サイトカイン放出症候群
概要
診療科免疫学
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サイトカイン放出症候群(サイトカインほうしゅつしょうこうぐん、英: Cytokine release syndrome、CRS)または急性輸注反応(英: Acute infusion reaction)[注 1]は抗T細胞抗体等の抗体医薬品を投与した際に起こり得る副作用であり、アナフィラキシーとは異なる概念である[1]。
血中に炎症性サイトカイン等が放出され、悪寒、悪心、倦怠感、頭痛、発熱、頻脈、血圧変動等の種々の症状が起こる[2]。何らかの治療の結果として発生する場合、CRSの症状は治療後数日から数週間まで遅れる事がある。即時性の病態[3]や重篤な病態[4]をサイトカインストームと呼ぶ(下記参照)。抗胸腺細胞グロブリン(ウサギ由来-商品名:サイモグロブリン、ウマ由来-商品名:リンフォグロブリン(販売中止))、ムロモナブ-CD3(マウス由来-商品名:オルソクローンOKT3[5](販売中止))、TGN1412(開発中止)等のほか、抗CD-20抗体(抗B細胞抗体)であるリツキシマブでも見られる。
薬剤が単球やマクロファージと結合して、T細胞等が死滅する前に活性化されてサイトカインを放出することで生ずる現象である[6]。放出されるサイトカインはインターロイキン (IL) 、インターフェロン (IFN) 、腫瘍壊死因子 (TNF) 等であり、全身性炎症反応症候群と同様である。
2011年にはサイモグロブリン使用例で肺水腫を惹起した事例が報告され[7]、サイトカイン放出症候群が原因の1つである可能性が指摘された。
薬剤の投与量を減ずることで症状は大きく軽減される[要出典]。また、投与速度を抑えたり、事前に抗ヒスタミン薬[8]や重症例ではステロイド系抗炎症薬[9]を静脈内投与することでも軽減できる。しかし、ステロイド系抗炎症薬の投与を行うと治療効果は減弱する[9]。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}発熱の予防にアセトアミノフェン500mgを抗体薬投与の1時間前に経口投与しておくことも有効である[要出典]。 サイトカイン放出症候群
サイトカインストーム
概要
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サイトカインストーム(英: Cytokine storm)(en)、または高サイトカイン血症(英: Hypercytokinemia)はサイトカインと白血球のポジティブフィードバックで発生する、時に致死的な免疫反応である。様々なサイトカインの血中濃度が上昇する[10]。IL-6 阻害が新たな治療法につながる可能性が報告されている[9]。サイトカインストーム (cytokine storm) という用語は、1993年2月のGVHDに関する論文で医学誌(英語版)に初めて掲載された[11]。 代表的な症状は、高熱、腫脹、潮紅、極度の疲労、嘔気である。多臓器不全に至り死亡する例もある[12]。 免疫系が病原体と闘う際には、感染細胞からサイトカインシグナルが放出されてT細胞やマクロファージ等の免疫細胞を炎症部位に誘導する。その後サイトカインはこれらの免疫細胞を活性化し、さらなるサイトカイン放出を促す[13]。通常は、身体はこのフィードバックを見張っているが、時には、制御が乱れて免疫細胞が1箇所に過剰に集中して活性化されることがある。その正確な理由は完全には解明されていないが、新たな高病原性の脅威に対して過剰に反応するためであろうと考えられている。サイトカインストームは臓器組織に重大な障害を与える可能性がある。例えばサイトカインストームが肺で起こった場合には、漿液や免疫細胞が気道に集中して閉塞を生じ、死亡する危険性がある。 サイトカインストーム(高サイトカイン血症)では、免疫系が抑制・疲弊していない場合には150種以上の炎症性メディエーター(サイトカイン、ラジカル、凝固・線溶系)が放出される。炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1、IL-6等)と抗炎症性サイトカイン(IL-10やIL-1Ra等)の両方の血清中濃度が上昇する[14]。 サイトカインストームは多くの炎症性疾患および非炎症性疾患(移植片対宿主病 (GVHD) 、急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) 、敗血症、エボラ出血熱、鳥インフルエンザ、天然痘、全身性炎症反応症候群 (SIRS))で発生する[15]ほか、一部の医薬品でも誘発される。その実例として、2006年に治験薬TGN1412が第I相臨床試験実施中の6名にサイトカインストームによると思しき[16]極めて重篤な反応[17]を惹起したことが挙げられる。 サイトカインストーム症候群(Cytokine storm syndrome)は、サイトカインストームを引き起こす多様な疾患群を指す概念である。サイトカインストーム症候群には、上記に挙げた疾患の他、家族性血球貪食性リンパ組織球症、エプスタインバーウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症 1918年から1919年に掛けて流行したスペイン風邪では、5千万?1億人とされる死者の中で健康であった若者の死亡数が際立って多かった理由として、サイトカインストームが発生したことが関係すると信じられている[10]。この場合、健康な免疫系は身を守るものとしてだけではなく己を攻撃するものとして動作したことになる。2003年のSARS流行の際も、香港での予備的な調査の結果、その死因の多くがサイトカインストームによると判明している[20]。
症状
原因
パンデミックでの役割