サイクル野郎
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米田達郎の漫画作品『自転車野郎』とは異なります。

『サイクル野郎』(サイクルやろう)は荘司としお漫画作品。1971年から1979年まで「少年キング」に連載された。単行本は少年画報社(ヒットコミックス)から、全37巻。現在にいたる自転車漫画というジャンルのさきがけを成している。

健康的な少年が自転車で日本一周をするその行程を題材にしたもの。当時の少年の支持を集めた複雑な装備の多い自転車や、行く先々での少年らしい風景など、荒唐無稽なきらいがあるものの、当時の道路状況・社会環境を反映した内容となっている。
内容

基本的には、丸井輪太郎・矢野陣太郎、そして男鹿半島以降は日高剣吾が自転車旅行で訪れた各地の人々の世話になりながら、あるいはトラブルに巻き込まれながら、見聞を重ねていくというものである。主人公・輪太郎が九死に一生を得るエピソードはいくつもあり、ナマハゲこと日高剣吾は後遺症が残るほどの重傷で日本一周をリタイヤするなど、実際の自転車ツーリングならばそこまではあり得ないだろうというほどの多くのエピソードを重ねながら、不自然さを感じさせないというところにベテラン・荘司としおの力量が存分に発揮されている。物語内の時間は2年あまりの経過ながら、8年もの長期連載の中でその時々の流行などが紹介されるなど、厳密にはズレが生じている。

自転車そのものが身近な存在のため、連載当時の中高生に幅広く読者を得た。自転車専門雑誌「サイクルスポーツ1980年1月号には、「サイクル野郎」完結を記念して、作者・荘司としおと読者である自転車日本一周ツーリング経験者との対談記事が掲載されている。

また、主人公たちが旅行先で利用する宿泊手段は、キャンプ、民家、旅館、ホテル、駅のベンチ等様々である。また、連載の頃に日本での施設数が最多となったユースホステルにも泊まっている。自転車ツーリスト同士が道で出会ったらVサイン等で挨拶をするといった作中描写も実際に行われていることである。この漫画は自転車旅行に限らず、未知の土地を知る旅行の楽しさ全般についての青少年向けの非常に教育的な作品となっている。

