ゴッドファーザー
PART III
The Godfather Part III
終盤の舞台となったシチリア・パレルモのマッシモ劇場
『ゴッドファーザー PART III』(ゴッドファーザー パート スリー、原題: The Godfather Part III)は、1990年に公開されたアメリカ映画。監督はフランシス・フォード・コッポラ。
1972年に公開された『ゴッドファーザー』および1974年に公開された『ゴッドファーザー PART II』の続編であり、三部作「ゴッドファーザー・シリーズ」の第3弾。2020年に再編集版が製作され、タイトルは『ゴッドファーザー〈最終章〉:マイケル・コルレオーネの最期』(原題: The Godfather Coda: The Death of Michael Corleone)に改められた。 前作から16年の歳月を経て、かつての主要スタッフ・キャスト陣が再結集して作り上げた、一大叙事詩のエピローグである[3]。主人公マイケル・コルレオーネの最晩年の物語であり、彼のこれまでの所業に対する懺悔と苦悩を描きながら、その悲劇的な人生を壮大な楽曲節コーダで締めくくる[4]。 コッポラによれば、本作は製作当初から、三部作(トリロジー)の最終作というよりも、前二部作(デュオロジー)に対する後日譚として位置けており、パラマウント側に却下されるまで、そのタイトルも『PART III』ではなく『コーダ:マイケル・コルレオーネの死』(原題: Coda: The Death of Michael Corleone)を予定していた[5]。 公開30周年となる2020年、コッポラは本作を新たに再構成し、タイトルも当初の構想に基づく『ゴッドファーザー〈最終章〉:マイケル・コルレオーネの最期』(原題: The Godfather Coda: The Death of Michael Corleone)に変更して、作品を改めてリリースした[6]。興行的な不発やアカデミー賞受賞に至らなかった点を含めて、世界映画史上最高傑作の一つとも評される偉大な前2作品に比して否定的な評価も少なくなかった本作であるが、この再編集版を期に再評価される動きが生まれている[7][8]。 1979年のニューヨーク、ファミリーのドンとなったマイケル・コルレオーネは、父の名を取った「ヴィトー・コルレオーネ財団」の名の下、合法的な組織を率いていた。「シシリー復興のための資金」との名目で行った多額の寄付が功を奏してバチカンより叙勲され、同時にバチカン内の資金運営を掌るアメリカ人のギルディ大司教との関係を得る。そして、それをきっかけとして長年にわたって非合法ビジネスに関与してきた一族の活動から引退を決意するとともに、合法ビジネスへの全面的な転換を画策していた。 その後、寄付の窓口的役割を果たしたギルディ大司教と、その関係者による横領で発生した莫大な損失金の穴埋めと引き換えに、バチカンと関係の深い、ヨーロッパを中心に活動する投資会社「インターナショナル・インモビリアーレ」の株の25%の取得、そして同社の経営権の奪取への後援を得ることで、合法ビジネスへの路線変更を試みる。だが、マイケルの後継者はマイケルの息子のアンソニーではなかった。アンソニーは「優しい伯父」であったフレドの粛清がトラウマとなり、一貫してファミリーとそのビジネスを嫌悪し、大学を中退しオペラ歌手への道を進もうとしていた。 その上で、マイケルは甥っ子にあたるヴィンセント(長兄ソニーの私生児)を自らに付き従わさせ、ファミリーの違法ビジネスの大部分を引き継いでいった。ヴィンセントと新興ボスであるジョーイ・ザザとの対立を和らげようとするものの、ヴィンセントの後見役となったことでマイケルとザザとの確執はかえって悪化する。アトランティック・シティのカジノホテル「パラッツォ・アズーリ」のペントハウスで行われた友好ファミリーの幹部会の最中、自身への待遇に不満を述べて途中退席したザザが手下を使って、上空のヘリコプターから会場を襲撃する。マイケルはヴィンセントの助けで難を逃れたものの、この襲撃により友好ファミリーの幹部が多数殺傷されてしまう。