ザゼンソウ(座禅草、坐禅草、地湧金蓮[3]、学名: Symplocarpus renifolius)は、サトイモ科ザゼンソウ属の多年草。
特徴周囲の氷雪を溶かして開花する。画像は竹森のザゼンソウ群
仏像の光背に似た形の花弁の重なりが僧侶が座禅を組む姿に見えることが、名称の由来とされる。また、花を達磨大師の座禅する姿に見立てて、ダルマソウ(達磨草)とも呼ぶ。
冷帯、および温帯山岳地の湿地に生育し、開花時期は1月下旬から3月中旬。開花する際に肉穂花序(にくすいかじょ)で発熱が起こり約25℃まで上昇する。そのため周囲の氷雪を溶かし、いち早く顔を出すことで、この時期には数の少ない昆虫を独占し、受粉の確率を上げている。開花後に大型の葉を成長させる。
ザゼンソウの発熱細胞には豊富にミトコンドリアが含まれていることが明らかになっている[4]。しかしながら、発熱の詳細な分子メカニズムは、現在のところ分かっていない。動物における発熱には、「脱共役タンパク質」(だつきょうやくたんぱくしつ)が関わっていることが突き止められているが、このタンパク質は、発熱しない植物にも幅広く存在しており[5]、ザゼンソウの発熱に関与しているかは不明である。
発熱時の悪臭と熱によって花粉を媒介する昆虫(訪花昆虫)であるハエ類をおびき寄せると考えられている。全草に悪臭があることから英語では Skunk Cabbage(スカンクキャベツ)の呼び名がある。 一つの肉穂花序には約100個の小花(両性花)がある。個々の小花は雌性先熟の開花システムを持ち、雌性期(雌蕊のみが成熟して露出した期間)と短い両性期(雌蕊と雄蕊が同時に露出する期間)を経て、雄性期(雄蕊のみが露出した期間)の順で性表現を変える。花序での発熱は雌性期と両性期で顕著であり、雄性期に至ると急速に発熱は低下する。この植物は自家不和合であり、昆虫などによる送粉(花粉の運搬)を必要とする。しかしながら気温の低い時期に開花するため、訪花昆虫の活動は低調であり、そのため種子の結実率は低い。 多くの種子は野ネズミによって食害されるが、一部は野ネズミの貯食行為によって運ばれる。種子はそれによって散布され、被食を逃れて発芽することが出来る。 北アメリカ東部(カナダのノバスコシア州とケベック州南部からアメリカ合衆国ミネソタ州にかけて、南限はノースカロライナ州とテネシー州)および北東アジア(北東シベリア、中国北東部および日本)。滋賀県高島市(旧・高島郡今津町)が日本の南限である[6]。 田中澄江が『花の百名山』で伊那山地の守屋山を代表する花の一つとして紹介し[7]、『新・花の百名山』で北信五岳を代表する花の一つとして紹介した[8]。守屋山の北側の長野県諏訪市の有賀峠付近には「ザゼンソウの里公園」がある[9]。
繁殖様式
ザゼンソウ群生
ザゼンソウ群生
北海道雨竜沼湿原のザゼンソウ
ザゼンソウの葉
分布
主な群生地
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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