コンプトン効果
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コンプトン効果:電子に衝突し光子の波長が変化する

コンプトン効果(コンプトンこうか、: Compton effect)とは、X線を物体に照射したとき、散乱X線の波長が入射X線の波長より長くなる現象である。これは電子によるX線の非弾性散乱によって起こる現象であり、X線(電磁波)が粒子性をもつこと、つまり光子として振る舞うことを示す。また、コンプトン効果の生じる散乱をコンプトン散乱(コンプトンさんらん、: Compton scattering)と呼ぶ。 目次

1 歴史

2 コンプトンの実験

3 現象の解説

3.1 関係式

3.2 導出


4 コンプトンプロファイル

4.1 フェルミオロジー

4.2 波動関数

4.3 磁気コンプトンプロファイルとスピン磁気モーメント


5 逆コンプトン散乱

5.1 現象

5.2 応用


6 脚注

7 参考文献

7.1 原論文

7.2 書籍


8 関連項目

9 外部リンク

歴史

1900年 - マックス・プランクが、エネルギーは従来の古典力学で説明のつく様な連続的な物理量とは違い、プランク定数振動数を掛け合わせた数値整数倍の値しか取ることが出来ず、光は量子化されているとするエネルギー量子仮説を提唱し、黒体輻射に関するエネルギー分布の説明成功した[1][2][3]

1905年 - アルベルト・アインシュタインがプランクの提唱した「エネルギー量子仮説」を拡張し、光はプランク定数と振動数を掛け合わせたエネルギーを持つ粒子光量子)の集合体であるとする光量子仮説を提唱し、光電効果原理の説明に成功した[4]

1917年 - アインシュタインは、更に光量子の運動量がエネルギーを光速cで割った量であると結論付け、ドイツ科学誌論文を投稿し掲載された[5]

1922年 - アーサー・コンプトンは自身の実験によって光量子仮説を確かな物にしたとして、12月1日から翌2日にかけてシカゴで行われた物理学会発表を行った。この議論の様子は議事録として記録され後に翌1923年2月1日号のアメリカの科学誌にも掲載された[6]。一方、コンプトンは自身の研究の詳細を12月13日付で執筆した論文にまとめ上げ、翌1923年5月1日号の科学誌に投稿し掲載された[7]

1923年 - ピーター・デバイもこの電子とX線の衝突に関心を持ち独自に研究を行っていた。彼は前述のコンプトンの論文に不足していた理論3月14日付で執筆した論文にまとめ上げ、4月15日号のドイツの科学誌に投稿し掲載された[8]。コンプトンはそのデバイの論文を参照しながら自身の論文を推敲して5月9日付で執筆した論文にまとめ上げ、11月1日号のアメリカの科学誌に再投稿し掲載されて[9]、理論の完成に至った。この理論の完成に対するコンプトンによる研究結果の寄与が大きかった事と、デバイの意向と言う2つの要因によって最終的にこの理論は「コンプトン効果」と名付けられた。

1927年 - コンプトンはその功績によりノーベル物理学賞を受賞した[10]


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