サヨナラゲーム
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この項目では、野球・ソフトボールのサヨナラゲームについて説明しています。

アメリカ映画については「さよならゲーム」をご覧ください。

浜田省吾シングルについては「さよならゲーム (曲)」をご覧ください。

サヨナラ勝利を喜ぶ選手たち
ミネソタ・ツインズ。2006年6月9日、ホームゲームの対ボルチモア・オリオールズ戦にて)サヨナラ3ラン本塁打を放ち、生還途上のスコット・ヘアストン。2007年9月19日サヨナラ満塁本塁打を打って祝福の集中砲火を浴びるジャスティン・マックスウェル。2009年9月30日

サヨナラゲーム(walk-off、ウォーク・オフ)とは、野球およびソフトボールで「後攻チームが、最終回または延長回の攻撃において、決勝点を上げると同時に終了する試合」を意味する。勝利チームの攻撃で試合が終わることから、「さようなら」を略して「サヨナラ」と呼ばれる。
概説

野球ソフトボールでは攻守交替が明確になされており、両チームの攻撃機会が同数となるのが原則である。ただし、最終回の表が終了した時点で後攻チームが勝ち越している場合にはその勝利が決しており、もはや、その裏の攻撃機会を与える必要がない。ゆえに最終回の裏の攻撃は、最終回の表が終了した時点で、同点もしくは先攻チームが勝ち越している場合にのみ行われる。また延長回においては、各回の表が終了した時点で後攻チームが勝ち越していることはありえず、攻撃回数の公平を図るため裏の攻撃は当然に行われる。

こうして行われる最終回または延長回の裏の攻撃において、後攻チームが勝ち越し点を奪えば、先攻チームに新たな得点機会がない以上、その時点でゲーム(試合)の勝敗が決するが、これをサヨナラゲームという。したがって、サヨナラゲームは必ず後攻チームの勝利になる。

このように、最終回または延長回の裏に後攻チームが勝ち越し得点を挙げたその時点で、回が完了していなくても試合終了となる。仮にフェンス越えの本塁打を放ち、打者本塁に生還したとしても、守備側にアピールプレイの権利があり決勝点が無効となる可能性がある場合には、試合終了はアピールプレイの権利喪失後(守備側がフェアフィールドから出た後)になされる必要がある。さらには、アピールプレイの権利がある場合にのみ試合終了の宣告を遅らせるとすれば、守備側にアピールプレイの存在を示唆することになり、公平を欠く。したがって、アピールプレイの権利の存否に関わらず、球審は走者の本塁生還後に得点を宣告するのみであり、試合終了の宣告は守備側が引き上げた後となる。

サヨナラゲームの勝利投手は必ず、サヨナラ成立の回の表にスリーアウト目を取った後攻チームの投手となる。よって、サヨナラゲームでは、どの投手にもセーブはつかない(セーブの条件を参照のこと)。

単に試合の勝敗という点では攻撃(後攻)側に利することが多いが、短期の総当たりリーグ戦などで得失点が順位形成に影響する場合には、かえって不利になる場合がある。例えば、リーグ戦のステージ最終戦で大量得点差での勝利を必要とする場合、後攻チームの場合は最終回の前のイニングまでにその条件を満たさなければならないからである(最終回以降に後攻チームが勝利する場合はサヨナラゲームしかなくなるので、4点差[注 1] 以内でしか勝利できない)。これに対して、先攻チームは取れる得点に制限はない。

スコアのランニング表示では、最終回裏の得点表記の後ろに「x」印[注 2]を付ける。また、チームの総得点で勝利チームの得点の横に「x」印をつけることもある(例:1x - 0)。もともとこの「x」印は、最終回の表終了時に後攻チームがリードしておりその裏を行わない場合、最終回裏のスコアボードに付ける(ことが多い)印であり、「裏の攻撃が行われていないが、試合が終了した」ことを意味する[注 3]。サヨナラゲームの場合に得点表記の後ろに「x」印をつけるのは、ここから派生し、「裏の攻撃が途中のうち(第3アウトが成立する前)に試合が終了した」ことを意味すると考えて差し支えない(コールドゲームの場合でも、そのイニングで第3アウト成立前に打ち切られた場合はそれが付けられている)。

