サリチル酸
IUPAC名
2-Hydroxybenzoic acid
識別情報
CAS登録番号69-72-7
159.0 °C, 432 K, 318 °F
沸点
211 °C, 484 K, 412 °F (20 mmHg)
水への溶解度2 g/L (20 °C)
酸解離定数 pKa2.97[1]
屈折率 (nD)1.565
危険性
安全データシート(外部リンク) ⇒Oxford MSDS
EU分類 Xn
EU Index200-712-3
NFPA 704120
RフレーズR22 R36 R38 R61
SフレーズS22 S26 S36 S37 S39
引火点157 °C
発火点545 °C
関連する物質
関連物質
サリチル酸メチル
安息香酸
フェノール
アスピリン
モノヒドロキシ安息香酸
サリチル酸マグネシウム
サリチル酸コリン
次サリチル酸ビスマス
スルホサリチル酸
出典
ICSC 0563
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
サリチル酸(サリチルさん、撒里矢爾酸[2]、英: salicylic acid)は、ベータヒドロキシ酸(英語版)の一種の植物ホルモン。化学合成も比較的容易である。消炎鎮痛作用、皮膚の角質軟化作用があり医薬品としてはイボコロリやウオノメコロリで知られ[3]、洗顔料などにも配合される[4]。
消炎鎮痛作用があるが、サリチル酸をそのまま服用すると、消化器障害の副作用が発生しやすく、酷い場合には胃穿孔を起こして腹膜炎の原因となることがある。この問題を解決するために開発されたアセチルサリチル酸(アスピリン)に内服薬としての地位は奪われた。ただ、サリチル酸には皮膚すらも冒す作用があり、これを利用し、皮膚の角化病変に対して外用薬として使用される場合はある。 常温常圧では固体であり、無色の針状結晶である。 ベンゼンの水素の1つがカルボキシ基に置換され、さらに、カルボキシ基から見てオルト位の水素のうちの片方が水酸基に置換された構造をしている。 サリチル酸は天然に広く認められる化合物である。植物内(特に果実)にエステル体であるサリチル酸メチルやサリシンの状態で存在しており、これは消炎剤や鎮痛薬として用いることも可能である。その他、一部の食品やハーブ系植物などにも含まれカレー粉やスパイス類に多く含まれるとの報告もある[5][6]。植物では、サリチル酸がウイルスやバクテリアなど様々な病原微生物に対する抵抗性(全身獲得抵抗性)を誘導する鍵となる物質として働くことが知られ、この働きにおいてはジャスモン酸と拮抗的に作用すると考えられている。植物ホルモンの1種とされることもあり、分子生物学による植物免疫研究の対象である。
性質
所在