この襲撃は、旧来のファミリーから低い評価しか受けていなかったザザが単独で行ったわけではなく、自らも深い利権関係を持つバチカンとの関係を深めていたマイケルの追い落としを狙ったドン・アルトベッロの指示で行われたものだった。 またこの頃、アルトベッロの友人でイタリア政界の大物、かつ「インターナショナル・インモビリアーレ」の経営陣の一人で、ギルディ大司教をはじめとするバチカン内にも強い影響力を持つドン・ルケージによって、マイケルの「インターナショナル・インモビリアーレ」の経営権の奪取は激しい妨害を受けた上、マイケルが投資した資金がギルディ大司教が資金運用を委託していたアンブロシアーノ銀行頭取のフレデリック・カインジックに横領されてしまう。さらにマイケルには、糖尿病という病魔が忍び寄っていた。病状は進行し、襲撃後には低血糖発作により倒れて入院するという深刻な状態に陥ってしまう。 マイケルの妹コニーの支援を受けたヴィンセントは、マイケルの承認を受けないまま、アトランティック・シティの襲撃の報復としてザザを暗殺する。マイケルは自分の指示を受けずに行動したヴィンセントとコニーを叱責し、ヴィンセントに勝手な行動を慎むように言う。またこの頃、ヴィンセントはマイケルの娘であり従姉妹であるメアリーと恋仲になる。病状が回復したマイケルはシシリーに向かい、かつてソロッツォとマクラスキー警部を殺害した後に匿ってもらったドン・トマシーノの屋敷に滞在する。マイケルはバチカンへの工作を指示すると同時に、ヴィンセントにスパイとしてアルトベッロの元に潜入するように指示する。ヴィンセントはアルトベッロの元に近付き、一連の事態の黒幕がルケージであることを突き止める。ルケージとアルトベッロは利権を犯すマイケルを抹殺するため、殺し屋のモスカにマイケル殺害を依頼する。 同じ頃、マイケルはルケージと組むギルディを追い落として「インターナショナル・インモビリアーレ」の経営権を手に入れるため、改革派のランベルト枢機卿と手を結ぶ。その際、マイケルはランベルトに告解を行い、過去に犯した罪、特に次兄フレドを粛清した罪を告白する。シシリーに戻ったマイケルは、息子アンソニーのオペラデビューを観劇するために同行していた前妻ケイをコルレオーネに連れて行き、関係の修復を図る。二人の関係は修復したが、直後にトマシーノが何者かによって殺害され、マイケルは再び苦悩に陥る。マイケルはゴッドファーザーの地位をヴィンセントに譲り引退を決意する。ヴィンセントは「メアリーから手を引く」という条件を受け入れゴッドファーザーの地位を引き継ぎ、新法王となったランベルトの改革により失脚したルケージ、アルトベッロ、ギルディの殺害を指示する。 アンソニーのオペラデビューの日、ケイを含めたマイケル一家は総出で観劇に訪れ、マイケルを狙う殺し屋が差し向けられたことを知ったヴィンセントはその警備に当たる。同じ頃、ヴィンセントが送り込んだ刺客たちによりルケージ、アルトベッロ、ギルディの3人は殺害される。同時に彼らの差し金によってランベルトも毒殺されてしまい、また、劇場内でマイケルの警護に当たっていたヴィンセントの部下たちもモスカに殺されるが、マイケルはそうと知らないまま難を逃れる。オペラが終わり劇場を後にしようとするマイケルの元にモスカが忍び寄り銃撃する。取り押さえられたモスカはその場でヴィンセントに射殺されるが、モスカの放った銃弾はマイケルを負傷させ、さらに彼の側にいたメアリーの命を奪った。娘を失ったマイケルは絶叫し、それから十数年後、シシリーで追憶と孤独の中、死んでいった。
概要
あらすじ
登場人物
主人公アンディ・ガルシア(2009年)
マイケル・“マイク”・コルレオーネ
演 - アル・パチーノコルレオーネ家の現家長。組織を合法化させることに尽力し、1979年にパパル賞を授与される。しかし完全にマフィアから足を洗うことはできず、過去に犯した罪に強い罪悪感を抱き続けている。合法ビジネスへの全面的な転換を試みようとするが、裏切ったジョーイ・ザザの襲撃を予知できず、ヴィンセントに助けられたことで判断力が鈍ったことを自覚し、そこへ糖尿病で倒れて衰えを感じざるを得なくなる。