掲載誌の少年キングは本作完結後の1982年に採算割れによる休刊を余儀なくされた[1]
登場人物
主人公たち
丸井輪太郎
東京都江東区の自転車店丸井自転車商会の息子。健康的で表裏のない親しみやすい個性。高校入試に失敗し、家業の自転車店の修行として、中学校卒業後、自転車日本一周の旅に出る。日本各地での泊り込みのバイトで旅費を稼ぎながら、陣太郎やナマハゲらと時には一緒に、時には別行動を取りながら、日本一周の旅をする。愛車の名は「フェニックス号」。2度目の日本一周旅行出発のため、ジュニアスポーツ車を改造した自転車がベースながら、旅の途中で重装備のツーリング仕様となり、部品の大半は取り替えられ、フレームも含めて原型をとどめていない。
矢野陣太郎
丸井自転車商会の近所の陣太郎寿司店の跡取り息子。中学校卒業後、輪太郎と共に自転車日本一周の旅に出る。中学時代から輪太郎と一緒の自転車日本一周を約束し合っていた。あまり根気や体力はなく、トラックに便乗するなど楽をしたがる。顔はタヌキそっくり。東京都出身ながら、「……でガス」「……でやんす」等独特の言い回しをする癖がある[2]。実家の寿司屋は回によって、矢野寿司店とも陣太郎寿司とも言われている。愛車は「ダルマ号」。陣太郎が中学時代から準備していた10段変速のツーリング車。こちらも途中で改造されているが、詳細は不明。大阪で盗難に遭ったことがある。
日高剣吾(ナマハゲ)
秋田県出身。輪太郎らよりも2歳ほど年上ながら、夏の自転車北海道一周旅行で共に旅をし、意気投合したことから、帰宅を拒み、輪太郎らの後を追うように自転車日本一周の旅に出る。家業は大工であり、腕もそれなりに確かであるが、大工仕事以外は不器用極まりない。顔の造作が秋田のナマハゲそっくりなことから、そのまま渾名となった。性格は体力にモノを言わせる走り方同様、単純で愛すべき人物だが、その性格ゆえに悲劇を招いた。男性に対してはあまり社交的な性格ではなく、人見知りする傾向がある。
主人公の家族とその周囲の人々
丸井剛太郎
輪太郎の父。丸井自転車商会の主人。昔ながらの頑固職人風の親父。もともと輪太郎をあまり信用しておらず、中学卒業後、進学も就職もせず、家業も継がず、モラトリアム状態で日本一周自転車ツーリングに挑むことを快く思っていなかった。1度目の出発では崖から落ちてクラッシュして失敗しているため(第1巻)、初期には「どうせすぐあきらめて帰ってくる」と悪態をついていた。しかし後には時々輪太郎が旅先から寄越す便りを楽しみにしている。日本一周仲間のナマハゲが丸井家に滞在したことが元で、輪太郎の父が重傷を負って入院する事件に発展したことがある。
丸井マサエ
輪太郎の母。いつも割烹着の肝っ玉母さん。夫以上に大柄かつ腕力の持ち主で、夫婦喧嘩をすれば彼女が伸す。基本的に夫婦仲は良好。旅先での輪太郎を案じている。
丸井洋一
輪太郎の兄で大学生。バイク乗りで、田沼バイク店店主とも親しい。輪太郎のよき理解者にして協力者であり、兄弟仲は悪くないが、成績優秀な兄と何かと比較されることが、輪太郎の自転車日本一周旅行出発のきっかけでもあった。
丸井サユリ
輪太郎の妹。旅先からの輪太郎の手紙に一喜一憂し、夫婦喧嘩する両親よりもしっかり者といわれている。
田沼バイク店店主
丸井自転車店の向かいのバイク店の親父。輪太郎の話題に挙がると悪態を吐く皮肉屋で、輪太郎の親父とは良き喧嘩友達。娘のかおるには、輪太郎との付き合いに良い顔をしていない。オートバイ販売業者組合の団体旅行で
北海道知床岬に出かけた時に、ツーリング中の輪太郎と再会した。
田沼かおる
輪太郎の中学の同級生であり、輪太郎の憧れ。黒髪ロングヘアーの美少女で、頭部にリボンを装飾している。高校に進学しているが、輪太郎とは幼馴染でもあり、旅行中の輪太郎を案じている。
マリちゃん
陣太郎がいつも写真を持ち歩く恋人。実は幼馴染。
陣太郎の父
矢野寿司店の主人。息子たちの旅を心配し、よく丸井自転車店を訪れるが、田沼バイク店店主の悪い冗談に本気で不安に陥ることもある。物語の後半には、早く旅を終わらせることを願って、何度も旅先の陣太郎を尋ねていったが、終盤に父の大病のため、陣太郎は鹿児島で日本一周を断念することになる。
日高剣吾の父
日高工務店の棟梁。北海道一周ということで自転車旅行に出かけた息子・剣吾を待っていたが、剣吾が帰宅もせず突然、「このまま帰ったら一生後悔しそうな気がする」と日本一周にでかけたことに、取り乱していた母親とは対照的に結局、認める。
旅先で出会う人など
出発?北海道
坂巻
1巻に登場。中学生自転車ロードレースでの輪太郎のライバル。輪太郎が自転車日本一周を目指すきっかけとなった。
南小路
1巻に登場。高校生。サイクリング中のトラブルから、事故に巻き込まれ、片足
義足になった過去から高価な電装装備付きの自転車を破壊する悪戯を繰り返し、自転車屋修行中の輪太郎と軋轢を起こす。輪太郎の2度目の日本一周出発をただ一人見送る。
源さん
1巻に登場。埼玉県加須市で出会った鯉のぼり染付け職人。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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