なお、コールドゲームの場合には、最終回で後攻チームが決勝点を奪ってもサヨナラゲームとの呼び方はしない場合が多い。また、点差コールドが設定されていて、当該回裏の攻撃中にその適用要件を満たした場合(例えば、5回10点差コールドとなる試合の5回裏攻撃中に10点差開いた場合)の試合打ち切りについても同様の方式を準用することが多いが、これもサヨナラゲームとは呼ばない場合が多い。ただしスコア上はサヨナラゲーム同様に「x」印が付く[1]。プロ野球では、クライマックスシリーズにおいて引き分け以上が確定した時点でのコールドが存在するため、同点に追いついた時点で実質的にサヨナラ勝ちのような形で試合終了となる場合がある(詳細後述)。

サヨナラゲームの決勝点を挙げたプレーにも、しばしば「サヨナラ」が冠せられる。例えば「サヨナラヒット」「サヨナラホームラン(本塁打)」のように用いられる。「サヨナラ暴投」「サヨナラ押し出し死球四球)」「サヨナラボーク」「サヨナラエラー」というように、守備側のミスによってサヨナラゲームとなる場合もある。

1死三塁で内野ゴロバントを含む)を打ち、その間に三塁走者が生還した場合、通常は打点は記録されるが安打は記録されない。しかし、守備側が本塁に送球したが間に合わずサヨナラゲームとなった場合、日本では、明文はないが慣例として[2]、守備側は本塁に送球して三塁走者をアウトにする以外の選択肢がないとして、野手選択ではなく、安打と記録される[2]。このとき、仮に三塁走者の生還前に打者走者をアウトに取っていたとしても記録されず、投手の投球回にも含まれない(実例として、2005年8月30日の福岡ソフトバンクホークス千葉ロッテマリーンズ[3])。また、勘違いで内野手が一塁に送球した場合にも安打が記録される[3]。ただし、ランダウンプレーなどを経由した場合は別である[2]。これに対して、メジャーリーグでは、同様のケースも通常通り野手選択として記録される[4]

最終打者が振り逃げとなる場合にも同様の処理がなされることがある。1死三塁の場面で、第3ストライクを捕手が正規捕球できず、その間に三塁走者が生還しサヨナラゲームが成立した場合、三振暴投(または捕逸)が記録されるが、打者は一塁に到達していなくてもアウトは記録されない[注 4]

日本ではいわゆる「サヨナラ内野ゴロ(又は犠打)」が記録される場面はあまりないが、例えば1死一三塁で併殺崩れの間に三塁走者が生還した場合やスクイズプレイを試みて一塁送球の間に三塁走者に続いて二塁走者が生還(2ランスクイズ)した場合については、2アウト目が記録されて「サヨナラ内野ゴロ(又は犠打)」となる。

本塁打以外の安打の場合の塁打数は、勝ち越し点を記録した走者(最終得点者)が進んだ塁の数を上限に打者が実際に到達した塁までの塁打が記録される(最終得点者の生還後でもよい)[7]。例えば、同点で一塁の場面で外野を越える打球を放ち、一塁走者が生還した場合、打者走者は三塁まで行けば三塁打と記録されるが二塁までしか進んでいなければ二塁打、一塁であれば単打となる。

英語では、打たれた投手が歩いて引き揚げる様から、"walk-off"が使われる。「サヨナラ勝ち」はwalk-off win、「サヨナラ負け」はwalk-off loseである。「サヨナラヒット/本塁打」に相当する語はwalk-off hit/home runなどと言う。アメリカ合衆国メジャーリーグベースボールの実況では、日本人選手が本塁打を打った際に、「Sayonara baseball!」と叫ぶことがあるが、スタンドに入る打球を見送るという意味で「Good-bye baseball」(「入った! ホームラン!」というニュアンスに近い)という表現があり、それを日本語に直訳したものである。試合展開に関係無く使われ、サヨナラゲームの意味合いを含まないことがほとんどである。

リードを守り抜いて勝利するのが普通である競技で唯一、攻撃で試合を締められるパターンなので、最も劇的な幕切れとなる。それ故、試合終了の瞬間、勝った側のチームは全員がダグアウトから飛び出し、決勝打点を挙げた仲間を手荒く祝福する。特に、本塁打だった場合には、ホームプレートを囲むように待ち構えられ、生還の瞬間に集中砲火を浴びることになる。日本のプロ野球の試合では、サヨナラ打を決めた選手に対しチームメイトが、以前は袋叩き(ヘルメット越しに頭を叩く)をするのが恒例であったが、現在はペットボトルに入ったボトルウォーター(スポーツドリンクやお茶の場合もある)をシャワーのように浴びせるのが恒例となっている[8]。メジャーリーグではスポーツドリンクシャンプーをかけて祝福される。
サヨナラゲームにまつわる逸話


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