コーシー(ローレンツ)分布確率密度関数
緑線が標準コーシー分布
累積分布関数
色は確率密度関数と同じ
母数 x 0 ∈ R {\displaystyle x_{0}\in \mathbb {R} } 位置
コーシー分布(コーシーぶんぷ、英語: Cauchy distribution)は、連続確率分布の一種である。分布の名称は、フランスの数学者オーギュスタン=ルイ・コーシーに因む。確率密度関数は以下の式で与えられる。 f ( x ; x 0 , γ ) = 1 π γ [ 1 + ( x − x 0 γ ) 2 ] = 1 π γ ( x − x 0 ) 2 + γ 2 {\displaystyle f(x;x_{0},\gamma )={\frac {1}{\pi \gamma \left[1+\left({\dfrac {x-x_{0}}{\gamma }}\right)^{2}\right]}}={\frac {1}{\pi }}{\frac {\gamma }{(x-x_{0})^{2}+\gamma ^{2}}}}
ここで x0 は分布の最頻値を与える位置母数(英語版)、γ は半値半幅を与える尺度母数(英語版)である。
この分布は、ヘンドリック・ローレンツの名を取ってローレンツ分布と呼ばれることもあり、またこれら2人の名前を合わせてコーシー-ローレンツ分布とも呼ばれる。また物理学の分野では、ブライト・ウィグナー分布という名前で知られている。この分布は強制共鳴を記述する微分方程式の解となることから、物理学では重要な存在となっている。また分光学では共鳴広がりを含む多くのメカニズムによって広げられたスペクトル線の形状を記述するために用いられる。以下では、統計学における名称であるコーシー分布を用いて説明する。
x0 = 0, γ = 1 である場合、この分布は標準コーシー分布と呼ばれ、以下の確率密度関数で与えられる。 f ( x ; 0 , 1 ) = 1 π ( 1 + x 2 ) {\displaystyle f(x;0,1)={\frac {1}{\pi (1+x^{2})}}} 累積分布関数は以下のようになる。 F ( x ; x 0 , γ ) = 1 π arctan ( x − x 0 γ ) + 1 2 {\displaystyle F(x;x_{0},\gamma )={\frac {1}{\pi }}\arctan \left({\frac {x-x_{0}}{\gamma }}\right)+{\frac {1}{2}}} また、逆累積分布関数は次の通りである。 F − 1 ( p ; x 0 , γ ) = x 0 + γ tan ( π ( p − 1 / 2 ) ) . {\displaystyle F^{-1}(p;x_{0},\gamma )=x_{0}+\gamma \tan(\pi (p-1/2)).} コーシー分布は、期待値や分散(およびより高次のモーメント)が定義されない分布の例として知られる。最頻値と中央値は常に定義され、それらはいずれも x0 で与えられる。 X をコーシー分布に従う確率変数とする。コーシー分布の特性関数は以下のように与えられる。 ϕ x ( t ; x 0 , γ ) = E ( e i X t ) = exp ( i x 0 t − γ 。 t 。 ) . {\displaystyle \phi _{x}(t;x_{0},\gamma )=\mathrm {E} (e^{iXt})=\exp(ix_{0}t-\gamma |t|).} U と V を標準正規分布(期待値0、分散1の正規分布)に従う互いに独立な確率変数であるとすると、それらの比 U / V は標準コーシー分布に従う。 X1, X2, …, Xn をあるコーシー分布に従う独立な確率変数列とすると、それらの算術平均 X ¯ = X 1 + ⋯ + X n n {\displaystyle {\overline {X}}={\frac {X_{1}+\dotsb +X_{n}}{n}}} は再び同じ位置母数、尺度母数を持つコーシー分布に従う(再生性)。この性質は、算術平均の特性関数が ϕ X ¯ ( t ) = E ( e i X ¯ , t ) = E ( e i X 1 t / n ⋯ e i X n t / n ) = E ( e i X 1 t / n ) ⋯ E ( e i X n t / n ) = E ( e i X t / n ) n = exp ( i x 0 t / n − γ 。
性質