ゴムノキ(ゴムの木)とは、ラテックス(ゴム質を得ることのできる樹液)などからゴムを資源として採取できる樹木の総称である。したがって、様々な種類が存在する。 日本では単にゴムノキと言ったときに、産業的には天然弾性ゴムの原料として重要なパラゴムノキを意味することが多いが、家庭では、観葉植物として広く流通し、普及しているインドゴムノキを指すことが多い。 年中高温多湿の気候であることこそが、ゴムノキの栽培に適した自然条件といえる。適温は24?27度程で、相対湿度は75?85%がよい。雨量は多くしかも乾期が無いことが望ましく、毎月125ミリ以上の降雨のあることが好条件である。ゴムノキは肥沃かつ排水の良い土壌を好みはするものの、この点ではかなりの悪条件にも耐えられて、痩せたラテライトの土地や、排水の悪い湿地のような場所でも生育し得る。ただし、ゴムノキは風に対する抵抗力が低いので、強風を避けることも考慮しなければならない。 なお、ゴムノキが丘陵地や斜面を好むというのは、マレーシアで生まれた誤解である。マレーシアでゴムノキのプランテーションが発達した頃までには、すでに沖積地は水田として利用されていたため、マレーシアにおけるゴム農園の大部分が波状の台地や丘陵地に作られた。このことが原因で、丘陵地や斜面を好むという誤解が生まれたのである。
種類
弾性ゴム
トウダイグサ科パラゴムノキ属
パラゴムノキHevea brasiliensis - 天然ゴムの主要な原料。原産地はブラジルだが、世界中の熱帯地域で栽培されている。
Hevea benthamiana - 原産地ブラジルではパラゴムノキのほかに2種が栽培されている。
Hevea guianensis
クワ科イチジク属。かつて天然ゴムを採取したが、今日では主として観葉植物とする。
インドゴムノキ - Ficus elastica
カシワバゴムノキ - Ficus lyrata
ベンジャミンゴムノキ - Ficus benjamina
クワ科アメリカゴムノキ属
パナマラバーツリー Castilla elastica
フトモモ科ユーカリ属(ユーカリ) - 一部はゴムがとれ gum tree (ガムツリー)と呼ばれる。
カメレレ Eucalyptus deglupta
サザンブルーガム Eucalyptus globulus
マウンテングレイガム Eucalyptus goniocalyx
スクリブリーガム Eucalyptus haemastoma
メイデンガム Eucalyptus maidenii
ホワイトガム Eucalyptus rossii
フォレストレッドガム Eucalyptus umbellata
マナガム Eucalyptus viminalis
アカテツ科
グッタペルカ属 ガタパーチャPalaquium
バラタMimusops balata
トチュウ科
トチュウ
水溶性ゴム
マメ科アカシア属。アラビアガムの原料。
アラビアゴムノキ Acacia senegal - アラビカガムの主要な原料。
アラビアゴムモドキ Acacia nilotica, syn. Acacia arabica - インドで小規模に栽培されている。
チューインガム
アカテツ科マニルカラ属(英語版)
サポジラ Manilkara zapota - チクルの主な原料。
マンサク科フウ属(スイートガム) - リキッドアンバーの原料。
アメリカンレッドガム Liquidambar styraciflua
栽培条件
関連項目
カシワバゴムノキ - クワ科。
グアユールゴムノキ
マニホットゴムノキ(英語版)
フンツミアエラスチカ(英語版) - 西アフリカ原産のゴムの原料
ロシアタンポポ(英語版)
ザンジバルツルゴム(英語版)
参考文献
能登志雄『湿潤熱帯』《現代地理学シリーズ 1》朝倉書店、1970年。