コンテナ・ターミナル
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中国・上海の洋山深水港に立ち並ぶガントリークレーンによるコンテナ荷役シンガポールケッペル港にあるケッペル・コンテナターミナルシドニー港のコンテナターミナル全景カリフォルニアロングビーチにあるT埠頭コンテナターミナルのガントリークレーン

コンテナターミナル(Container terminal)、コンテナ港(Container Port)とは、海上コンテナの海上輸送と陸上輸送の結節点となる港湾施設の総称。コンテナ埠頭ともいう。世界の海運の主流はタンカーや鉱石などの不定期船による輸送を除けば、長さが主に20フィートと40フィートとの2種類に標準化された鋼鉄製のコンテナを一定頻度で輸送する定期運航によって担われており、これらのコンテナは専用のコンテナ船という貨物船によって運ばれ、その多くがコンテナターミナルで積卸しされる。

世界経済のグローバル化に伴い進展し続ける、製造業の国際水平分業を支える国際海上コンテナ輸送において、海陸の結節点となるコンテナターミナルは、現代の港湾で最も重要な機能となっており、港湾におけるコンテナ取り扱い個数と国別の総計個数は、各国の経済力・国力を測る指標のひとつに挙げられている。例えば日本が海外から輸入する雑貨の90%はこれらのコンテナによって運搬されている[1]
施設

コンテナ船が接岸してコンテナを積み卸しする専用の岸壁を備え、これらのコンテナを運搬・保管する固定施設(コンテナヤード、管理棟、ターミナルゲート、コンテナフレートステーション、メンテナンスショップなど)、および荷役用可動施設(ガントリークレーントランスファークレーンストラドルキャリアなど)で構成される。コンテナの積卸作業だけでなく一時的に保管する機能を有するほか、国際貨物の輸出入時の保税地域としての役割も果たしている[2]
荷役エリアコンテナ・ターミナル内の概略配置
1.荷役エリア(エプロン) 2.コンテナヤード 3.ゲートエリア 4.コンテナ船 5.ガントリークレーン 6.管理棟 7.ゲートガントリー・クレーン
1.オペレータ室 2.ブーム部 3.アウトリーチ 4.スパン 5.バックリーチ 6.機械室 7.レール 8.スプレッダー 9.コンテナ船

貨物の積卸を荷役(にやく)という。コンテナターミナルの岸壁には「ガントリークレーン[3]が設置され、コンテナ船でのコンテナの積み卸しを効率的に行なっている。レールに乗ったガントリークレーンが稼動している荷役エリアは「エプロン」とも呼ばれる。1万個以上のコンテナを積む巨大コンテナ船が入港、接岸すると5-7台のガントリークレーンが同時に働いて、「シャーシ」または「ハスラー」と呼ばれるセミトレーラーに積む。これらの車両は多くがコンテナヤード内までコンテナを運ぶ役目を担っている。コンテナ船への積込はこれと逆の手順となる。これは「トランスファークレーン方式」と呼ばれる一般的な方法だが、他にもストラドルキャリアという専用の荷役機械を使う「ストラドルキャリア方式」や、コンテナをシャーシに積載したままコンテナヤードに平置きする「オンシャーシ方式」などもある。いずれの方式も国際海運に使用される大型コンテナ船の経済効率は港湾での荷役時間の短縮が重要な要素となっており、昼夜を問わず短時間での作業完了が求められる[4][5]

特に大きなガントリークレーンは、スーパーガントリークレーンと呼ばれ、アウトリーチと呼ばれるブームの前方可動範囲が50mもあるので、横方向に18列までコンテナが積まれた巨大コンテナ船にも対応できるが、世界最大のコンテナ船「エマ・マースク」では船幅56.4mでコンテナはデッキ上の積列が22列に達しているため、さらに大型のガントリークレーンを用いないと片側からは届かない。

1つのガントリークレーンで35-40個/時間程度の効率で荷役できる[1][6][5]
コンテナヤードストラドルキャリアの構造
図では手前半分が描かれており、コンテナを挟んで奥側にも同じ構造がある。車体は上部だけで繋がっており、本例では8個のタイヤの向きが細かく制御される。リーチスタッカ

コンテナヤードはコンテナを一時的に保管するエリアである。荷役エリアからセミトレーラーに乗ってやって来るコンテナは、ストラドルキャリア (Straddle carrier) やリーチスタッカ (Reach stackers) と呼ばれる特殊な輸送車両や、「トランスファークレーン」(トランステナー)と呼ばれるコンテナヤード蔵置専用の門型クレーンによって、コンテナヤード内の正しい位置に積み替えられる。コンテナを引き取りにセミトレーラーが到着すると、留め置かれていたコンテナはコンテナヤードから専用の特殊車両で運ばれてその輸送車両へ積まれて運び出される。輸出の場合はこれらの順番が逆になり、コンテナヤードで留め置かれてから荷役エリアへ移動される。

基本的にコンテナは野積みされるが、コンテナヤードにコンテナを保管する行為は、倉庫内の貨物保管と同様、一般に蔵置(ぞうち)と呼ばれる。冷凍(リーファー)コンテナの蔵置には電源供給装置(リーファーコンセント)が必要となり、一部には冷気の供給を必要とするコンテナ用の設備を備えるなど、冷凍コンテナ専用のコンテナヤードがある。

コンテナヤード内のコンテナ蔵置位置はコンピュータによって厳密に管理され、輸出入、方面別、実入り・空コンテナ別などで区分されている。またコンテナヤードからエプロンへのコンテナ移動は、コンテナ船への積み込み計画に基づき逐次適切にピックアップされる必要がある。

コンテナ船でのコンテナのセルへの積付けは船の重心バランスや寄港地の順番などに関係するため、主に一等航海士の仕事であるが、すべての作業工程はコンテナターミナルのコンピュータで管理され、トランステナー、シャーシ、ガントリークレーンは必要な指示をコンピュータから受ける[1]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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