ザクII
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ガンダム(右)と交戦する「シャア専用ザク」(左)。大阪府吹田市のEXPOCITYにて。

ザクII (ZAKU II) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型機動兵器「モビルスーツ (MS)」のひとつ。初出は1979年放送のテレビアニメ機動戦士ガンダム』。

作中の敵側勢力であるジオン公国軍の主力量産型MSで、後発の公国系MSにも見られる頭部のモノアイ(一つ目)・カメラに、左肩の3本のスパイク、右肩の逆L字型のシールド、および各部の動力パイプが特徴。『ガンダム』放送当時のロボットアニメとしてはまだ珍しかった「量産機」であり、同型の機体が劇中に多数登場する。量産型の標準塗装は緑で、主人公アムロ・レイのライバルであるシャア・アズナブルの機体はツノ飾り付きで赤く塗装されている。なお、名称の "II"(ローマ数字の"2")は『ガンダム』放送終了後の設定で付与された(「名称」を参照)。

本記事ではザクIIの一部バリエーションについても解説するが、機能を特化していない機体群に限定する。ほかの機体群に関しては以下を参照。

宇宙用の高機動型 - 高機動型ザクII

陸戦用のバリエーション - 陸戦型ザクII

水陸両用のバリエーション - ザク・マリンタイプ

作業用のバリエーション - 作業用ザクII

そのほかのバリエーション - ザクのバリエーション

名称

ネーミングは総監督の富野喜幸で、「雑魚」と、軍隊の「ザクザク」といういわゆる軍靴の音を組み合わせたもの[1]。放送終了直後のインタビューで、大きい人が歩くと地面が「ザクッザクッ」と音を立てるところからとったと発言している[2]

『機動戦士ガンダム』劇中では、単にザクとのみ呼ばれる。放送当時の1979年12月に日本サンライズから発行された書籍『機動戦士ガンダム・記録全集1』においても「ジオン公国軍・ザク」とのみ記述される[3]

機種ごとに様々な名称が生まれたのは放送終了後のこと。書籍『ガンダムセンチュリー』(1981年9月発行)において、いわゆる「旧ザク」を「MS-05 ザクI」、通常型の「ザク」を「MS-06 ザクII」として区別された[4](ただし、MS-06 は直前に公開された劇場版第1作のパンフレットが初出[5])。この設定は『モビルスーツバリエーション』(1983?1984年)[6]や書籍『ENTERTAINMENT BIBLE』シリーズ(1989年?)[7]でも踏襲された。またOVA『MS IGLOO -1年戦争秘録-』第3話(2004年)では映像作品において本機がザクIとともに「ザク・ツー」と呼称されるに至った。

『機動戦士ガンダム公式Web』では、日本語表記の「ザク」と英文表記の「ZAKU II」が併記されている[8]

シャア・アズナブルが搭乗する赤いザクの名称は、設定画では「シャアのザク」とされていた[9]。1980年5月発行の『機動戦士ガンダム・記録全集2』では「ザク(シャア専用)」[10]、同年8月発売のプラモデルの商品名は「シャア専用ザク」とされた[11](漫画『プラモ狂四郎』では「シャアザク」と短縮された[12])。またこれに対して通常のザクの商品名は「量産型ザク」(1981年1月)とされた[13]

『センチュリー』では、『機動戦士ガンダム』の劇中に登場したザクIIがMS-06F、地上で登場した機体がMS-06Jという型式番号であるとも設定された[14]。映像作品でも、『機動戦士ガンダムΖΖ』第12話で宇宙に遺棄されたザクIIを発見したジュドー・アーシタが「ザクだよ、本物のMS-06Fだ」と述べる場面がある。
デザイン

デザインは大河原邦男が担当した。作画監督の安彦良和による作画参考用の画稿はあるものの、安彦はデザインには関与していない[注 1]

『機動戦士ガンダム』において、「大量生産の量産型」「搭乗するのはごく普通の人間である一般の兵士」といったモビルスーツが兵器であるというコンセプトを具現化し、それまでの「侵略者の手先である謎のロボット」とは一線を画す作品の斬新さや革新性を担っていたのは、旧来のアニメロボットの伝統の影を色濃く残した主役ロボットのガンダムではなく、敵ロボットであるザクであった[16][17][18]

デザインのモチーフは背広防毒マスク[19]アパレルメーカーの企画室で働いていた頃の経験を活かしてザクのシルエットには「背広」のラインを取り入れている[20][21][22]。また防毒マスクは、大河原が幼少期をすごした戦後間もない頃にはまだ家庭の縁側の下などに放置されていて身近なものだった[19]

動力パイプはわざとむき出しにしている。パイプが外に出ているのは兵器としてウィークポイントになってしまうというのは分かっていたが、それが「ある」のと「ない」のとでは脳裏に残る形がまるっきり違ってしまうので、あえてそうした[19]

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}シールドが右肩にある理由は、アニメの設定上、よく見えるようにするため。大河原のインタビューによると、当初シールドは左肩につくようにデザインをした。しかし、アニメの設定画は左斜めから見たものが当時の形式となっていたため、これに沿って描くと盾の影に腕が隠れて見えないことから、反転して描いた[要出典]。その結果、『機動戦士ガンダムUC』のギラ・ズールに至るまで、ザク系のMSは右肩にシールドがつくというデザインが続いている[注 2]

ザクのデザインが生まれたのは、主役ロボットに対する「もっとカッコイイものを作ってやる」という大河原の反骨精神から[23][24]。主役ロボットにはスポンサーやアニメ制作会社の意向など色々な人間の意見が入ってくるので、デザイナーとしては大変な面も多く、フラストレーションもたまった[23]。一方、当時は「敵(のメカ)を売る・売れる」という時代ではなかったので、メインのロボットのデザインさえ決まればスポンサーからは何も言われなかった[23][25]。『ガンダム』で言えば、商品化を前提としたマーチャンダイジングの対象は主人公側のガンダム、ガンキャノン、ガンタンクの3体であり、ジオン側のメカへのデザインの制約はほとんどなかった[23][24]。総監督の富野からも「モノアイだけは守ってくれ」という指示があっただけで[注 3]、それ以外は自由にやらせてもらえた[24][注 4]
劇中での活躍

『機動戦士ガンダム』第1話から、ほぼ全編にわたって登場する。記録上では宇宙世紀史上初めて実戦でMS同士が相対したのが、ガンダムと本機である[注 5]。しかし、序盤でこそ(特にシャア・アズナブル少佐の駆る赤いS型は)圧倒的な力を見せるも、本機を凌駕する性能をもつガンダムを有するホワイトベース隊に中盤まではやられ役となり、終盤では連邦軍MS隊によって次々と撃破される。テム・レイが住み込むジャンク屋周辺にも、頭部が放置されている。

テレビアニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』では、「ネオ・ジオン軍」が自軍の戦力として使用している。この時点ではかなりのロートル機であり、敵機と遭遇する確率の低い哨戒などの任務に使用されており、第39話で運悪くガンダム・チームとの交戦を余儀なくされた部隊は新鋭機のΖΖガンダムの前にことごとく撃墜される。基本性能に変化はないが、コクピットはリニアシートに換装されている。一方、第12話ではマニアに人気があり、高く売れることが描写されている。


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