サブプライムローン問題
[Wikipedia|▼Menu]

サブプライム住宅ローン危機(サブプライムじゅうたくローンきき、: subprime mortgage crisis)とは、2007年末から2009年頃を中心としてアメリカ合衆国で起きた、住宅購入用途向けサブプライムローン不良債権化である。

サブプライムローンへの投資を証券化し金融商品として取引可能にした「サブプライム・モーゲージ[1]」は、金融市場で価格が下落するなどして、リーマン・ショック世界金融危機)を代表例とする経済問題に発展した。年表については、サブプライム住宅ローン危機の年表を参照。
概要.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節は検証可能参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方
出典検索?: "サブプライム住宅ローン危機" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2015年10月)

サブプライム住宅ローン危機のおおもとの原因であるサブプライムローンとは、米国のサブプライム層を対象として、彼らの住宅購入用途向けに、ローンへの返済が滞った場合への担保として購入する住宅に抵当権を設定し、抵当貸付(詳細は譲渡抵当を参照)とした住宅ローン、即ちモーゲージ・ローンである。

米国では住宅ローンの証券化が広く普及しており、その債権を組み込んだ金融商品を所有していた金融機関は種類も数も多数に上る。米国の住宅の安定供給を目的として設立された、連邦住宅抵当公庫(ファニー・メイ[2])や、連邦住宅金融抵当公庫(フレディ・マック[3])などが、モーゲージ・バンクからサブプライムローンの債権をまとめて購入して証券化し、MBS[4]という担保証券の中で比較的リスクの高いサブプライム・モーゲージとして市場に供給した。こうした制度によって発行されたサブプライム・モーゲージのうち、およそ80%が変動金利型のアジャスタブル・レート・モーゲージ(英語版)であったとされる[5]。「住宅の値段が上昇し続ける」という考えのもと、サブプライムローンは過剰に供給されていた。

モーゲージ・バンクが貸し付けたサブプライムローンの返済が滞った場合、貸主のモーゲージ・バンクは、借主すなわち債務者であるサブプライム層の購入した住宅をその返済の一部として譲渡されるが、米国内での住宅価格が2006年中盤にピークを迎えた後に下落したため、サブプライム・ローンの多くが購入した住宅の譲渡をもってしてもローンの全額を返済し切れない不良債権となった。こうした事情を含む諸処の理由でリスクが増加すると、サブプライム・モーゲージの利回りは切り上げられた。更に住宅ローンの返済の滞納が増加したため、市場でのサブプライム・モーゲージの購入者は減り、サブプライム・モーゲージの価格は下落した。そしてサブプライム・モーゲージを保有していた金融機関や投資ファンド、政府系企業等は多額の損失をこうむり、世界的な信用収縮が起こった。

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}このため、市場原理主義新自由主義の失敗例として、批判される事が多々ある[要出典]。
用語に関する注意

サブプライムローンが住宅ローンを指すのに対し、サブプライム・モーゲージはサブプライムローンに紐付く抵当や抵当権である。だが報道機関などで双方を明確に区別して使われる場合は少なく、抵当権を証券化した金融商品であるサブプライム・モーゲージ証券の事を、あたかもローンであるかの如くサブプライムローンと呼んでいるケースも多々見られる。なお、本項の記事名である「サブプライム住宅ローン危機」という日本語名の原語の表現は実際には「サブプライム・モーゲージの危機」を意味するものである。
語義

リーマン・ショックは、2008年9月15日に米国の大手投資銀行であるリーマン・ブラザーズ倒産した事を引き金に発生した。

関与を疑われた銀行は、後に次々と和解金を支払い、関与の違法性を含む事件の真相をうやむやにしている[6]

2015年2月4日現在、主な原告であり、ファニーメイフレディマックを監督する米連邦住宅金融局(英語版)は、一部の住宅ローンについて元本削減を引き続き検討しているという[7]

このような経緯から、サブプライム住宅ローン危機あるいはサブプライム問題の語は、広義として、リーマン・ショックを契機として発生した世界金融危機を含めて指す場合がある。詳細は「リーマン・ショック」を参照
背景と事件の経緯住宅バブルを招いた原因住宅価格の下落によるドミノ倒し

危機の直接原因もしくは引き金は、おおむね2005年から2006年頃にピークを迎えた米国の住宅バブルが弾けたことだった[8][9]。以後サブプライムローンと変動金利型住宅ローンの債務不履行が急速に増加した。ローンの初期弁済額を低く抑えるといった借り手刺激策や長期的な住宅価格上昇トレンドから、借り手は多少無理のあるローンでもすぐにより良い条件で借り換えられると信じて手を出した。ところが、2006年から2007年にかけて金利が上昇し、住宅価格が緩やかな下落を始めると、米国の多くの地域ではローンの借り換えが前より難しくなった。月々の返済額が安い初期優遇期間の満了、思うように上昇しない住宅価格、および変動金利型住宅ローンの金利が切り上がったことなどから、債務不履行や抵当物件の差し押さえが劇的に増加した。住宅価格の下落によって、ローン金額よりも住宅価値の方が低いという状況が生まれてしまい、これも借り手側が差し押さえを選ぶ金銭的な動機になった。米国で2006年終盤から顕在化したこの差し押さえの蔓延は、世界的な経済危機の主な原因の一つであり続けている。何故ならこれは消費者の富を吸い上げると共に金融機関の体力を着実に破壊するからである。

危機に至るまでの何年かに渡り、急成長しつつあるアジア諸国や産油国から巨額の外資が米国に流入してきた。この資金流入は2002年から2004年頃の米国の低金利と相まって融資条件を大いに緩和し、住宅バブルと信用バブルの両方に油を注いだ。様々な種類のローン(例えば住宅、クレジットカード自動車など)が簡単に組めるようになり、消費者は空前の債務を負うこととなった[10][11]。住宅バブルや信用バブルの一部として、不動産担保証券(MBS)と呼ばれる金融商品の契約高が非常に増えた。これは住宅ローンの弁済金と住宅価格を価値の裏づけとする証券である。こうした金融革新(en)によって、世界中の企業や投資家が米国の住宅市場に投資できるようになった。住宅価格が下落すると、大量の資金を借りてサブプライムMBSに大きく投資していた世界的な大手金融機関が巨額の損失を計上した。住宅市場の危機が他の経済分野に波及するにつれて、他種のローンでも債務不履行や損失が目立って増加した。全世界の損失額は何兆ドルもの規模と推計されている[12]

住宅バブルと信用バブルが形成されつつあった傍らで、様々な要因から金融システムは脆弱さを増していった。政策立案者は投資銀行ヘッジファンドといった金融機関(いわゆるシャドーバンキングシステム(en))が果たすようになった役割の重要さを認識していなかった。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:320 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef