この項目では、魚のサンマについて説明しています。その他の用法については「サンマ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
サンマ
サンマ Cololabis saira
分類
サンマ(秋刀魚、青串魚、夏刀魚) は、ダツ目-ダツ上科-サンマ科-サンマ属に分類される、海棲硬骨魚の1種。北太平洋に広く生息する。
日本では秋の味覚を代表する食材のひとつとして供される他、季節を問わず缶詰食品などの具材としても利用される。
近年、水揚量が激減している[1]。 さんま 皮つき、生[2]100 gあたりの栄養価
呼称
学名
エネルギー1,241 kJ (297 kcal)
炭水化物0.1 g
脂肪23.6 g
飽和脂肪酸4.06 g
一価不飽和10.01 g
多価不飽和4.39 g
タンパク質17.6 g
ビタミン
ビタミンA相当量(2%) 16 μg
チアミン (B1)(1%) 0.01 mg
リボフラビン (B2)(23%) 0.27 mg
ナイアシン (B3)(47%) 7.1 mg
パントテン酸 (B5)(14%) 0.70 mg
ビタミンB6(39%) 0.51 mg
葉酸 (B9)(4%) 14 μg
ビタミンB12(642%) 15.4 μg
ビタミンD(99%) 14.9 μg
ビタミンE(11%) 1.7 mg
ビタミンK(1%) 1 μg
ミネラル
ナトリウム(9%) 130 mg
カリウム(4%) 190 mg
カルシウム(3%) 26 mg
マグネシウム(7%) 26 mg
リン(24%) 170 mg
鉄分(10%) 1.3 mg
亜鉛(8%) 0.8 mg
銅(6%) 0.12 mg
セレン(43%) 30 μg
他の成分
水分57.7 g
コレステロール65 mg
ビオチン(B7)7.1 μg
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[3]。別名: さいら廃棄部位: 頭部、内臓、骨、ひれ等(三枚下ろし)
単位
μg = マイクログラム (英語版)
IU = 国際単位
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。
サンマ(生、100g中)の主な脂肪酸の種類[4][5]項目分量(g)
脂肪総量24.6
脂肪酸総量19
飽和脂肪酸4.2
一価不飽和脂肪酸10
多価不飽和脂肪酸4.6
18:2(n-6)リノール酸0.27
18:3(n-3)α-リノレン酸0.21
20:4(n-6)アラキドン酸0.096
20:5(n-3)エイコサペンタエン酸 (EPA)0.21
22:6(n-3)ドコサヘキサエン酸 (DHA)1.7
サンマを欧米に紹介したのは、1854年に日米和親条約締結のため来日したマシュー・ペリーが連れてきた学術調査団の一員であったジェイムズ・カーソン・ブレボートである。サクラマス/ヤマメ・マアナゴ・イトウなど日本産の「新種」62種の中にサンマが含まれている。彼は大西洋に生息するニシサンマと同属の新種と判断し、Scomberesox saira の学名を1856年に発表した。ニシサンマとサンマは鰭の位置や形状が酷似しているが、ニシサンマの吻が長いのに対し、サンマは短いことをはじめ、異なる点も多かった。1896年、セオドア・ニコラウス・ジルが新属 Cololabis を提唱し、サンマを移したため、現在の学名に変更された。属名 Cololabis は、ギリシア語の「kolos(コロス、短い)」とラテン語「labia(ラビア、唇)」を合成したもの。種小名 saira は、日本語での一古称であり紀伊半島の方言名である「サイラ(佐伊羅魚)」に由来している。 和名「サンマ」の由来については、2つの有力な説がある。「サ(狭、意:狭い、細い〉」に起源があるとして「細長い魚」を意する古称「サマナ(狭真魚)」が「サマ」 - 「サンマ」と変化したとする説が一つ、大群をなして泳ぐ習性を持つことから「大きな群れ」を意する「サワ(沢)」と「魚」を意する「マ」からなる「サワンマ」が語源となったという説が一つである。 サンマは古くは「サイラ(佐伊羅魚)」「サマナ(狭真魚)」「サンマ(青串魚)」などと読み書きされており、また、明治の文豪・夏目漱石は、1906年(明治39年)発表の『吾輩は猫である』の中でサンマを「三馬(サンマ)」と記している。これらに対して「秋刀魚」という漢字表記の登場は遅く、大正時代まで待たねばならない。現代では使用されるほとんど唯一の漢字表記となっている「秋刀魚」の由来は、秋に旬を迎えよく獲れることと、細い柳葉形で銀色に輝くその魚体が刀を連想させることにあり、「秋に獲れる刀のような形をした魚」との含意があると考えられている。1922年(大正10年)の佐藤春夫の詩『秋刀魚の歌』で、広くこの漢字が知れわたるようになった[6]。ただし、迪宮裕仁親王(後の昭和天皇)の幼少期のエピソードから、「秋刀魚」の表記は明治後期に流布していたとみなすこともできる。生後間もなく川村純義海軍中将の元に里子に出されていた親王は、川村邸では「アキガタナ」と呼ばれていたサンマを好んだという。現在[いつ?]では日本語のほか、中国語でも同じ漢字で記して「qi?d?oyu」と読まれている。 体は細長く、上下顎はくちばし状で下顎は上顎より突出した形状。背鰭の後方に6個程度、尻鰭の後方に7個の程度の小離鰭を有する。体の背部は暗青色、腹部は銀白色。胃が無く短く直行する腸が肛門に繋がる[7]。腸が短いため摂食した餌は、20分から30分程度の短時間で消化され体外に排出される。 鱗が小さい上にはがれやすく、棒受け網で漁獲されたものは漁船から水揚げされる際にほとんどの鱗がはがれ落ちてしまうため、状況によっては水揚げの直前に自らや他の個体から剥がれた鱗を多数呑み込んで内臓に溜める個体が少なくない。サンマの内臓には多くの鱗が含まれている場合があるが、これらはサンマが捕食した小魚の鱗ではなく、そのような形で呑み込まれたサンマ自らの鱗である。 北太平洋に広く生息し、日本海を含む日本近海から、アメリカ大陸沿岸のアラスカおよびメキシコまでの海域に分布する。季節によって広い範囲を回遊する魚として知られるが回遊経路は十分に解明されていない[7]。
各国語名
生物的特徴
分布