サイドは、アニメ作品群『ガンダムシリーズ』の宇宙世紀を舞台にした作品で用いられる、地球と月に対する5つのラグランジュポイントを中心とした軌道に設置された架空の宙域名である[1][2]。宇宙での一部の宙域名の接頭語で、後ろに番号を付ける事でスペース・コロニーの集合体を指している。 第1作『機動戦士ガンダム』の初期の企画ではロボットは登場しない予定であったが、スポンサーの要請により方針を転換し、「モビルスーツ (MS)」が生み出された(詳細は「機動戦士ガンダム#企画の経緯」および「モビルスーツ#設定の経緯」を参照)。もともと同企画の舞台は宇宙であったが、遠くても月までを想定しており、宇宙ステーションなどが活躍の舞台になる予定であった。しかし、MSの身長が18メートルと設定され、その中には入らなくなりスタッフは頭を抱えた。何かいいものがないか探し回った結果、神田の三省堂書店あたりで朝日小学生新聞の編集部による宇宙関係の本の中からジェラルド・オニールが考案した円筒形のスペース・コロニー(オニール・シリンダー)を見つけた。直径数キロメートルのコロニーであればMSが入るため、同作品に取り入れることとなった。また、美術担当の中村光毅がすでに専門の洋書を所有していたため、すぐにコロニーのデザインが起こされた[3]。 結局、『機動戦士ガンダム』ではスペース・コロニー内部での戦闘は、第1話のサイド7を除けばほとんど人の住んでいないテキサス・コロニーのみであった。しかし、続編の『機動戦士Ζガンダム』以降ではコロニー内での戦闘が多く描かれた。 初期設定では各サイドは建造順に番号が振られており、最も遠いL3点付近のルナツーを含めて6つのサイドが配置されていたが[4]、現在では、ルナツーは7つ目のサイド7と共にL3点付近に配置され、その他のサイドも月とのラグランジュポイントに存在する設定となっている。アニメ『機動戦士ガンダム』とそれ以降の作品では一部のサイドの場所と番号が変更されているが、それは一年戦争後のコロニー再生計画の結果によるものとされている[5]。 作品にもよるが、1つのサイドで1億?20億人程度の人口を持つとされる。また劇場用アニメ『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』では、サイド3の総人口が1億5000万人と語られている。しかし、ラポート社の『機動戦士ガンダム 宇宙世紀vol.1 歴史編』などの設定資料では、1つのサイドで10億人、サイド3、5のみ20億人とする説が取られている。 漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、1つのサイドで1億2000万人前後の人口とされている。このためか本作では地球環境の悪化に歯止めが掛からず、地球上に大量の難民が発生しており、巨額の費用をかけてスペース・コロニーを建造するよりも、砂漠地帯やツンドラ地帯を開発し、人が住める環境を作る方が良いのではないのかという意見も一部に出ている。 初期設定では、スペース・コロニー1基を1バンチとし、1サイドは36?40バンチ、合計13億人が居住するとしている[4]。各サイドの愛称は初期設定からすでに使用されており、サイド7のみ「トア」から「ノア」に変更されている[4]。 漫画『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』では、サイド3の居住用コロニーが約40基、1基当りの収容人口を約1,000万人としているが、一年戦争時は出兵・疎開により人口は3分の1以下に減少した結果、戦争末期の12月の総人口は1億5000万人になっているとされている。その他のサイドについてはいくつのコロニーがあるのかは不明。 宇宙における生活拠点はサイドや月以外にも、独自の軌道を取るコロニーや宇宙要塞等が存在している。また、ラグランジュポイント付近にはしばしば戦乱で破壊されたコロニーの残骸などのスペースデブリが集積して暗礁宙域が形成され、反地球連邦勢力の拠点となることもあった。 宇宙世紀のスペース・コロニーのほとんどはシリンダー型で3枚の採光ミラーを持つ「開放型」だが、サイド3だけはミラーのない「密閉型」(開放型の採光ミラーの代わりに人工太陽灯を光源に用いるタイプ)が主流である。開放型コロニーの採光部は「河」と呼ばれる。 OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の映像特典「宇宙世紀余話」では、開放型コロニーは全長42キロメートル、直径6.4キロメートル、最大収容人口3千万人としている。また、TVアニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』第1話「プレリュードΖΖ」の冒頭のナレーションでは、最初に建造された大型コロニーでは4千万人近い人々が暮らし始めたとしている。
設定の経緯(スペース・コロニー)
設定概要
スペース・コロニー
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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