サウナ風呂
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サウナを楽しむ人々(ドイツミュンヘン

サウナ(: sauna)は、蒸し風呂とも称する蒸気浴・熱気浴の一種で、フィンランドが発祥とされる。日本ではサウナ風呂(サウナぶろ)とも呼ばれる。サウナストーン(石)を積み上げたストーブを高温に加熱して水をかけるなどして水蒸気を発生させ、室内の温度と湿度を高める。室内の温度は約50 - 120 以上程度に設定する。サウナでをかいた後は水や外気などを浴して身体を冷まし、休憩したのちに再び入浴する温冷交代が一般的である[1]。フィンランド、バルト三国ロシアを中心に伝統的に利用され、近年は世界各国で用いられる[2]
概要 

蒸し風呂の文化自体は古来、日本を含む世界各地にあった。瀬戸内石風呂京都竈風呂滋賀県風呂、古代ローマ帝国テピダリウム(微湿浴室)とラコニクム(発汗室)、オスマン帝国などイスラム教圏のハマム、ロシアのバーニャメキシコテマスカル朝鮮半島の汗蒸(ハンジュン、??)などである[3]

発汗浴に関する最初の文献は紀元前5世紀、古代ギリシアの歴史家ヘロドトスの『歴史』に記されている。土を掘った穴に熱した石を敷き詰め、その上をフェルトテントで覆ったスキタイ族の蒸し風呂が伝統的埋葬、屍体の洗浄に使われていたことが書かれている[4]
サウナの入浴法サウナ室の内部

室内を高温に設定したサウナ室に、全裸のほかに水着タオルを用いて入室し、身体を温めて発汗を促す。温冷交代浴が一般的である。

汗を大量にかくため水分補給が不十分だと脱水症状を陥ったり、温冷交代に伴う寒暑の急激な変化でヒートショック現象を起こしたりするリスクがある。このため医学の専門家や日本の業界団体が、目的や体調に合わせて無理をせず[5]、サウナ、水風呂、外気浴、休憩を順に数回繰り返す[6]利用することを推奨している。
あまみ

サウナと水風呂の交代浴により皮膚に発現する赤いまだら模様の斑点[7]を指す。富山県方言で、本来は火などを使って火傷した際にできる斑点や赤い跡を指す言葉である。あまみはすぐ消滅することもあれば、2日程度残る場合もある。あまみの発現は日本やフィンランドで、良いサウナであるか、しっかり身体が温まったか否かの目安と見る[8]者もいる。サウナで使われるバケット(バケツ)とラドル(柄杓)と、白樺の枝葉を束ねたヴィヒタ
ロウリュ

ロウリュ: loyly)は熱せられたサウナストーンに水をかけ蒸気を出し湿度を上げる行為、またはその蒸気そのもののことである。ロウリュによってサウナ室内に水蒸気が発生すると、湿度が上がり体感温度が一気に高まる。

ロウリュによる効果

発汗作用

湿度上昇によって息苦しさや肌へのピリピリ感を抑え体への負担の軽減

アロマ水等を使うことで香りを楽しむリラックス効果

アウフグース

アウフグース: aufguss)とはサウナ室内でロウリュを行なった後に、立ち昇った蒸気をタオル等でサウナ室内に蒸気を撹拌させながらあおぎ、サウナ客へ熱い風を送ることである。日本では当初アウフグースのことをロウリュと呼ばれていたことがあり混同されている場合があるが、近年は正しい表記をするべきと区別されるようになりつつある。

アウフグースを行う者はアウフグースマスターやアウフギーサー (aufgieser) などと呼ばれる。日本では施設や人によりアウフグースを熱波、アウフギーサーを熱波師と呼ばれている。

多様なアロマを使用し、タオルをジャグリングのように回しその技術をショー的に音楽や映像と同期させたエンターテイメント性の高いパフォーマンスを行うアウフギーサーもおり、それはショーアウフグースと呼ばれる。[9]
ウィスキング

バルト三国とロシアを中心にウィスキングと呼ばれる、ヴィヒタ(ロシア語ではヴェーニク)を使ったサウナトリートメントのサービスを行っている。白樺以外にも多様な植物が利用される[10]
サウナにおける混浴水着姿でサウナへ向かう男女(フィンランド)

フィンランドのパブリックサウナでは浴場は男女別となっており、水着は着用せず全裸での入浴となっている。男女混浴のサウナでは水着着用となっている。プライベートサウナや貸し切りのサウナでは混浴することもあるが、あくまで家族や仲の良い友人たちとである。ドイツではパブリックサウナでも全裸で男女混浴となっている[11]

日本では入浴施設内にサウナが設置されていることが多く全裸での男女混浴であることはないが、水着着用を前提としたサウナの混浴施設は都市部を中心に増えている[12]
子供のサウナ入浴

日本の温浴施設・サウナ施設は、子供の入店制限や施設へ入店は可能だがサウナ室の立ち入りを制限する場合がある。フィンランドの研究では、特に5歳以下の子供は体温調節機能が未熟でありサウナや水風呂への入浴は危険がある。子供は身体の不調を自覚して言語で訴えることが難しい場合があるため親が見守る必要がある[13]

厚生労働省は2020年12月に、子供の公衆浴場での混浴について衛生管理要領を見直し、「おおむね10歳以上の男女を混浴させないこと」から「7歳以上」に引き下げた。多くの自治体が混浴可能年齢を改定[14]した。
サウナ入浴時の禁忌や注意点

高血圧の方の長時間の高温浴


生活習慣病糖尿病脳卒中の既往症、心臓病高血圧等の慢性病)のある方の温冷交代浴


飲酒泥酔状態での入浴

が禁忌とされる。このほか極度の疲労、発熱時や入浴中に異常を感じた時なども入浴は控えるべきとされている。食後の満腹状態での入浴は胃腸等の消化器系へ集中している血液が分散され健康上良くないため、1 - 2時間程度の食休みを挟んでからの入浴が推奨されている[15]

冷浴時は、自然の湖沼や河川に入る場合を含めて、溺れないよう注意することも必要である[16]
サウナの種類
中世以前のサウナ
ダグアウトサウナ

石器時代の最も原始的なサウナで、テントサウナに近い形状をしていた。掘った穴の中に木で骨組みを組み立てて、動物の皮などでカバーする。熱した石積みストーブというものがあって蒸気を作るために水を投入し温度や湿度を調整するなど、ロウリュウの原型となるものも存在していた。石器時代はフィン人が各地を転々と狩猟しながら移動しており、組み立てと解体が容易なこの種類が使われた[17]
マーサウナ(アースサウナ)

農業や牧畜が始まり、定住生活が始まったころの地中サウナのこと。現在のサウナの原型とされる。小高い丘の地中に穴を掘り、その中に小さい小屋を建てる。石で作った炉とベンチ、屋根の上に土を載せて草を生やしたトゥルペ (TURPE) と称する形式であった[18][19]スモークサウナで使われていた石積みストーブ
スモークサウナ

フィンランド語でサブサウナ(SAVUSAUNA)と称する、煙を使ったサウナである。煙突のない小屋で薪を焚き煙と熱を充満させ、室内が暖まったら煙を排出して入浴する。約1000年間、主要なサウナとして使われてきたが、第二次世界大戦後に人気がなくなり衰退する。1980年代に再び復活したが、推定ではスモークサウナの数は30,000程度であり、これは現在のフィンランドサウナ総数の1 に過ぎない[18][17][19]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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