この項目では、モータースポーツ・レーシングチームおよびF1コンストラクターについて説明しています。
チームの創設者については「ペーター・ザウバー」をご覧ください。
ザウバー運営のF1コンストラクター アルファロメオについては「アルファロメオ・レーシング」をご覧ください。
BMW運営のザウバーについては「BMWザウバー」をご覧ください。
キック・ザウバー・フェラーリ
Sauber Motorsportエントリー名ステークF1チーム・キック・ザウバー
チーム国籍 スイス
チーム本拠地 スイス
チューリッヒ州ヒンヴィル
ザウバー・モータースポーツ(Sauber Motorsport AG)は、スイスに本拠地を置くレーシングチーム。1970年にペーター・ザウバーが創設。
F1には、ザウバー名義で1993年から2018年まで参戦。2005年に組織を「BMW」(後のBMWザウバー)に売却し、2009年に買い戻すまでの空白期間がある。2019年から2023年まで、ネーミングライツによりコンストラクター「アルファロメオ・レーシング」(Alfa Romeo Racing)のエントリーで参戦(同期間の活動はアルファロメオ・レーシングを参照)。2024年からはコンストラクターを「キック・ザウバー」、チームエントリーでは「ステークF1チーム」の名称を使用する[2]。
概要チーム創設者ペーター・ザウバー
長らくタイムアタック競技以外のモータースポーツが禁止されていたスイスでは、レベリオン・レーシングと並んで数少ない有力レーシングコンストラクターである。モータースポーツ産業が栄えているイギリスを中心に活動するF1チームが多い中で、創設者の地元であるスイスに拠点を構えてF1活動を続けている。1993年のF1参戦以来、F1コンストラクターズ選手権の最高成績は4位(2001年)となっている。
ザウバーの歴史は、資本力をもつ大手自動車メーカーとのパートナーシップの歴史でもある。耐久レース時代はメルセデスのワークスとしてスポーツカー世界選手権(WSPC)とル・マン24時間レースを制覇。F1ではメルセデスとの関係解消後、フェラーリからカスタマーエンジン供給を受け、ジュニアチーム的存在であった。2006年にはBMWにチームを売却し、「BMWザウバー」として参戦。BMW撤退後は2010年よりプライベーターに戻り、再びフェラーリエンジンを搭載している。更に、2018年からタイトルスポンサーとしてパートナーを組む自動車メーカー「アルファロメオ」とのネーミングライツの形で、翌2019年からコンストラクター名自体を変更。アルファロメオの名のみでエントラントを登録し、「アルファロメオ・レーシング」としてエントリーしている。
経営面においてもレッドブルやペトロナス、テルメックス、アルファロメオといった国際的企業をスポンサーとして手堅いチーム運営を行い、(BMWのワークス参戦も含めて)プライベーターチームとして長年参戦し続けていた[3]。実際、ザウバーが参戦していた間だけ見ても、先輩となるF1チームでは、ロータス、アロウズ、ラルース。後輩となるチームでは、シムテック、パシフィック、フォルティ、スーパーアグリ、HRT、ケータハム、ヴァージン・レーシングなどが挙げられるが、それらプライベーターチームが資金難に追い込まれて消滅。そのうちヴァージン・レーシングだけは身売りで急場をしのぎつつ数年参戦したものの(同チームは2010年から参戦し名称を変えて2016年まで参戦していた)、最終的には消滅した。また、成績面でザウバーを上回った記録もあるティレル(BAR、ホンダ、ブラウンGPを経て2010年からメルセデスのワークスチームとして参戦)とジョーダン(ミッドランド、スパイカー、フォース・インディア、レーシング・ポイントを経て2021年からはアストンマーティンとして参戦)、ワークスチームでもあったジャガー(2005年からはレッドブルとして再出発)、小規模チームながらもドライバーの発掘という点で知名度があったミナルディ(2006年のトロ・ロッソへの改編を経て2020年以降はアルファタウリとして参戦)らは、完全消滅こそ回避したものの、最後は身売りという形でその名のチームとしての歴史を終えている。
マシン開発やレース戦術においてもコンサバティブな傾向を持つが、ドライバーに関してはハインツ=ハラルド・フレンツェン、キミ・ライコネン、フェリペ・マッサ、小林可夢偉、セルジオ・ペレス、シャルル・ルクレール等実績の少ない新人を起用して成功を収めている。ロバート・クビサやセバスチャン・ベッテルと言ったドライバーもBMW時代に才能を見出だされ、ミハエル・シューマッハも耐久レース時代に所属していた。また、ニック・ハイドフェルドやジャンカルロ・フィジケラといったF1シートを失いかけていたドライバーを起用し、彼らの更なる躍進につながったケースもある。
また、マシン開発に重要な風洞設備だが、スイスのヒンウィルに建設された施設は、自動車用としては世界有数の性能であり、フルスケールのマシンを検証可能な設備であったことから完成時は高い評価を得ていた(ただ、初期はトラブルが続いて本格稼働まで時間がかかった)[4][5][6]。