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サケ科
川を遡上するマスノスケの成熟個体
分類
サケ科(サケか、Salmonidae)は、魚類の分類の一つで、サケ目の唯一の科である[1]。サケ、マス、イワナなどを含む[2]。 サケ科(Salmonidae
分類
属は、『サケマス・イワナのわかる本』では、カワヒメマス亜科にカワヒメマス属(Thymallus)の1属、シロマス亜科にプロソピウム属(Prosopium)、ステノドゥス属(Stenodus)、シロマス属(Coregonus)の3属、サケ亜科にコクチマス属(Brachymystax)、ニシイトウ属(Hucho)、イトウ属(Parahucho)、イワナ属(Salvelinus)、タイセイヨウサケ属(Salmo)、サケ属(Oncorhynchus)の6属の、計10属が記載されている[6]。FishBaseでは、上記の10属にサルベティムス属(Salvethymus)を追加した11属となっている[7]。
種については、ネルソン(2006年)では66種としていたが、その2016年の改訂版では223種としている[8]。FishBaseでは226種となっている[7]。 カワヒメマス亜科
カワヒメマス亜科
カワヒメマス属には、キタカワヒメマス(Thymallus arcticus、英名:Arctic grayling)、ウオノハナ[10](Thymallus grubii、英名:Amur grayling)、ホンカワヒメマス(Thymallus thymallus、英名:Grayling)、チョウセンウオノハナ(Thymallus yaluensis 、英名:Yalu grayling)などがいる。 シロマス亜科
シロマス亜科
日本にはシロマス属のみ移植されている[9]。シロマス属には、ホワイトフィッシュ、シナノユキマス、アイヅユキマス、オームリなどがいる。 サケ亜科
サケ亜科
コクチマス属には、Brachymystax lenok、Brachymystax tumensis、Brachymystax savinoviの3種がいる[7]。
ニシイトウ属には、ドナウイトウ(Hucho hucho)、アムールイトウ(Hucho taimen)、チョウコウイトウ(Hucho bleekeri)、Hucho ishikawaeの4種がいる。
イワナ属は、日本には7種・亜種が棲息しており、2種は北米からの移植となる[12]。
タイセイヨウサケ属には、タイセイヨウサケ、ブラウントラウトなどがいる。
サケ属には、サケ(シロザケ)、ギンザケ、サクラマス、ニジマス、ベニザケ、ビワマス、マスノスケ、カラフトマス、クニマス、アパッチトラウト(Oncorhynchus apache、英名:Apache trout)、ゴールデントラウト(Oncorhynchus aguabonita、英名:Golden trout)、メキシカンゴールデントラウト(Oncorhynchus chrysogaster、英名:Mexican golden trout)、ノドキレマス(Oncorhynchus clarkii、英名:Cutthroat trout)、ギラトラウト(Oncorhynchus gilae、英名:Gila trout)などがいる。 サケの語源には諸説ある[13]。 平安初期に編纂された現存する日本最古の漢和辞書『新撰字鏡(しんせんじきょう)』(898?901)で既に「鮭」という名称が記述されている一方、「しゃけ」という名称が出てくるのは、江戸後期の『喰物生類むり問答』(1833?44)であるので[14]、蝦夷地との交易で「シャケ」と訛った名称が本土の交易地(主として江戸)でも広まり、鮭とシャケの呼び名の語源は別だとする意見もある。 硬骨魚類の魚の中では比較的原始的な外観を持つ。サケ科魚類の最初の化石は、ブリティッシュコロンビアの中間始新世地層で発見されているが、この化石が進化のどの段階にあるのかは分かっていない。 環太平洋で日本(16集団)、ロシア(10集団)、北米(21集団)、韓国(1集団)の計48集団のミトコンドリアDNA(mDNA)を解析した結果、塩基配列中の変異(30種ハプロタイプ)を分類し大きく3つのグループに分けることが出来た、また、遺伝的な多様性は日本が最も多く次いでロシア、北米の順であった。この結果から、広義サケ属「シロザケ」は古日本海を起源として、ロシアから北米へと分布範囲を広げていったと考えられる。Neaveによる研究でサケ属は東アジアを起源としているが、mDNAの解析結果もアジア起源を強く示唆している[15]。より進化した種(シロザケやカラフトマス)ほど長距離の回遊を行っていると考えられる。 一般的にサケは川で産まれ海に下る。海で数年かけて大きくなり、また産まれた川に戻り(母川回帰)産卵した後死亡する。魚種によって回帰性には差があり、マスノスケ、ベニザケは回帰性が強いとされ支流まで突き止め遡上するが、シロザケやカラフトマスは回帰性が比較的弱く川を間違え遡上し「迷子ザケ」となる。回帰性があるため、同じ魚種でも母川あるいは海域で遺伝的特性が異なる。多くの種は一度の産卵活動で息絶えるが、ニジマス、イワナ、イトウなどでは数年に渡り複数回の産卵活動に参加する。シロザケなどでは孵化・浮上後直ちに降海するが、サクラマス、ベニザケ、マスノスケ、ギンザケなどでは一定期間を淡水で過ごし、ある程度成長した個体がスモルト化すると降海し海洋生活を送る。降海の目的は海洋の豊富な餌を捕食することで、より大きな体となり淡水で成熟した個体より多くの卵を産卵することにある。つまり、海洋での生活は必須ではなく淡水でも成熟し繁殖活動を行う。従って、通常は降海する魚種でも何らかの原因で陸封(河川残留)された場合は、淡水中でも成熟し産卵を行う[16]。
語源
アイヌ語で「夏の食べ物」を意味する「サクイベ」「シャクンベ」が訛ったとされるもの。
肉に筋があるため「裂け」やすいことから転じたとされるもの。
肉の色が赤いため、「酒」に酔ったようにみえる、もしくは「朱」(アケ)の色であることから。
サケ科魚類の起源サケ科魚類の化石
生活史