ザトウクジラ
ザトウクジラの親子
保全状況評価[1][2][3]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ワシントン条約附属書I
分類
ザトウクジラ(座頭鯨[7]、学名: Megaptera novaeangliae)は、哺乳綱偶蹄目[注 2]ナガスクジラ科ザトウクジラ属に分類されるヒゲクジラであり、本種のみでザトウクジラ属を構成する[4]。
名称学名の由来である胸びれ
属名の「Megaptera」は古代ギリシャ語で「巨大な翼」を意味し、本種の極めて長い胸びれに由来する[4]。
種小名の「novaeangliae」は「ニューイングランドの」のという意味だが、模式標本の産地(基準産地・タイプ産地・模式産地)は不明である[4]。
和名は、座頭が持つ琵琶に姿が似ていることや[7]、潜水直前の背中の形が座頭が背負う琵琶のように見えること[8][9]に由来するとされる。
中国語名では、一般的に「大翅?」や「巨臂?」や「座??」と表記され、学名の「大きな胸びれ」や和名に準拠した命名がされている。
分類「ナガスクジラ科#分子系統」も参照
遺伝子解析の結果、ナガスクジラはナガスクジラ属の他の種よりもザトウクジラと近縁である事が判明している[10][11]。
核遺伝子やミトコンドリアDNAによる分子系統解析の結果から、北太平洋・北大西洋・南半球の3亜種に分類する提案もある。以下の分類は、Jackson et al. (2014) に従う[12]。ただしkuzira Gray, 1850の括弧の有無については原記載に基づいて修正した[4]。
Megaptera novaeangliae novaeangliae (Borowski, 1781)
北大西洋[12]。
Megaptera novaeangliae australis (Lesson, 1828)
南半球[12]。模式産地は喜望峰[4]。
Megaptera novaeangliae kuzira Gray, 1850
北太平洋[12]。模式産地は日本南部[4]。
「australis」は「南の」を意味し、「kuzira」は日本語の「クジラ」に由来している。2023年時点の世界海生哺乳類学会ではこの分類が採用されている[13]。一方でWorld Cetacea Databaseではどれも裸名として扱われており、亜種を認めていない[14]。
北大西洋(グリーンランド)
南半球(オーストラリア)
北太平洋(ハワイ諸島)
形態人間との比較(モントレー湾)尾びれの模様は個体識別に使われる(レユニオン島)
全長オス13.4メートル、メス13.7メートル[5]。とくに大型の個体は、全長16-17メートル[注 3][5]、体重40トン[15]に達する。
他のナガスクジラ科の種類とは外見の差異が大きい。全長の3分の1に達する非常に大型の胸びれが最大の特徴であり、概して流線形が目立つ現生鯨類全体でも特徴的な形状である[4]。また、上下の顎にあるフジツボに覆われた瘤状の隆起が特徴の一つで、比較的にずんぐりしている。吻端から噴気孔にかけては僅かな隆起線が存在する。上顎の背面と下顎の側面に白い瘤状の隆起があり、隆起の頂部には感覚毛が生える[5]。背びれは低い三角形、また尾びれにかけて低い隆起が存在する。喉の畝は12 - 36本で、幅広い[16]。背面は黒 - 青黒で、腹部に白い斑。胸びれの先端も白くなる。クジラヒゲは黒であるが、時折白い個体も存在する[17][18][19]。