サンボ_(格闘技)
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2015年ヨーロッパ競技大会におけるスポーツサンボ

サンボ(: самбо、: Sambo)は、ソビエト連邦で開発された格闘技。ソビエト連邦においては軍隊格闘術としても発展。

Самбоはロシア語で、самооборона без оружия(samooborona bez oruzhiya、「武器を持たない自己防衛」の意)の省略であると言われている。

狭義では一般に知られているスポーツ格闘技であるスポーツサンボのことを指して、この意で使われることが最も多い。このスポーツサンボを習得した者やその格闘技の選手はサンビスト、サンボレスラーと呼称されることがある。

「サンボ」は広義では日本武術界で言うところの「柔術」、中国武術界で言うところの「拳法」の様に徒手格闘技や徒手武術を意味し、ソビエト連邦内務省赤軍で徒手軍隊格闘術として採用されていた「軍隊のサンボ」を意味するバエヴォエサンボ(: Боевое самбо)がある。それを日本では分かりやすいように前田日明が名付けたコマンドサンボ(Command sambo)[1]、英語圏やイタリアではコンバットサンボ(Kombat sambo)とも呼称される。後に、こちらも打撃を追加した総合格闘技としてのスポーツ化とロシア連邦軍の軍隊格闘術としての分化が進んでいる。

また、ロシア古来の着衣徒手格闘技としてニコライ・ズーエフが修得していた禁じ手なしの俗にいう裏サンボ、英語でロシアンサンボ、ロシア語でルースカエサンボと呼ばれるものもある。多彩な関節技を有しておりスポーツサンボのベースにもなっている。

Samboには黒人への蔑称の意があるためアメリカでは Sombo と表記することもある。クストヴォにある世界サンボアカデミー
スポーツサンボの歴史

サンボの創始者の1人として、帝政時代のロシアにおいて、サハリンから神学生として日本に渡り、講道館にて嘉納治五郎のもとで柔道を学んだワシリー・オシェプコフが挙げられている[2]。彼は1930年代にソ連各地で柔道の普及活動を行なったが、1937年、スターリン大粛清の対象となり、「日本のスパイ[3] という嫌疑をかけられ投獄、獄中で病死する[4]

サンボという名称は、もう1人のサンボの創始者である、帝政ロシア軍人であったビクトル・スピリドノフがボクシング柔術をもとに独学で編み出した格闘技「Cамооборона без оружия(「武器を持たない自己防衛)」に由来する。1930年代に体系化し、サンボという名称が名づけられる。この格闘技は第一次世界大戦後、白兵戦の重要性に気づいたソ連赤軍に軍隊格闘術として採用され、後の「バエヴォエサンボ(Боевое самбо)」につながっていく。スピリドノフの理論的な「サンボ」とオシェプコフの実戦的な「柔道」は当時対立関係にあった。

1938年に、スポーツトレーナーの全国会合において、オシェプコフの弟子アナトリー・アルカディエビッチ・ハルランピエフがソ連式フリースタイルレスリングの創設を発表する。ハルラムピエフは会合で、「ソ連式フリースタイルレスリング」はロシアのロシアンサンボ、ジョージアのチタオバやタタール、カザフスタンのカザフシャクレス、ウズベキスタントルクメニスタンなどソ連各地の民族レスリングに基づいた新しい格闘技だと主張した。書籍『これがサンボだ!』ではこれらにくわえて柔道にも影響を受けているとしている[5]。一方でその実はオシェプコフの柔道であった[要出典]。人工的国家であったソ連には、民族統合の象徴となるスポーツが必要であったのである。そして同年11月16日、全ソ体育スポーツ委員会はこのフリースタイルレスリング(борьбы вольного стиля)を認可し、ソ連全土での普及活動が認められる。この日がロシアでは国技としてのサンボ誕生日ともみなされている。第二次世界大戦後、1947年「サンボ」と改称され、これがスポーツサンボとして定着することになる。
スポーツサンボの特徴

打撃技は禁止。

投げ、関節技による一本か、一本に至らない投げ、抑え込み等のポイントを競う。

上半身は青か赤のリバーシブルのサンボジャケットと帯、下半身はジャケットと同系統色の短パンあるいはスパッツで、サンボシューズ(またはレスリングシューズ)を履く。

サンボジャケットは柔道着に似るが肩の部分に掴みやすいよう返しがある。これは着衣の上衣がノースリーブのチタオバの技が使用できるようにするためのものである。帯ははだけにくいよう帯をジャケットに固定する穴がついている。

柔道や空手のように帯の色で段位を表すようなことはない。

レスリングマットと同じ円形のマット場で競技を行う。

歴史的な関わりから柔道との比較で語られることが多いが、投げ技においても寝技においても、一般的な柔道とは違った試合展開・テクニックが多くある。

川石メソッドの裏固の様に胸をしっかり、相手の胸に密着していれば、柔道と異なり、ガードポジションの上からでも抑え込みとして扱われる。

スポーツサンボのルール

スポーツサンボの国際ルールは以下の様である。
階級(男子の部)

ジュニア(17 - 18歳)52, 57, 62, 68, 74, 82, 90, 100, +100 kg

シニアー(19歳以上) 52, 57, 62, 68, 74, 82, 90, 100, +100 kg
自己の体重の一階級上の階級に出場することができる。

審判の構成

総ての競技会において、それぞれの試合の審判チームを次のように構成する。

チェアマン:1名 レフェリー:1名 ジャッジ:1名


勝敗判定・ポイント

一本勝

自分の態勢を崩さずに相手をきれいに投げたとき

相手の腕、または脚の関節等を取るか相手を抑え込んでいる時、相手が参ったを声か手、足でマットやどちらかの身体を何回か叩いて表明するか、叫ぶか、反則をしてないのに試合を止める様に相手が要求した場合

以上の場合は「一本」となり試合は終了する。また、試合中に両者に12ポイント以上差が開いたときは、一本と同じ扱いとする。


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