サーベル
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19世紀フランス海軍将校用サーベル

サーベル(洋刀、オランダ語: sabel)は、ヨーロッパ湾刀[注釈 1]

セイバー(英語: sabre, saber)、サブル(フランス語: sabre)、ポルトガル語のサブレ(sabre)に由来。
構造サーベルの柄の部分の一例 大きな「護拳」があるタイプの柄海軍長剣柄部分と略刀緒。柄は親粒付の鮫皮、金線を巻く。両手で握る大振りなもの。

には護拳(ごけん、guard)と呼ばれる枠状、もしくは半円や半球の大きながついており、を保護している。サーベルにはさまざまな長さのものがあるが、身に着けるときは常に腰から下げたに収められている。
由来

その起源はわかっていないが、ファルシオンシミターのデザインを元にしたと見られる。もともとは騎兵の武器として、それまでの直線状のに代わって使われ始めた。
使用

サーベルには騎兵が片手で扱えるように軽く、できるだけ長く作られた刀剣で、剣身は直刀タイプ、曲刀タイプ、半曲刀タイプがあり、その用法はそれぞれ刺突、斬撃、その両方を兼用と大別できる。[1]ポーリッシュサーベルは鍔元から直線で中心あたりから大きく湾曲しそのカーブは日本刀よりも大きい。また、多くのサーベルは1/3ほどに裏刃がついていて手首を返すことで先端カットができる。乗馬して使用する場合、馬のスピードによって打撃力が強くなるため、肩を脱臼したり剣が抜けず落馬することもある。剣術ではセンターライン、フロントライン、と2つの中心線がある。剣道ではこの2つは同一だが、サーベルではセンターラインは馬の軸線(自分の腰から下のライン)フロントラインは敵は正面にはいないので敵に向けた上半身をいう。ガードには切っ先を下に腕を伸ばす防御と突撃の構えのほか、馬の首を守るガード、馬の尻を守るガード、自分の足を守るガードなどがある。基本的に相手の馬を切るのはマナー違反とされているが、相手の手綱を断ったり、すれ違いざまに馬の尻を切ることもある。
軍隊

大小の火器が戦場で普及した16世紀以降、サーベルはポピュラーな刀剣となっていった。[1]敵を斬り下ろすに適した曲刀型のサーベルは軽騎兵や歩兵用の武器として使われ、直刀型のサーベルは斬るよりも刺し貫く用途に適しており、こちらは重騎兵に好まれた。[2]しかし、歩兵にとっては騎兵に対しても有効なリーチの長い銃剣の方が好まれ、歩兵が武器としてサーベルを使うことはほとんどなかった。[2]

近世以降のヨーロッパでは銃の発達とともに歩兵が単独で強力な火力を手に入れ、さらにパイク(長槍)兵との混合陣形を組むようになると、騎兵槍(ランス)を主武装とする槍騎兵の突撃は効果を得られなくなっていった。そのため騎兵槍はポーランドやハンガリーを除いて[3]ヨーロッパの戦場では廃れていった[2]。17世紀になると、中世以来の騎兵槍は戦場で使われることはほとんどなくなった[4]が、一方で槍騎兵そのものは18世紀になるとポーランドやロシア、ハンガリーなどで一部復活していった。[2]これは、騎兵が槍を装備しなくなったため、騎兵の突撃に対処するために考えられた方陣などの歩兵陣形が必要なくなり、突撃に対しては脆弱だが銃を持つ歩兵が一斉射撃できるような横列隊形が主流になったからと考えられる。[2]多くの近世・近代ヨーロッパの騎兵は、刀剣類とピストルを同時に装備するようになっていった[5][6]

18世紀の騎兵にとって、刀剣類は彼らの攻撃・防御に最も有効な武器であった[4]。そのころにはサーベルは多くの騎兵の主力武器となり[7]、ナポレオン時代には、直刀型のサーベルを装備した[4]フランスの胸甲騎兵はその時代の最強の騎兵として恐れられた。[8][9][2]また、ナポレオン時代の槍騎兵もサブウェポンとしてカービン銃の他にサーベルを装備していた。敵騎兵との戦いでは、騎兵槍が乱戦で扱いにくいため、槍を捨てて接戦格闘でより効果的なサーベルを抜くことも珍しくなかった。[8]槍騎兵もサブウェポンのサーベルを引き抜くことで敵騎兵との乱戦に対応できた。[2]また槍騎兵連隊では一部の兵士に騎兵槍を装備させず、騎兵槍を持つ兵士をサーベルを主武器とする兵士が援護するようにしていた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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