サターンIB_型ロケット
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サターンIB
発射台上のサターンIB (SA-202)

使用目的有人宇宙船の地球周回軌道への投入
製造クライスラー(第一段S-IB)
ダグラス(第二段S-IVB)
規格
全高68m
直径6.6m
重量589,770kg
搭載能力
低軌道15,300kg
履歴
初飛行1966年2月26日
最終飛行1975年7月15日
総飛行回数9回
主な搭載物アポロ司令・機械船
第一段 (S-IB)
エンジンH-1ロケット8基
推力最大928.65トン (9.1MN)
燃焼時間150秒
燃料 / 酸化剤ケロシン / 液体酸素
第二段(S-IVB)
エンジンJ-2ロケット1基
推力90.6トン (890kN)
燃焼時間475秒
燃料 / 酸化剤液体水素 / 液体酸素

サターンIB(英語: Saturn IB サターン・ワン・ビーと発音される。日本では『サターン・いち・びー型ロケット』と呼ばれるのが一般的である)は、アメリカ合衆国アポロ計画で使用されたロケットである。前身のサターンIの改良型であり、第二段により強力なS-IVBを搭載していた。このロケットが完成したことにより、当時開発中だった史上最大のロケットサターンVを待たずして、アポロ宇宙船を地球周回軌道に投入しテストする手段が得られたため、アポロ計画の推進に極めて大きな効果をもたらした。サターンIBは、後にスカイラブ計画アポロ・ソユーズテスト計画でも使用された。スカイラブを含む最後の4回の飛行では、特徴である第一段燃料タンクの白と黒の塗り分けはされなかった。
データ

項目第一段 (S-IB)第二段 (S-IVB)自動制御装置アポロ司令・機械船
全高 (m)25.517.81.0024
直径 (m)6.66.66.63.9
総重量 (kg)458,107119,9201,98020,788
空虚重量 (kg)45,26713,31122514,098
エンジンH-1ロケット8基J-2ロケット1基-主ロケット1基
推力 (kN)9,122890-97.86
比推力(秒)288421-314
比推力(kN・s/kg)2.824.13-3.08
燃焼時間(秒)150470-635
燃料 / 酸化剤ケロシン / 液体酸素液体水素 / 液体酸素-四酸化二窒素 / 非対称ジメチルヒドラジン

飛行スケジュール

飛行スケジュール時間(秒)高度 (km)距離 (km)
エンジン点火-3.02..
エンジン全開-0.19..
離陸0.00..
ピッチ運動開始10.0..
ロール運動開始10.0..
ロール運動終了38.0..
マッハ1到達62.187.63.
最大動圧点75.512.16.
傾斜角固定134.40..
内側エンジン燃焼終了140.65..
外側エンジン燃焼終了144.32..
切り離し用ロケット点火145.37..
第一段 / 第二段分離145.59..
第二段ロケット点火146.97..
切り離し用ロケット燃焼終了148.33..
切り離し用ロケット分離156.58..
第一段 / 第二段接続リング分離163.28..
ピッチ制御613.95..
第二段燃焼終了616.76..
軌道投入626.76..
宇宙船分離作業準備開始663.11..
宇宙船分離728.31..

第一段 (S-IB)詳細は「S-IB」を参照S-IB図解

第一段S-IBは、9基の燃料タンク、8枚の翼、推力支持装置、8基のH-1ロケットエンジンその他多くの部品から構成されている、地球周回軌道投入用ロケットである。燃料タンクは、ジュピターロケット用のタンクの周囲を8本のレッドストーン用タンクが取り囲む形で構成されており、中央のタンクには液体酸素が、周囲のタンクのうち4本(白く塗られたもの)には液体酸素が、他の4本(黒く塗られたもの)にはケロシンが注入される。エンジン8基のうち中央の4基は固定されており、周囲の4基には方向を制御するためのジンバル(首振り)機構が設けられている。

全高:25.5m

直径:6.6m

エンジン:H-1ロケット8基

推力:928.65トン (9.1MN)

燃料:ケロシン155m3

酸化剤:液体酸素250m3

燃焼時間:2.5分

到達高度:68km

第二段 (S-IVB)詳細は「S-IVB」を参照S-IVB図解

第二段S-IVBは、サターンVの三段目と基本的には同じものである。明確に異なっているのは、第一段との接続リングと補助動力装置がついていること、そして軌道上でを再点火する機能がついていないことである。エンジンはジンバル機能を持ったJ-2が一基である。液体酸素と液体水素のタンクは一枚の隔壁だけで仕切られており、これによって重量を約10トン、全長を10フィート以上削減することに成功している。

全高:17.8m

直径:6.6m

エンジン:J-2ロケット1基

推力:90.6トン (890kN)

燃料:液体水素242m3

酸化剤:液体酸素76m3

燃焼時間:約7分

到達高度:地球周回軌道

サターンIB 全飛行記録AS-201からASTPまでのサターンIB第39B発射台上のサターンIB(ロケットの下部にある骨組がミルク・ストゥール)

シリアルナンバー計画名発射日特記事項
SA-201アポロAS-2011966年
2月26日サターンIB 初の発射。アポロ司令・機械船の無人弾道試験飛行
SA-203アポロAS-2031966年
7月5日第二段性能試験。地球を4周
SA-202アポロAS-2021966年
8月25日司令・機械船の無人弾道試験飛行
SA-204アポロ5号1968年
1月22日本来はアポロ1号で使用されるはずだった機体。アポロ月着陸船無人試験飛行。地球を36周
SA-205アポロ7号1968年
10月11日アポロ宇宙船初の有人飛行。地球を163周
SA-206スカイラブ2号1973年
5月25日宇宙ステーションスカイラブ第一次滞在クルーの飛行。地球を404周。サターンIBをサターンV用の発射台から打ち上げるための「ミルク・ストゥール(足場)」を設置しての初の発射
SA-207スカイラブ3号1973年
7月28日スカイラブ第2次滞在クルーの飛行。地球を838周
SA-208スカイラブ4号1973年
11月16日スカイラブ第3次(最終)滞在クルーの飛行。地球を1,214周
SA-209スカイラブレスキュー1974年スカイラブのレスキュー用として地上に待機。現在はケネディ宇宙センターに展示中。第一段エンジンと機械船は腐食が激しくなったため、1993年から1994年にかけて複製品に置き換えられた
SA-210アポロ・ソユーズテスト計画1975年
7月15日ソ連ソユーズ宇宙船とのランデブーとドッキング。サターンIB最後の飛行
SA-211未使用。第一段はアラバマ州アードモアの州間高速道路65号線ウェルカム・センターで打ち上げ可能な状態で保存されている。第二段はアラバマ州ハンツビルの航空宇宙博物館で、スカイラブの模型として展示されている
SA-212未使用。第二段はスカイラブ本体に改造される。なお部品の一部がかつて福岡県北九州市にあったテーマパーク「スペースワールド」に一時保管されていた[1]
SA-213第一段のみ製作。未使用
SA-214第一段のみ製作。未使用

脚注^ “スペースワールドのロケット、本当にICBM? 機体番号「SA-212」は『サターンIB』と指摘相次ぐ(篠原修司) - Yahoo!ニュース”. Yahoo!ニュース 個人. 2023年3月27日閲覧。

外部リンク

Apollo Maniacs(アポロ・マニアックス)










アポロ計画
ロケット発射試験

アポロSA-1

アポロSA-2

アポロSA-3

アポロSA-4


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