ザウルス
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

「ザウルス」のその他の用法については「ザウルス (曖昧さ回避)」をご覧ください。

ザウルス (Zaurus) は、シャープ株式会社が日本国内および海外で製造・販売していた携帯情報端末(PDA)の製品名である。
概要

当初は電子手帳の発展型としてパソコン等との連携性は低かったが、のちに人気が出た結果この連携性を強化し、一時期の日本製PDAを代表する地位を築いた。「ザウルス」という愛称は、学名で「トカゲ」を意味する単語「サウルス」に由来し、力強さを表している。

日本国内向けの製品としては、1993年(平成5年)に発売された8ビットCPUモノクロ液晶を使用した PI シリーズに始まり、32ビットRISC CPU とカラー(一部機種はモノクロ)液晶を使用した MI シリーズ、オペレーティングシステムLinuxを採用したSLシリーズと、続々性能向上が図られている。ただし、シリーズ間の互換性は無く、全て他シリーズのソフトを動作させることはできない。

2002年11月に発売されたSL-C700には、製品として世界で初めてCG silicon システム液晶が使用された。

2004年11月に発売されたSL-C3000には、PDAとしては初めてハードディスクが内蔵された。

2008年12月13日に、2006年3月に発売されたモデルSL-C3200を最後に生産停止済と報道された[1]

スマートフォン時代を先取りしたかのような未来的なガジェットであったが、ザウルスの市場への投入はネットワーク環境やBluetoothなどの技術が整う前だったため、情報端末としてその後のスマートフォンの波に乗ることはできなかった[2][3]
PIシリーズ

Apple Computerと手書き認識の研究開発で協力し合い、アップルコンピュータがNewtonを開発、シャープは「ザウルス」を開発した。発売当初の正式な商品名は「液晶ペンコム」であり、「ザウルス」は愛称に過ぎなかった。

同PIシリーズは電子手帳の延長として発展したもので、前身のPAの型番を持つ同社の電子手帳シリーズで培われた小型化技術が用いられている。

シャープはザウルスシリーズを立ち上げる前に、手書き・ペン操作可能な電子システム手帳 PV-F1 を発売していたが、128,000円と高価でサイズが大きかった為、商業的には振るわなかった。その反省に立ち、大きさ、重さ、価格を半分に、処理速度を2倍にするという目標を掲げ、PI-3000を開発した。そして計画通りに小型軽量化、低価格化を成し遂げ、「液晶ペンコム」として売り出すと、ビジネスマンを中心にそのコンセプトが受け入れられ、同社の定番商品の一つとして認知されるようになった。
シリーズ共通の特徴

すべてタッチパネル付き反射型モノクロ液晶ディスプレイが採用されている。フロントライトは付属しない。解像度は239×168ピクセル、PI-8000のみ319×168ピクセルのワイド画面である。

CPUはメインにポケコンに用いられていた独自アーキテクチャの8ビットプロセッサESR-Lと、手書き文字認識用にZ80を使用している。Z80はタッチパネル制御と手書き文字認識のみを行い、これを区別することで全体の反応速度を向上させている。

ハードキーはなく、すべてスタイラス(ペン)によって画面に直接入力するか、表示領域外に配置されたショートカットキーを押すことで操作を行えるようになっている。手書き文字認識を採用しており、画面内の決められた枠内(画面下部の四つの枠)に文字や記号を書き込むことで入力を行える。かなを書き込んだ後に漢字変換を行うこともできる。また、ソフトウェアキーボードを使うこともできる。手書きメモやインクワープロなど、画面内の任意の領域に書いた軌跡をそのまま保存するアプリケーションも付属している。

外部機器とのデータのやり取りには、オプションポート4(主に同社の電子手帳)、オプションポート15(パソコン携帯電話など)、光通信(赤外線通信)を用いる。光通信はASKのみであり、IrDAなど他の通信方式には対応していない。同社の電子手帳用に開発されたICカードの一部を使うことができる(PI-7000を除く)。SRAMカードなどを用いることで他の機器とデータを共有できる。アナログ電話回線に接続できるFAXモデムも使用可能である。PI-3000/4000シリーズはFAX通信のみ、PI-5000以降はデータ通信も可能。通信速度はデータ通信時2,400bps、FAX通信時9,600bps。PI-8000のみデータ通信時9,600bps、FAX通信時14.4kbps。別売りのPIAFSアダプタ使用の場合は32kbps。

