サブプライムローン
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サブプライムローン(: subprime lending)とは、主にアメリカ合衆国において貸し付けられるローンのうち、サブプライム層(優良客(プライム層)よりも下位の層)向けとして位置付けられるローン商品をいう。
概要

サブプライムローンは証券化され[注 1]世界各国の投資家へ販売されたが、米国において2001 - 2006年ごろまで続いた住宅価格の上昇[2] を背景に、格付け企業がこれらの証券に高い評価を与えていた。また、この証券は他の金融商品などと組み合わされ世界中に販売されていた。

しかし2007年ごろから住宅価格が下落し始め、サブプライムローンが不良債権化した(サブプライム住宅ローン危機)。これと共にサブプライムローンに関わる債権が組み込まれた金融商品信用保証までも信用を失い、市場では投げ売りが相次いだ。

この波紋から2008年終盤にはリーマン・ブラザーズ倒産によるリーマン・ショックなどが引き起こされ、高い信用力を持っていたAIGファニーメイフレディマックが国有化される事態にまで至った。

そこへ大幅な世界同時株安が度重なった。そして世界中の金融機関信用収縮が連鎖した。サブプライムローンはクレジット・デフォルト・スワップと共に世界金融危機 (2007年-2010年)の原因となった。
解説

サブプライムローンは、通常の住宅ローンの審査には通らないような信用情報の低い人向けのローンである[3]
所得に対する借り入れが50パーセント以上

過去1年間に30日間の延滞が2回以上あった

過去5年以内に破産したもの

サブプライム・モーゲージ(subprime mortgage)ともいい、通常は住宅ローン担保証券RMBSもしくはMBS)の形で証券化され、さらにそれらが債務担保証券(CDO)の形に再証券化されて、金融商品として投資家に販売される。RMBSやCDOは格付け機関により格付けされており、市場取引される。つまり、不動産ローンの債権そのものを証券化し、金融機関や投資家の間で取引されたことになる。このことによって、ローン契約した債務者の弁済先は銀行から金融機関や投資家へ移ることになる。

住宅ローンの実施にあたっては、債務者の信用力を数値化したFICO[注 2] 信用点数[注 3] が用いられる。充分な信用力を有している顧客に対しては、比較的低利のプライムローンが提供されるが、所定の基準を満たさない顧客に対する貸付に際してより高い利率が要求される。この様な貸付を総称し、サブプライム(sub-下に prime-優れた→信用度の低い)ローンと呼ぶ。サブプライムローンにおける債務者の特徴として、典型的には債務者の所得水準が低い場合が主だが、所得は高いもののクレジットやローンの利用実績が乏しかったり無い場合もこれに該当する。また、信用力を超えた借入を行って不動産投資を行う場合などにも、同様にサブプライムローンが利用されている。

サブプライムローンは住宅ローンだけでなく、自動車などを担保とするローンを含む。これを容れた一般的な特徴として、貸付利率がプライムローンに比べて高くなり、貸付者が取る信用リスクも高くなる。このため、債務者が弁済を容易とするために特別なアレンジが施されたり、貸付を行う側としては、貸付リスクの分散が通常の住宅ローンよりも重視されることとなる。ただ、債務者の支払が不能になる可能性は充分にあるため、担保となる対象不動産の価値に重点が置かれる。

サブプライムローンの貸付残高は拡大したが、債務者の信用水準が一定基準を満たさない者に集中しているという本質的な特質から、返済の遅延・不能、および波及的効果としての信用の収縮など、以下のような問題点が表面化している。
米国における抵当危機
背景

サブプライムローンに限らず、アメリカにおいて、住宅ローンの返済方法として、当初数年間の金利を抑えたり、当初数年間は支払を金利に留めるなど、当初の返済負担を軽減したものが普及し、そのため債務者が自分の返済能力を超えた借入を行うことが可能となり、そのような貸付が増加していた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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