ザクI
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ザクI (ザク・ワン、ZAKU I)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型機動兵器「モビルスーツ (MS)」のひとつ。初出は、1979年に放送されたテレビアニメ機動戦士ガンダム』。旧型ザク、または旧ザクとも呼ばれる(名称については後述)。

作中の敵側勢力であるジオン公国軍の量産機で、後継機のザクIIに主力の座を譲った旧式機。テレビ版劇中ではガデムの乗機として登場するが、テレビ版を再編集した劇場版では同機の登場エピソードがカットされた。しかし、第3作『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』では別の機体が新規作画で端役として登場する。

本記事では、外伝作品などに登場するバリエーション機のほか、前身に当たるプロトタイプザクについても解説する。
名称

初出であるテレビ版『機動戦士ガンダム』での唯一の登場エピソードである第3話「敵の補給艦を叩け!」では、本機の名称が呼ばれるのはガデムの「このザクとて、わしと百戦錬磨の戦いの中をくぐり抜けてきたのだ」とシャア・アズナブルの「貴様のザクでは無理だ」という2つの台詞のみであり、いずれも単に「ザク」とされた。

ただし当時の設定画では「旧 ザク」と表記され、通常型の「ザク」と区別されていた[1]。「旧ザク」の表記はその後も漫画『ゼロの旧ザク』(2008年)やプラモデル『HG 1/144 ザクI “旧ザク”(GUNDAM THUNDERBOLT Ver.)』(2016年)[2]といった作品名・商品名にも使用されている。

1981年10月にバンダイからプラモデルガンプラ)として商品化された際には「旧型ザク」とされた。ただしこの名称は同年3月のラポート刊『機動戦士ガンダム大事典』が初出である[3]

同年9月発行の『ガンダムセンチュリー』では、本機を「MS-05 ザクI」、通常型を「MS-06 ザクII」として区別した[4]。この設定は『モビルスーツバリエーション』(1983?1984年)[5]や書籍『ENTERTAINMENT BIBLE(EB)』シリーズ(1989年?)でも継承された[6]。『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』では、ロールアウト時は「ザク」と命名されるが、MS-06が「ザクII」とされたことにより、遡って本機が「ザクI」と呼ばれるようになったとしている[7]。また、OVA『MS IGLOO -1年戦争秘録-』第3話「軌道上に幻影は疾(はし)る」(2004年)では映像作品において本機が「ザク・ワン」と呼称されるに至った。

資料によって上記の「ザク」以外の3種の名称でそれぞれ表記されており、『機動戦士ガンダム公式Web』では「旧ザク」、英文表記は ZAKU I が併記されている[8]
設定解説

諸元ザクI
ZAKU I
型式番号MS-05B
頭頂高17.5m
[9]/17m[10]
本体重量50.3t[9]
全備重量65.0t[9]/73.5t[11]/84t[10]
装甲材質超硬スチール合金[11]
出力899kW[9](48,000馬力[10]
推力19,500kg×2,850kg×2[12]
総推力40,700kg[9]
センサー
有効半径2,900m[9]
最高速度65km/h[12]/80km/h[11]
武装105oマシンガン
120oザク・マシンガン
280mmバズーカ
ヒート・ホーク
ガス弾銃
Sマイン
搭乗者ガデム
ジオン公国軍一般兵
パーソナルカスタム機」も参照

ジオン公国軍は、地球連邦軍に対する独立戦争に備え、ミノフスキー粒子下における有視界領域における新型の戦闘兵器としてジオニック社のZI-XA3をモビルスーツMS-01として採用、実戦タイプの開発を命じる[4][注 1]。それに応え、ジオニック社はYMS-05A「ザク (I)」を提出。一方、ツィマット社は大推力機であるEMS-04「ヅダ」を開発し、宇宙世紀0075年に制式採用の選定試験を実施。性能ではヅダがザクを圧倒しながらも、試験飛行中に事故が発生、その結果安定した性能を発揮したザクが採用されている[13][注 2]

開発にはジオニック社からジオン公国軍に出向したエリオット・レム少佐が携わっている[14][15]。初期生産型のMS-05Aを経て、実戦用の後期生産型であるMS-05Bが量産化され、総計として820機が生産されている[16][注 3]

機体各部の動力パイプをすべて装甲内に収納していることによる非効率性や、ジェネレーター出力が低いことなど、設計当初から多くの欠点が露見している[18]。その後の改良により、性能全般が向上した「MS-06 ザクII」が完成。これにより一年戦争開戦時にはすでに二線級兵器となるものの[18]、ザクIIの配備数の少なさから、生産されたほぼ全機が実戦参加している[18][17]。ザクIIの配備が進むと、補給作業などの二線級任務に回されることとなる。しかし、大戦後期になってもザクIを継続して愛用するベテランパイロットも多く、最終決戦の舞台となるア・バオア・クーでも新鋭機と共に配備され、実戦参加している。また地上戦線にもMSの不足を補うべく、多数が投入されている[18]。標準塗装はグリーンとダーク・ブルーを基調とする。
武装
105ミリマシンガン
型式番号:ZMP-47D
[19]ザクIIが装備する120ミリマシンガン(ザク・マシンガン)の初期型であり[19]、本兵装も「ザク・マシンガン」と呼ばれることがある[20]。デザインの初出は『講談社ポケットカード8 機動戦士ガンダム モビルスーツコレクション』(1982年)で大河原邦男が描きおろした「ザク(旧タイプ)」が携行しているものである。映像作品での登場はOVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録-』(2004年)第2話が初であり、本機以外にヒルドルブも装備している。口径は105ミリ[4][6][21]と120ミリ[19]の2説があり、当初は105ミリであったが威力不足の指摘が相次ぎ開戦直前に120ミリに引き上げられたとする資料もある[20]。装弾数は100発程度[22]と145発[20]の2説がある。重量は約5トン[4]。円盤型のドラム・マガジンが右側面に縦に配置され、左側にサイド・スイング式のフォアグリップを備えるが、これは本機の肩関節の自由度を考慮した妥協の結果である[20]。しかしこれにより、本兵装を構えるには一度マガジンを外すことが必要となり、操作性に少なくない課題を残している[20][注 4]


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