電源は単4乾電池2本、バックアップ用にCR-2025 1個。
ラインナップ

仕様は同社カタログによる。

PI-3000

初代「液晶ペンコム『ザウルス』」

外付け型FAXモデム「CE-FM3-H」がオプションで用意されており、FAX送信が可能であった。

発売日 1993年10月1日

価格 65,000円

記憶容量 288KB

サイズ 157mm×94.6mm×17.3mm、重量 250g(電池含む、以下同じ)

1993年度グッドデザイン賞受賞
[4]


PI-4000/4000FX

型番「FX」は外付け型FAXモデムが付属する。以下同じ。

発売日 1994年6月

価格 PI-4000 75,000円、PI-4000FX 91,000円

記憶容量 544KB

サイズ 157mm×94.6mm×17.3mm、重量 約250g(FAXモデム別)

1993年度グッドデザイン賞受賞[5][6]


PI-5000/5000FX/5000DA

DAは携帯電話接続アダプタが付属。以下同じ。

愛称「アクセスザウルス」。パソコン通信ソフトウェアが内蔵され、FAX送信に加えてパソコン通信も利用可能になった。

以降の機種では「Add-in」と呼ばれる外部ソフトウェアが使える。

発売日 1994年11月

価格 PI-5000 82,000円、PI-5000FX 98,000円、PI-5000DA 141,000円

記憶容量 1MB

サイズ 160.2mm×94.6mm×17.3mm、重量 約250g


PI-4500

発売日 1995年1月

価格 68,000円

記憶容量 544KB

サイズ 160.2mm×94.6mm×17.3mm、重量 約250g


PI-6000/6000FX/6000DA

発売日 PI-6000/6000FX 1995年8月、PI-6000DA 1995年11月

価格 PI-6000 69,000円、PI-6000FX 85,000円、PI-6000DA 91,000円

記憶容量 1MB

サイズ 147mm×87mm×17mm、重量 約195g


PI-7000

ICカードスロットなし

FAXモデム内蔵

データ保存用フラッシュメモリ内蔵

発売日 1996年2月

価格 93,000円

記憶容量 1MB/フラッシュメモリ 2MB

サイズ 147mm×87mm×17mm、重量 約200g

1996年度グッドデザイン賞受賞[7]


PI-6500[8]

発売日 1996年11月

価格 55,000円

記憶容量 1MB

サイズ 147mm×87mm×17mm、重量 約195g


PI-8000

FAXモデム内蔵

本機のみワイド画面であり表示解像度が横に広い。

価格 80,000円

発売日 1997年1月

記憶容量 1MB

サイズ 147mm×87mm×17mm、重量 約215g

1997年度グッドデザイン賞受賞[9]


PI-6600

本体色シルバー

パソコン用PIMソフト「PowerPIMM Ver 2.0」、Microsoft Excelのデータを閲覧できる「パソコンビューアソフト」同梱

発売日 1997年9月

価格 オープン

記憶容量 1MB

サイズ 147mm×87mm×17mm、重量 約195g


業務用(特定顧客向け)

特定顧客向けにPI-B304/B308がラインナップされている。型番はPIから始まるが、16ビットCPUとMS-DOSが採用される、C言語による開発環境が提供されるなど、他のザウルスシリーズとは一線を画す。

発売日 1995年10月

CPU 16ビット(V30低消費電力版)

OS MS-DOS

記憶容量 RAM 2MB、フラッシュメモリ B304 2MB/B308 6MB

インターフェース オプションポート15、光通信(ASK・IrDA 1.0/1.1)、PCMCIA TypeII

画面 5.9型 480×320 反射型モノクロ液晶

電源 単4乾電池4本(バックアップ用CR2025 1個)

サイズ 177mm×115mm×23mm、重量 397g

MIシリーズ
アウトライン

カラーザウルスMI-10に端を発する32ビット高機能PDA。PIシリーズとはソフト面での互換性はない。反射型液晶やLCフォントの搭載など「液晶のシャープ」をアピールする使命を帯びているようにも見える、シャープの特徴的な製品群だった。なお、MI-EX1のVGAポリシリコン液晶は東芝製である。
オペレーティングシステム


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:57 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef