サービス残業
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サービス残業(サービスざんぎょう)とは、法令上で被雇用者に支払うべき賃金の全額が支払われない時間外労働の俗称[1]
日本におけるサービス残業.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

日本では労働基準法第37条に時間外、休日及び深夜の割増賃金の規定がある[2][一次資料 1]。また、割増賃金率の最低基準は、「労働基準法第37条第1項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令」で定められている[2]

サービス残業は、労働基準法第37条第1項で定められている「時間外労働分の割増賃金を支払う」べき要件が欠けており、1銭でも不足すれば違法となる[3][4]

ただし、適用除外などの規定があるときは労働時間の規制が適用されない場合がある。

残業の法的性質については、時間外労働を参照。

労働基準法第32条、第37条には、違反した場合の罰則が労働基準法第119条によって規定されている。これに違反した使用者は、6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金に処すると定められている。
サービス残業の実態
統計による実態労働者1人当たりサービス残業(年間賃金不払い労働時間)と総労働時間に占める割合の推移(2000年以降)
賃金不払い労働時間は減少傾向にあるが、割合がそれ程変わっていないことも示している[5][6][7]産業別労働者1人当たりサービス残業(年間賃金不払い労働時間)の推移(2007年以降)[5][6][7]産業別労働者1人当たり総労働時間に占めるサービス残業(年間賃金不払い労働時間)の割合推移(2007年以降)[5][6][7]

労働力調査は、労働者自身による申告を基に集計しているのに対して、毎月勤労統計調査は企業に対して企業に勤めている労働者の労働時間を申告した時間(つまり、労働者に賃金を支払った労働時間)を基に集計しているため、その差を「サービス残業時間(賃金不払い労働時間)」とみなすことができる。また、その差の中に残業手当の支払い義務がない役員・管理職裁量労働制の労働者が働いた労働時間も含まれると指摘されているが、その割合は、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎より、サービス残業時間(賃金不払い労働時間)の約4割と推定されているが、残りの約6割がそれらに当たらないサービス残業であることに変わりはない[8][9]

賃金不払い労働時間は、以下の表のように推移している。2020年時点でのサービス残業時間(賃金不払い労働時間)は、労働者1人当たり年間302.9時間だ。また、これらの表より、時間自体は減少傾向にあるが、労働時間に占める割合は、2000年代は17%前後、2010年代は15%前後と微減しているものの、それ程変わっていない。更には2019年4月に働き方改革が開始されたが、業務効率化が不十分な状態で開始されたため、2019年の労働者1人当たりのサービス残業時間は、「鉱業、採石業等」「運輸業、郵便業」以外は、前年の2018年よりサービス残業を増加させる結果となっている。そのことを指摘するだけでなく、2020年4月から中小企業にも残業規制が開始されたため、サービス残業時間が増加する恐れがあることも指摘されている[10][8]。実際には、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行による経済的な影響により時間外労働が前年より減少した一方で、経済的に直接影響を受けた「飲食サービス業など」と「生活関連サービスなど」に限ると、時間外労働は前年より増加している。

また、どの業種にもサービス残業(賃金不払い労働時間)が生じているが、特に「教育、学習支援業」と「飲食サービス業など」及び「生活関連サービスなど」が多く、年間の時間が350時間を超えており、総労働時間に占める割合も20%以上と高い。

「教育、学習支援業」の場合、教職員の長時間労働が背景にあり、持ち帰り残業も多いことも指摘されている[11]。更には、公立学校の場合、給特法により基本給の4%に当たる教職調整額を賃金として支払えば、何時間でも残業が可能だため、長時間労働やサービス残業が発生しやすいことも指摘されている[12][13]。「飲食サービス業など」及び「生活関連サービスなど」の場合は、人手不足だけでなく、非正規社員の比率が高まりったことによる正社員の業務負担のしわ寄せや休日の取りずらさが背景にある[11][13]

労働力調査(非農林業雇用者)と毎月勤労統計調査の労働時間
とその差(労働者1人当たり年間賃金不払い労働時間)及び比率(2000年以降)年労働力調査
による
年間労働時間毎月勤労統計調査
による
総実労働時間賃金不払い
労働時間
(労調-勤調)賃金不払い
労働時間
が占める割合
20002,247.41,852.8394.617.6
20012,210.91,836.0374.917.0
20022,205.61,825.2380.417.2
20032,200.41,827.6372.816.9
20042,205.61,815.6390.017.7
20052,190.01,802.4387.617.7
20062,184.81,810.8374.017.1
20072,153.51,808.4345.116.0
20082,132.61,791.6341.016.0
20092,106.61,732.8373.817.7
20102,111.81,754.4357.416.9
2011---1,747.2------
20122,101.41,765.2336.216.0
20132,070.11,746.0324.115.7
20142,049.21,741.2308.015.0
20152,049.21,734.0315.215.4
20162,033.61,724.4309.215.2
20172,044.01,720.8323.215.8
20181,997.11,706.4290.714.6
20191,981.41,669.2312.215.8
20201,924.11,621.2302.915.7

産業別労働者1人当たりの年間賃金不払い労働時間の推移(2007年以降)年調 査 産 業 計鉱業、採石業など建設業製造業電気・ガス業情報通信業運輸業、郵便業卸売業、小売業金融業、保険業不動産・物品賃貸業学術研究など飲食サービス業など生活関連サービスなど教育、学習支援業医療、福祉複合サービス事業その他のサービス業
2007345.1239.9296.9263.4248.7383.2297.1399.7346.0213.4---497.9---461.7273.7294.2192.3
2008341.0181.0297.7268.5255.1347.1284.2391.7345.1170.1---491.8---482.1280.5343.4173.0
2009373.8436.2302.8304.3249.1391.5298.9403.2361.2230.9---542.2---549.7292.5323.8211.8
2010357.4391.3298.0272.9251.1387.6283.7390.0348.7189.6336.5506.9352.3534.9293.3281.4194.6
2011---------------------------------------------------
2012336.2247.9302.9254.1265.9358.4292.5351.1352.0213.6282.5470.8300.7482.0275.7304.2217.0
2013324.1328.4264.4246.4245.0307.0285.3331.1339.8189.1262.0442.6274.9480.7266.8304.1213.7
2014308.0244.6242.0221.2217.3273.7280.1309.8316.9124.2254.7450.6281.3472.7250.7271.2208.9
2015315.2123.5251.9231.6220.1282.1294.1320.2323.7147.0293.5441.8278.5472.2252.3268.1183.7
2016309.2216.4228.3231.2222.6288.1281.6298.9325.4126.6291.5424.9308.4494.7244.3260.5160.4
2017323.2243.2236.7247.7250.2319.7262.8316.1368.3137.0287.5450.9297.2499.6247.1286.2188.0
2018290.7281.7227.0208.3183.6290.7291.9286.4306.9120.8211.3387.9287.0449.8221.8224.8172.4


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