間21:05に発射を指令、レビル将軍もろとも父デギンまでも謀殺する。しかし、ゲル・ドルバ線上からグレート・デギンの識別信号が確認されたとの報告を受け、ギレンが父を殺したと知ったキシリアにより、宇宙世紀0079年12月31日、「父殺しの男」としてア・バオア・クー攻防戦の作戦指揮中に射殺される。この際もキシリアに無防備に背中を見せ、銃口を向けられても「冗談はよせ」と一笑に付すが、その余裕の姿勢が仇となる。ギレンの突然死によりア・バオア・クーの指揮系統が一時停止し、連邦軍に致命的な隙を与えてしまっており、これらの「お家騒動」はジオン敗戦の要因の一つとなっている。


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