サーマルプリンター
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この項目では、サーマルプリントヘッドを用いたプリンターについて説明しています。インクジェットヘッドのサーマル方式については「インクジェットプリンター#サーマル方式」をご覧ください。

サーマルプリンター (Thermal Printer) は、熱によって紙などの媒体に印刷を行なうプリンターの一種である。サーマルプリンター
概要

通電によってジュール熱を発生させる「サーマルプリントヘッド」を用いて印刷を行う。

同じ「サーマルプリントヘッド」を使用する物であっても、媒体に図像を転写する方式によっていくつか種類がある。一般的に「サーマルプリンター」と言った場合、専用の感熱紙に直接プリントヘッドを押し当てて印刷を行う(インクリボンを使わない)「直接感熱記録印刷」方式を用いた「直接感熱記録式プリンター(ダイレクトサーマルプリンター)」の事を指す場合が多いが、インクが塗布されたインクリボンにプリントヘッドを押し当てて紙などの媒体にインクを飛ばすことで印刷する(インクリボンを使用する)「熱転写プリンター」の事を指す場合もある。

「熱転写プリンター」とは、インクリボンに塗布されたインクをサーマルヘッドの熱でメディアに転写することで印刷する「熱転写印刷」方式を用いたプリンターである。一般に市販されている「熱転写プリンター」は2種類あり、熱溶性顔料インクが塗布されたインクリボンにサーマルプリントヘッドを押し当て、インクを熱で溶融させて紙に飛ばすことで転写する「溶融型熱転写印刷」方式を用いた「溶融型熱転写プリンター(熱溶融型プリンター)」と、昇華染料インクが塗布されたインクリボンにサーマルプリントヘッドを押し当て、インクを熱で昇華させて紙に転写する「染料昇華熱転写印刷」方式を用いた「昇華型熱転写プリンター(昇華プリンター)」がある。@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .mod-gallery{width:100%!important}}.mw-parser-output .mod-gallery{display:table}.mw-parser-output .mod-gallery-default{background:transparent;margin-top:.3em}.mw-parser-output .mod-gallery-center{margin-left:auto;margin-right:auto}.mw-parser-output .mod-gallery-left{float:left;margin-right:1em}.mw-parser-output .mod-gallery-right{float:right}.mw-parser-output .mod-gallery-none{float:none}.mw-parser-output .mod-gallery-collapsible{width:100%}.mw-parser-output .mod-gallery .title,.mw-parser-output .mod-gallery .main,.mw-parser-output .mod-gallery .footer{display:table-row}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div{display:table-cell;text-align:center;font-weight:bold}.mw-parser-output .mod-gallery .main>div{display:table-cell}.mw-parser-output .mod-gallery .gallery{line-height:1.35em}.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div{display:table-cell;text-align:right;font-size:80%;line-height:1em}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div *,.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div *{overflow:visible}.mw-parser-output .mod-gallery .gallerybox img{background:none!important}.mw-parser-output .mod-gallery .bordered-images .thumb img{outline:solid #eaecf0 1px;border:none}.mw-parser-output .mod-gallery .whitebg .thumb{background:#fff!important}

信頼性の高さから、レシートプリンターとして使われる直接感熱記録式プリンター

表現力の高さから、フォトプリンターとして使われる昇華型熱転写プリンター

普通紙への印刷が可能なことから、FAXのプリンターとして使われる溶融型熱転写プリンター


サーマルプリントヘッド

サーマルプリントヘッドの拡大図。発熱素子(ヒートエレメント)が細かく並んでいる

サーマルプリントヘッドと紙送りローラー(プラテンローラー)の間に感熱紙を挟み込んで印刷する

インクリボンを使う方式。高価だが、印字が消える心配がなくて安心である

利用

サーマルプリントヘッドはコンパクトで信頼性が高く、安価で、インクジェットプリントヘッドと比べてノズルにインクが詰まる心配もないことが評価され、サーマルプリンターは家庭用・業務用として広く使われている。

サーマルプリンターの中でも、直接感熱記録式プリンターはインク(インクリボン)すら必要ないので、プリンターの部品点数が少ないことによる信頼性、廉価性、コンパクト性の利点が大きく、バーコードや値段などを印刷して商品に貼り付ける携帯型のラベルプリンターや、レジのレシートプリンターなど幅広く使われている。プリンターにリチウムイオン電池とBluetoothを搭載し、スマホと一緒に持ち運べて写真を撮ったその場で印刷できる小型軽量のモバイルプリンターや、プリンター内蔵のインスタントカメラとしても利用されている。フルカラー印刷に対応したプリンターの場合、専用紙が高価であるが、モノクロ印刷に対応したプリンターの場合、汎用のロール紙(通称レジロール、レシートロール)が使えて非常に安価であるため、玩具のプリンターや、プリンターとレジロール紙を内蔵したトイカメラも販売されている。

溶融型熱転写プリンターは安価でコンパクトなことと、普通紙への印刷ができることから、家庭用としてはFAXのプリンターとして主に使われている。また、顔料インクを使うため、「インク滲みが発生しない」という利点と、耐水性・対候性を生かし、ラベルプリンターとしても使われている。業務用では、バーコードラベルプリンターや、消費期限の印字などに主に使われている。ただしフルカラー印刷を行う場合、溶融型熱転写方式では染料インクと違って顔料インクを用いるため、サーマルヘッドの発熱素子ごとにインクを「飛ばす」か「飛ばさない」の2択となり、サーマルヘッドの解像度では表現力が低すぎるのと、色の原色ごとに1色づつ印刷する必要があり、紙がプリンターを往復する際に色ズレが起きやいという欠点などがあるため、写真印刷の品質が重視される用途では不向きで、家庭用のフルカラープリンターとしては販売されていない。2000年代まではパソコン用のフルカラープリンターとして販売されている製品もあり、特にアルプス電気マイクロドライプリンタシリーズは1990年代当時は競合の印刷方式を上回る解像度を持っていたことで、長らく一定のシェアがあったが、1990年代から2000年代にかけて家庭用インクジェットプリンターの性能が向上するとともに解像度の利点は無くなり、販売不振の為に2010年5月末で販売を終了した[1]。マイクロドライプリンタは用途に応じてインクリボンの色を好きな色に変更することができ、競合の家庭用プリンターでは不可能な特色印刷(白色、金色など)が可能だったことから、模型のデカールを印刷したりするのに用いるホビーストのファンも多かった。

染料昇華型熱転写プリンターは、顔料インクと違って染料インクを使うため、サーマルプリントヘッドの温度を変化させてインクの量を自由にコントロールできる表現力の高さを生かして、フォトプリンターとして主に使われている。インクジェットのフォトプリンターと比べて消費電力が低いため、モバイルプリンターとしても適しているが、インクリボンのコストが高いという欠点がある。2010年代以降にはインクジェットヘッドの品質向上もあって、インクジェットプリンター大手のキヤノンやエプソンがインクジェットプリンターで業務用フォトプリンター市場に攻勢をかけていることもあり、業務用としてはインクジェットヘッドを使ったインクジェットプリンターに次第に置き換えられつつある。しかしサーマルヘッドはコンパクトで信頼性が高いので、フォトキオスク(証明写真機プリクラ)のプリンターは昇華型熱転写プリンターである。

なお、写真印刷業界において、「サーマルプリンター」はしばしば「昇華プリンター(染料昇華型熱転写プリンター)」と同じ意味で使われるが、業務用の「染料昇華プリンター」市場全体を見た場合では、昇華熱転写プリンター(サーマルプリンター)は昇華プリンターの方式の一つに過ぎない。


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