ゴム
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その他のゴムについては「ゴム (曖昧さ回避)」をご覧ください。
天然ゴムの原料となるラテックスの採取

ゴム(護謨、オランダ語: gom)は、元来は植物体を傷つけるなどして得られる無定形かつ軟質の高分子物質。現在では、後述の天然ゴムや合成ゴムのような有機高分子を主成分とする一連の弾性限界が高く弾性率の低い材料すなわち弾性ゴムを指すことが多い。エラストマーの一種であり、エラストマーはゴムと熱可塑性エラストマーの二つに分けられる。
概念.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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今日のオランダ語で gom、英語で gum、フランス語で gomme、ドイツ語で Gummiなどと一群の欧州言語で表記される物質は、古代中世には、アルコールには不溶だが、水を含ませると著しく膨潤してゲル状になり、種類によってはさらに水を加えると粘質のコロイド溶液となる植物由来の物質を指しており、主として多糖類から構成されている。逆に、水には不溶だがアルコールには溶ける植物由来の無定形の樹脂はレジンと呼ばれる。こうしたゴムの代表がアラビアゴムであり、また似たものにトラガカントゴムやグアーガムがある。近代の発酵工業によって新たに登場した類似物質として、キサンタンガムが知られる。これらは食品の粘度を調整したり(増粘多糖類)、接着剤、あるいは水彩絵具の基質として用いられてきた。これらは弾性ゴムが一般的となってからは水溶性ゴムと呼ばれている。

一方、16世紀になってヨーロッパ人が中南米の文化や自然産物と接触するようになってから、彼らが古くから知っていたゴム(ガム)に似ているが、それらにはない新しい性質を持った植物由来の物質が知られるようになり、また導入され、古くから知られていたゴム(ガム)と同じ範疇の物質としてゴム(ガム)と呼ばれた。これらは植物体に含まれる乳液(ラテックス)を採取し、凝固させることによって得られるものであった。その中のひとつはチクルの幹から得られ、人間の体温程度の温度で軟化するもので、噛む嗜好品として用いられていた。このゴム(ガム)に関しては、チューインガムを参照されたい。

以下、弾性ゴムについて詳述する。
歴史
天然ゴム

天然ゴムはクリストファー・コロンブスによって1490年代にヨーロッパ社会に伝えられた[1]。1493年、カリブ海の島に立ち寄ったコロンブスは大きく弾むゴムボールを見て非常に驚いたと伝えられている[2]。コロンブスによってゴムはヨーロッパに伝えられたものの不思議な物質として珍重されたがその後200年間は特に実用化されなかった[2]

1736年、フランスのシャルル=マリー・ド・ラ・コンダミーヌが南米を訪れた際、原住民がゴムの樹液から防水布やゴム靴などをつくっている様子を本国に報告したことからゴムの実用化が進められるようになった[2]

パラゴムノキの幹から採取されるラテックスを凝固させたものは高い弾性限界と弾性率の低さを併せ持ち、後世ヨーロッパで産業用の新素材として近代工業に欠かせない素材として受容され、発展することとなった。そのため、パラゴムノキ以外の植物からの同様の性質のゴムが探索され、また同様の性質を持つ高分子化合物の化学合成も模索されることとなった。この一群のゴムを弾性ゴムと呼び、イギリスの科学者ジョゼフ・プリーストリー鉛筆の字をこすって (: rub) 消すのに適することを報告したこと(消しゴムの発祥)から、英語ではこするものを意味するラバー (rubber) とも呼ばれることとなった[2]

また、天然のゴム類似物質としてガタパーチャ(グッタペルカ)が知られるようになった。

19世紀末、グッドイヤーによる加硫の発見によってゴム工業は大規模な工場生産へと変化した[3]。さらに1888年のダンロップによるニューマチックタイヤの特許取得によりゴム素材は自動車用タイヤに用いられるようになり自動車工業の勃興にもつながった[3]
合成ゴム

天然ゴムの代替品(合成ゴム)の研究が始まったのは20世紀初頭である[3]1913年には、アメリカのアールとカイラズが合成ゴムを発明[4]。第一次世界大戦中にはドイツにメチルゴム合成工場ができ月180トン生産していた[3]

しかし、合成ゴムの本格的研究が始まったのは1930年代になってからである[3]。天然ゴムの主成分はイソプレンの重合体であるが、イソプレン (CH=C(CH3)−CH=CH2) のように2つの二重結合が1つの単結合を挟んだ構造を持つジエン化合物の重合体からゴム様物質が得られると予測されており、1930年にはアメリカでイソプレン分子におけるメチル基塩素原子で置換したクロロプレン (CH2=CCl−CH=CH2) の付加重合により、クロロプレンゴム (CR) が開発された。1934年にはスチレン・ブタジエンゴム(SBR)の商業生産が始まった[3]
日本におけるゴム製造の始まり

日本における近代的ゴム工業は、明治19年(1886年)に「土谷護謨製造所(のち三田土ゴム)」によって加硫ゴムの生産に成功したことに始まる[5]。創業者の土谷秀立(1849-1919、松前藩家老勘定奉行・田崎忠純の子で土谷駒太郎の養子) は、松前藩が収入源としていた沈没船引き上げや海産物採取などを通して輸入品のゴム製潜水服を知り、明治維新後上京し、実の兄弟である田崎忠篤、忠恕、長国とともに東京市浅草区神吉町(現東京都台東区東上野5丁目15番地)で海産物採取と潜水用ゴム衣の修繕を生業とした[6][7]

ゴム衣やゴムホースはすべて輸入品であったため兄弟でゴムの研究を始め、明治16年にゴムのりを作ることに成功した[6]。当初はアメリカから輸入したパラゴム(天然ゴム)を細かく切って揮発油に浸して膨潤させ、硫黄革やリサージなどを加えて長時間練ることでゴムのりを作り、それを皿に移して乾かし、綿棒でのばしてゴムシートにしていた[6][8]

その後、独自の熱加硫方法を考案し、明治19年に土谷が土谷護謨製造所を創立、明治23年頃には田崎(長国)が東京職工学校手島精一教授の米国視察に同行し、原動機によるゴム練りや蒸気による加熱、型の使用についての知見を得た[9]。明治25年には土谷ゴムを改組して、土谷と田崎三兄弟を意味する「三田土護謨製造合名会社」に改称、東京市本所区中ノ郷業平橋(現東京都墨田区業平橋)にロールを保有する本格的工場を稼働させた[6]。防水ゴム布のほか、ホースやエボナイトなどの工業製品、ゴム玩具やゴム靴も製造し、日清戦争日露戦争が始まると軍需品も製造し発展した[9]


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