「サルタイアー、ソールタイア」はこの項目へ転送されています。紋章学における斜め十字については「サルタイアー (紋章学)」をご覧ください。
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聖アンデレ十字
聖アンデレ十字(せいアンデレじゅうじ)または聖アンドロス十字(せいアンドロスじゅうじ)は、キリスト教で用いられる十字架を模したシンボルのひとつ。
一般に、カトリック教会では聖アンデレ十字、正教会では聖アンドロス十字と呼ばれる。日本では、英語名のセント・アンドリュー・クロス(Saint Andrew's Cross)、ロシア語名のアンドレイ十字(Андреевский крест)、または聖アンドレイ十字(крест святого Андрея)の名でも知られる。
概要処刑される聖アンデレ
シンボリスム的解釈では、十字(架)が太陽の象徴であるのに対し、斜め十字(架)は月の象徴である。
聖アンデレ十字は二本の直線が斜めに交差したX十字型の文様であり、名前はキリストの十二使徒のひとりでX字型の十字架で処刑されたとされる聖アンデレに由来する。
スコットランドではセント・アンドリューが守護聖人であり、セント・アンドリュー・クロスが国旗となっている。そのため、その他の様々なもののデザインにスコットランドを象徴するものとして組み込まれている。それには次のような伝説がある。
9世紀初頭、スコットランド系のピクト族の王フングスがイングランド系のウェスト・サクソン王アセルスタンに攻められた。援軍に駆けつけたスコットランド王アカイウスは戦いの前夜、光り輝く聖アンデレ十字の夢を見て、これを吉兆だと感じた。そして、翌日の戦いはスコットランド側の圧勝だった。その後、フングスはセント・アンドリューの寺院を建立すると共にセント・アンドリュー・クロスを自らの象徴とし、アカイウスはセント・アンドリューに因んだ勲章(後のシッスル勲章)を制定した。
ロシアでは17世紀末の1689年ピョートル大帝によって青いX十字がデザインされた聖アンドレイ勲章が制定された。そして同じ頃、彼のデザインによる白地に青十字の聖アンドレイ旗が海軍の軍艦旗に定められた。
旗としての使用スコットランド国旗ロシア海軍軍艦旗
セント・アンドリュー・クロスと言った場合は特に旗の名前としても有名で、この場合、青地に白のサルタイアー(Saltire。紋章学用語で『斜め十字帯』の意味)、または白地に青のソールタイアの旗の両方を指す。スコットランドの国旗(青地に白十字)、ロシア海軍やウクライナ国海軍の軍艦旗(白地に青十字)、カナダのノバスコシア州の州旗(白地に青十字)等に用いられている。
スコットランドで最初にX十字旗が使われたのは800年頃で、フングス王によるとされている。しかし、当初は色が決まっていなかった。赤いX十字がセント・パトリック・クロスとしてアイルランドの国旗となるのはかなり後の時代であり、セント・ジョージ・クロスのような普通の十字とは明らかに異なるX十字は当時珍しかったため、色が区々でも他の国との識別が出来たためであるとされている。十字の色が白と決まったのは1385年のことである。そして、地の色が青と決まったのはそれより更に後の17世紀であった。
ロシア海軍の軍艦旗として知られている聖アンドレイ旗は、スコットランドのセント・アンドリュー・クロスとは青と白が逆になっている。
セント・アンドリュー・クロスという用語は、厳密には白と青からなるものだが、色に関係ない様々なX字型のデザインをあらわすのに誤用されることがある。たとえば青に黄色のX字型のセント・オールバンズ・クロス
がよく混同される。ブルゴーニュ公フィリップ善良公は聖アンデレを守護聖人とする金羊毛騎士団を設立し、白地に赤色の聖アンデレ十字を騎士団および公国の旗として使用した。これはブルゴーニュ十字とも呼ばれ、騎士団を継承したスペインおよび同領ネーデルラント、その他ヌエバ・エスパーニャなどの副王領で使われた。
また、聖アンデレ十字を用いた旗のデザインは、アメリカ南北戦争の際の南軍旗のデザインの発想の源になったという説もある(アメリカ連合国の国旗を参照)。
ロイヤル・スコットランド連隊の識別フラッシュ