サブマリン707
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『サブマリン707』(サブマリンななまるなな、連載期間1963年 - 1965年)は、漫画家の小沢さとるが『週刊少年サンデー』に1963年(昭和38年)から1965年(昭和40年)まで連載した海洋冒険漫画太平洋で起こる怪事件に海上自衛隊潜水艦が立ち向かう。プラモデルの発売との相乗効果で人気連載となり、後に続編が発表された。

初めての本格的潜水艦漫画であり、連載と併せて用語解説記事などが書かれた。可潜艦・セイル・シュノーケル・ホーミング魚雷・ソナーフリゲートなど、潜水艦や対潜戦に関する知識や用語の少年たちへの普及に大きく貢献した。
ストーリー
U結社編

全51回。太平洋に出没する謎の怪潜を追って出撃する707。途中で貨客船の生き残りの3少年を収容する。

作品の人気を決定付けた紹介編。女性のほとんど出ない硬質の物語。前半は戦記物の印象が強かったが、後半からは冒険物にシフトしていく。スピーディな戦闘シーンなど当時の少年漫画の要素を盛り込んでいた。

「U結社編」、「謎のムウ潜団編」は単行本化(秋田書店サンデーコミックス)に当たって大きく手が入れられたため、後にラポートより完全復刻版が発売された。

謎のムウ潜団編

全42回。突然現れた無人の潜水艦に707は撃沈されてしまう。逃げ遅れた賢次と五郎は、目を覚ましたムウ王国で続々と建造される潜水艦隊を見る。

完全に冒険物にシフトし、登場する潜水艦も(特に武装の面で)SF的、非現実的なものが多くなっていく。続々登場する新兵器と、そのプラモデル化で人気を維持し続けた。アニメ化(後述)の企画もこの時期であり、敵役のレッド大佐はその後の続編にも登場する(ただし、レッド本人ではなく子息)。

ジェット海流編

全8回。某国の極秘調査の陰謀に巻き込まれる707。

707号の所属が海自から国際組織P.S.G.へ移籍となり、海底潮流や各国合同による国際海洋警備機構など、後の小沢マンガ『
青の6号』の原型とも言えるアイディアが散りばめられている。話数が短く、敵の目的や正体が不明解なまま終わったため、次の「アポロ・ノーム編」への橋渡し(ブリッジ)的な観が強い。

アポロ・ノーム編

全20回。アメリカの技術の粋を集めて建造された三連超大型空母「アポロ・ノーム」が秘密組織に乗っ取られ、707も追跡に当たる。

連載が途中で中断し、「作者死亡説」など様々な憶測を呼ぶ。実際にはアシスタントとして中枢を務めていた人物が事故で作画できなくなってしまったため、中断せざるを得なくなったという(作者は漫画は副業であり、他に本業を持っており、アシスタントの協力がなければ週刊連載作品の執筆は不可能だった)。

続きは2年後の単行本化の際に書き下ろしで「決戦編」として収録されたが、アポロ・ノームには反乱に備えて一部の関係者しか知らない「D装置」(一定時間ごとに操作しないと艦が自爆する)が設置されていたと唐突に明らかにされ、707とは無関係に敵が勝手に自爆して決着する結末を迎えた。

盗まれた潜水艦編

亜間野三佐が実験艦を乗っ取って脱走する。南郷と弟の次郎が追跡する。

U結社編が単行本化される際に割愛された「怪潜と708・709の戦い」を、加筆修正のうえ新たな物語として発表したもの。登場するのがジュニア未搭載の707一世改である所から、サンデーコミックス版世界の時系列的には「U結社編」と「謎のムウ潜団編」の間に位置する物である。

