サパティスタ民族解放軍
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サパティスタ民族解放軍の旗

サパティスタ民族解放軍(-みんぞくかいほうぐん、Ejercito Zapatista de Liberacion Nacional、EZLN)は、メキシコで最も貧しい州とされるチアパス州を中心として活動するゲリラ組織である。単にサパティスタと呼ばれることも多い。サパティスタはチアパスの貧しい先住民族であるマヤ人ツォツィル族やツェルタル族(英語版)の農民を主体に組織されているが[1]、その支援者はメキシコ国内の都市部などにも幅広く存在し、またウェブサイトを介して世界的に宣伝を行っている。
目次

1 歴史

2 評価

3 関連項目

4 脚注

5 文献

6 外部リンク

歴史 マルコス副司令官が実質的な指導者である。

サパティスタという名称は、メキシコ革命において農民解放運動を指揮したエミリアーノ・サパタにちなむもので(「サパタ主義」(サパティスモ))、サパティスタ民族解放軍はこのサパタの思想を引き継いだ革命行動である。

1994年1月1日北米自由貿易協定(NAFTA)の発効日に、サパティスタ民族解放軍は、「NAFTAは貧しいチアパスの農民にとって死刑宣告に等しい」として、メキシコ南部のチアパス州ラカンドンにおいて武装蜂起した。NAFTAによって貿易関税が消失し、アメリカ合衆国産の競争力の強いトウモロコシが流れ込むと、メキシコの農業が崩壊することや、農民のさらなる窮乏化が予測されたのである。実際にメキシコでは、NAFTA発効後、多くの農民が自由競争に敗れて失業し、メキシコ市スラムや北部国境のリオ・ブラーボ川を越えてアメリカ合衆国に流入した。ラカンドンでは、木材のグローバル商業化や、石油やウランの発掘がもくろまれており、当地の先住民を一掃する大規模な強制排除計画が進みつつあった。具体的には、白色警備隊と呼ばれるギャング組織が大規模農園主によって雇われ、暗躍し始めていた。身に迫る脅威を前に、インディオたちはついに、500年の抑圧を経て立ち上がったのである(サパティスタの反乱)。

これに対し、メキシコ政府は武力鎮圧で応じ、チアパス州のインディオ居住区を中心に空爆を行なったため、サパティスタ側に150人近い犠牲者が出た。これを受けて、サパティスタ側は対話路線に転換したが、結果的にそれが奏功し、以後、メキシコ国内外から高い評価と支援を受けることになる。

サパティスタ民族解放軍は、先住民に対する構造的差別を糾弾し、農地改革修正など政府の新自由主義政策に反対、農民の生活水準向上、民主化の推進を要求し、政府との交渉と中断を何度も繰り返しながらも、今日まで確実にその支持者を増やし続けている。

サパティスタ民族解放軍の実質的リーダーは、サパティスタ民族解放軍のスポークマンであり反乱軍の指揮も執るマルコス副司令官であるが、マルコスは例外的に非先住民族である。マルコスが反乱軍の指揮を執りながら司令官ではなく副司令官を名乗るのは、「真の司令官は人民である」との信念に基づく。
評価

サパティスタ運動の方法論や主張は、従来の左翼ゲリラと一線を画しているため世界的な注目を得ている。サパティスタ運動は、最初のポストモダン的革命運動であると言われている[要出典]が、それはサパティスタ民族解放軍がインターネットを介して大々的に自らの主張を展開し、またそれによって世界的な支援を獲得したために、もはや武力などの実力を行使せずとも隠然たる影響力をメキシコ政府に対して持つに至ったというまさにIT時代の革命運動だったからである。たとえば、マニュエル・カステルは、サパティスタを「初の国際ゲリラ」と称している[2]。この点において、コロンビア革命軍IRA日本極左暴力集団に代表される、武力や脅迫といった一般人の犠牲者をも生むテロリズムに頼る前例とは異なった革新的手法と言える。

また、サパティスタ運動はメキシコからの独立や、政権の転覆と政権の奪取を目的とする反政府運動ではなく、世界的な新自由主義グローバリゼーションがもたらす構造的な搾取と差別に対して闘うことを目的とした運動であるという意味においても従来にない左翼ゲリラであった。
関連項目

メキシコの歴史

反グローバリゼーション

正義と尊厳ある平和のための運動

自由と民主主義のための学生緊急行動 - マルコス副司令官の考えに基いて、代表者を据えていない[3]

脚注^ Coe, Michael D. (1999) [1966]. The Maya (6th ed.). Thames and Hudson. p. 191. 
^ Castells, M., 1997, The Information Age, II: The Power of Identity, Blackwell, ch.2.
^ 高橋源一郎×SEALDs 『民主主義ってなんだ?』 河出書房新社、2015年。 

文献

E・ピンチョン(清水政二 訳)『サパタ その波らんの生涯』フジ出版社、1972年

サパティスタ民族解放軍(
太田昌国・小林致広訳)『もう、たくさんだ! メキシコ先住民蜂起の記録1』現代企画室、1995年4月、ISBN 4773894121

藤岡美恵子・中野憲志(共編)『グローバル化に抵抗するラテンアメリカの先住民族』現代企画室、2005年4月、ISBN 4773805021

リカルド・ポサス(清水透訳著)『コーラを聖なる水に変えた人々 メキシコ・インディオの証言』現代企画室、1984年12月、ISBN 4773884029

マルコス副司令官(小林致広訳)『老アントニオのお話 サパティスタと叛乱する先住民族の伝承』現代企画室、2005年3月、ISBN 4773804114

マルコス副司令官ほか(小林致広訳)『ラカンドン密林のドン・ドゥリート カブト虫が語るサパティスタの寓話』現代企画室、2004年8月、ISBN 4773801050

マルコス副司令官・イボン・ル・ボ(共著)『サパティスタの夢』(インディアス群書5)、現代企画室、2005年4月、ISBN 4773801018

山本純一『インターネットを武器にした“ゲリラ” 反グローバリズムとしてのサパティスタ運動』慶應義塾大学出版会、2002年9月、ISBN 4766409523

イグナシオ・ラモネ『マルコス・ここは世界の片隅なのか グローバリゼーションをめぐる対話』現代企画室、2002年9月、ISBN 4773802022

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、サパティスタ民族解放軍に関連するメディアがあります。


サパティスタ民族解放軍公式サイト (スペイン語)

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