ゴールド・ダガー賞( - しょう、Gold Dagger)は、英国推理作家協会が主宰するCWA賞の部門の一つで、最優秀長編作品に与えられる賞。本項では、1969年から2005年まで次点作品に与えられたシルバー・ダガー賞についても記す。名称のダガーとは短剣のことで、それぞれの受賞者には賞金と金・銀の短剣が贈られる。
1955年から1959年までは、クロスド・レッド・ヘリング賞 (Crossed Red Herring Award) という名称であったが、1960年より現在のゴールド・ダガー賞に改称された。また、1995年から2002年までは、スコットランドのスコッチ・ウイスキーの蒸留場「マッカラン」がスポンサーに付いていたため、「マッカラン・ゴールド・ダガー」とも呼ばれた。2006年から2008年には、ロンドンのプライベートバンク「ダンカン・ローリー
(英語版)」がスポンサーに付き「ダンカン・ローリー・ダガー」と呼ばれ、この時期の受賞者には2万ポンドの賞金が与えられた。この額は、推理小説の賞金として世界最高額であった。2008年にダンカン・ローリーがスポンサーを撤退したことにより、賞の名は再び単に「ゴールド・ダガー賞」へと戻り、賞金も2,500ポンドへ減額された。2005年までは、翻訳小説も審査対象に含まれていたが、2006年以降は賞を分割し新たに「インターナショナル・ダガー賞」が創設された。 略称:GD - ゴールド・ダガー賞(CRH - クロスド・レッド・ヘリング賞、DLD - ダンカン・ローリー・ダガー賞)、SD - シルバー・ダガー賞
各年の結果
1950年代(1955年 - 1959年)
1955年
CRH - ウィンストン・グレアム
リー・ハワード 『死の逢びき』
ナイオ・マーシュ 『正義の秤』(別訳:『裁きの鱗』『オールド・アンの囁き』)
マーゴット・ベネット(英語版) 『飛ばなかった男』
1956年
CRH - エドワード・グリアスン(英語版) 『第二の男』[† 1]
セアラ・ゲイナム(英語版) "Time Right Deadly"
アーサー・アップフィールド(英語版) "The Man of Two Tribes"
J・J・マリック 『ギデオン警視の一週間』
1957年
CRH - ジュリアン・シモンズ 『殺人の色彩』[† 2]
ナイオ・マーシュ 『道化の死』
ジョージ・ミルナー "Your Money and Your Life"
ダグラス・ラザフォード 『遠い山彦』
1958年
CRH - マーゴット・ベネット(英語版) 『過去からの声』[† 3]
マージェリー・アリンガム 『殺人者の街角』
ジェイムズ・バイロム "Or Be He Dead"
ジョン・シャーウッド(英語版) "Undiplomatic Exit"
1959年
CRH - エリック・アンブラー 『武器の道』[† 4]
ジェイムズ・マンロー(英語版) "A Way Back"
メナ・ギャリー(英語版) "Strike for a Kingdom"
1960年代
1960年
GD - ライオネル・デヴィッドスン 『モルダウの黒い流れ』
メアリー・スチュアート 『銀の墓碑銘』
ジュリアン・シモンズ 『犯罪の進行』
1961年
GD - メアリー・ケリー(英語版) 『盗まれた意匠』
ジョン・ル・カレ 『死者にかかってきた電話』
アラン・プライア(英語版) "One Way"
1962年
GD - ジョーン・フレミング(英語版) "When I Grow Rich"
エリック・アンブラー 『真昼の翳』
コリン・ワトスン(英語版) 『浴室には誰もいない』
1963年
GD - ジョン・ル・カレ 『寒い国から帰ってきたスパイ』
ニコラス・フリーリング(英語版) 『バターより銃』
ウィリアム・ハガード(英語版) 『架空線』
1964年
GD - H・R・F・キーティング 『パーフェクト殺人』
ギャビン・ライアル 『もっとも危険なゲーム』
ロス・マクドナルド 『さむけ』
1965年
GD - ロス・マクドナルド 『ドルの向こう側』
ディック・フランシス 『興奮』
エマ・レイサン(英語版) 『死の会計』
1966年
GD - ライオネル・デヴィッドスン 『シロへの長い道』 ※ 2度目の受賞
ジョン・ビンガム(英語版) 『ダブル・スパイ』
1967年
GD - エマ・レイサン(英語版) 『小麦で殺人』
コリン・ワトスン(英語版) "Lonely Heart 4122"
1968年
GD - ピーター・ディキンスン 『ガラス箱の蟻』
ニコラス・ブレイク 『秘められた傷』
1969年
GD - ピーター・ディキンスン 『英雄の誇り』 ※ 2度目の受賞
SD - フランシス・クリフォード(英語版) 『間違われた男』
1970年代
1970年
GD - ジョーン・フレミング(英語版) 『若者よ、きみは死ぬ』 ※ 2度目の受賞
SD - アントニー・プライス(英語版) 『迷宮のチェスゲーム』
1971年
GD - ジェイムズ・H・マクルーア(英語版) 『スティーム・ピッグ』
SD - P・D・ジェイムズ 『ナイチンゲールの屍衣』
1972年
GD - エリック・アンブラー 『グリーン・サークル事件』
SD - ヴィクター・カニング(英語版) 『階段』
1973年
GD - ロバート・リテル 『ルウィンターの亡命』
SD - グウェンドリン・バトラー(英語版) "A Coffin for Pandora"
1974年
GD - アントニー・プライス(英語版) 『隠された栄光』
SD - フランシス・クリフォード(英語版) 『さらばグロヴナー広場』
1975年
GD - ニコラス・メイヤー 『シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険』
SD - P・D・ジェイムズ 『黒い塔』
1976年
GD - ルース・レンデル 『わが目の悪魔』
SD - ジェイムズ・H・マクルーア(英語版) 『ならず者の鷲』
1977年
GD - ジョン・ル・カレ 『スクールボーイ閣下』 ※ 2度目の受賞
SD - ウィリアム・マッキルヴァニー(英語版) 『夜を深く葬れ』
1978年
GD - ライオネル・デヴィッドスン 『チェルシー連続殺人事件』 ※ 3度目の受賞
SD - ピーター・ラヴゼイ 『マダム・タッソーがお待ちかね』
1979年
GD - ディック・フランシス 『利腕』
SD - コリン・デクスター 『死者たちの礼拝』
1980年代
1980年
GD - H・R・F・キーティング 『マハーラージャ殺し』 ※ 2度目の受賞