サンプリング周波数変換 (sampling frequency conversion) または標本化周波数変換(ひょうほんかしゅうはすうへんかん)は、サンプリングされた信号に対するリサンプリングの1つで、あるサンプリング周波数でサンプリングされた信号を別のサンプリング周波数でサンプリングされた信号に変換する処理である。通常はデジタル信号間の変換だが、サンプリングされていればアナログ信号でもかまわない。
サンプリングレート変換 (sampling rate conversion) などともいう。単にレート変換 (rate conversion) ということもあるが、これはビットレート変換と紛らわしい。
サンプリング周波数を上げる変換をアップサンプリング (upsampling)、下げる変換をダウンサンプリング (downsampling) という。ただしこれらの語は、後述のとおり、サンプリング周波数変換の構成要素を指すこともある。
目次
1 用途
2 基本原理
2.1 補間
2.2 間引き
2.3 一般のサンプリング周波数変換
3 高速フーリエ変換法
4 ビットマップ画像
用途
サンプリング周波数が異なる音声規格間の変換
オーバーサンプリング(A/D、D/A変換を直接せずに、高サンプリング周波数の信号をはさむこと)
スーパーサンプリング
サンプリング周波数 f 1 {\displaystyle f_{1}} から f 2 {\displaystyle f_{2}} への変換を考える。
変換前の、サンプリング周波数 f 1 {\displaystyle f_{1}} でサンプリングされた信号の波形は、時間領域で見ると、サンプリング間隔 1 / f 1 {\displaystyle 1/f_{1}} で並んだΔ関数(実際上はパルス)の連なりである。周波数領域で見ると、周波数 f 1 / 2 {\displaystyle f_{1}/2} 以上の帯域では本来の成分は失われ、代わりに偽信号(エイリアス)が現れている。
サンプリング周波数変換では、サンプリング周波数を整数倍に上げる補間またはインタポレーション (interpolation) と、整数分の1に下げる間引きまたはデシメーション (decimation) が、基本的な構成要素となる。 上で述べた波形を、サンプリング周波数 f 2 {\displaystyle f_{2}} でサンプリングするということは、各サンプルの後に f 2 / f 1 − 1 {\displaystyle f_{2}/f_{1}-1} 個の0を追加するということである。この処理をアップサンプリングという[要検証 – ノート]。 ただし、アップサンプリングしただけでは、波形はギザギザのままである。これは折り返しノイズを拾っているということである。そこで、アンチエイリアシングとして、アップサンプリング後に、変換前のナイキスト周波数 f 1 / 2 {\displaystyle f_{1}/2} を遮断周波数とする低域通過フィルタ (LPF) に通す。このLPFを補間フィルタまたはインタポレーションフィルタという。 なお、この処理を補間と呼ぶ理由は、結果として、元のサンプルの間の値を求めているからである。 上で述べた波形を、サンプリング周波数 f 2 {\displaystyle f_{2}} でサンプリングするということは、サンプルを1個取り出すごとにその後の f 2 / f 1 − 1 {\displaystyle f_{2}/f_{1}-1} 個は捨てるということである。この処理をダウンサンプリングという。 ただし、ダウンサンプリングしただけでは、折り返しひずみが発生してしまう。これは通常のサンプリングで発生するのと同じ問題なので、通常のアンチエイリアシングどおり、ダウンサンプリング前に、変換後のナイキスト周波数 f 2 / 2 {\displaystyle f_{2}/2} を遮断周波数とするLPFに通す。このLPFを間引きフィルタまたはデシメーションフィルタという。
補間
間引き