登場人物
U結社編
速水洋平(はやみ ようへい)
707号の艦長。
海上自衛隊の自衛官で階級は一佐。頭脳明晰で冷静沈着、大胆にして細心、部下思いという、指揮官の理想型のような人物。第二次世界大戦時からの軍人で当時は伊号潜水艦の艦長を務めていた。後に(「ジェット海流編」より)海自からP.S.G(パシフィック・シー・ガード)へ移籍。作中では姓だけで呼ばれフルネームは登場しない。
南郷隼人(なんごう はやと)
海上自衛隊の自衛官で階級は三佐、後に二佐。707号の副長から708、717の艦長に昇格する。速水と同じく、作中ではフルネームは登場しない
南郷次郎(なんごうじろう)
海自潜水艦709号の艦長で、上記の南郷隼人の弟。階級は一尉。「マウスキッド」によって乗艦ごと撃沈されてしまう。
水早賢次(みなはや けんじ)
ブラジル移民する途中で船が怪潜に撃沈され、遭難後、707号に救出された少年。707号の乗組員となり、少年自衛官として教育を受ける。ジュニア1号の艇長。父親は大戦中、速水の元部下(水雷員)だった。
日下五郎(くさか ごろう)
賢次と同じく移民中に遭難し、707号に救出された少年。707号の乗組員となり、少年自衛官として教育を受ける。ジュニア2号の艇長。父親は事故死した航空自衛隊パイロット。
海野千太(うんの せんた)
賢次と同じく移民中に遭難し、707号に救出された少年。707号の乗組員となり、少年自衛官として教育を受ける。ジュニア2号の艇長だったが、二世就役後は五郎へ座を譲り、烹炊員(ほうすいいん=炊事係)として腕を奮う。父親は大戦中、速水の元部下(やはり烹炊員)だった。陽気な性格で揚げ物(特にコロッケ)作りが得意。
轟(とどろき)一水
707号の乗組員。禿頭で「放射能は髪の毛に付くと聞きますが、自分ならその危険は少ないでしょう」と志願。被爆の危険を覚悟で南郷三佐と共に原潜591の艦外救助作業に従事。艦内へ放射能を持ち込まぬために退艦した。
三船(みふね)二尉
707号の乗組員。南郷三佐退艦後、UX号との戦いで意識不明に陥った速水に代わって指揮を執った。後に正式な707号の副長に任命される。
山川(やまかわ)三曹
707号の乗組員。備品調達係で、収容された賢次ら三人組に着替えとコーヒーを持って来た。サンデーコミックス版には登場しない。
山田野(やまだの)一水、水田(みずた)一曹
707号の乗組員。山田野は5インチ砲々手。水田は一世改の重機関銃装填手で、時期は違うが、それぞれ怪潜との浮上戦闘で戦死している。なお、山田野の本職は烹炊員でサンデーコミックス版では戦死していない。
美奈月(みなづき)一佐
海自潜水艦「おやしお」の艦長。速水とは互いに悪態を言い合える知古の仲である。初登場はUC140捜索行だが、サンデーコミックス版には怪潜基地攻撃時のみに登場。
船田(ふなだ)司令
海上自衛隊横須賀方面隊の基地指令。サンデーコミックス版では出撃する707号を速水艦長の奥方と共に見送っている。なお、和装が美しい速水の奥方は707全編を通して、この数コマだけにしか登場しない。
シュミット・ウルフ
世界統一を掲げ、怪潜水艦隊でテロを行うU結社の首領。元ドイツ第三帝国の中尉で、速水とは大西洋(サンデーコミックス版ではインド洋)で肩を並べて戦った戦友だった。
シュナイダー
博士号を持つU結社の造船技師。UX号の設計者。
ブラッド少佐
カナダ海軍潜水艦ブルーシャークの艦長。娘と妻がおり、アラスカ基地では賢次ら三人組を自宅へ招いて家族ぐるみで歓待した。また707に置いてきぼりにされた三人組を、同艦に同乗させている。日本語に堪能で「俺達よりも上手いぜ」と三人組を驚かせている。後に速水と同じくP.S.Gへ移籍。
船長
名前不詳。


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