デジタル分野におけるコンテナフォーマット (container format)は複数の個別データを単一ファイル(コンテナ)へ格納する規格(フォーマット)である[1]。
データの入れ場所(保管場所)の「ファイル」と、規格を意味する「フォーマット」で「データ格納規格」を意味するファイルフォーマットがデジタルデータの一般的呼び名であるのに対し、そのファイルフォーマットの一部である「動画の入れ物」として映像と音声を収納する規格として用いられたのが「コンテナフォーマット」という名称である。収納できるデジタルデータは、デジタル技術の進歩に合わせて、動画と共に使われる様々なフォーマットのデータが複数収納できるように拡張されてきた。規格をまとめた組織毎にさまざまな規格がある。
コンテナファイルは、さまざまな種類のデータを識別したりまとめたりすることができる。単純なコンテナフォーマットは、異なる種類の音声ファイル形式データを複数含むことができる。先進的なコンテナフォーマットは、さまざまなストリーミングを再生し直すのに必要な同期情報とともに、音声・動画・副題・章(チャプター)・字幕・メタデータ(タグ)などに対応する。 代表的な音声専用のコンテナフォーマット。 ほかの柔軟なコンテナは他メディアと同じように、多くの種類の音声や動画を含むことができる。 代表的なマルチメディアコンテナフォーマットは次の通り。
代表的なコンテナ
音声コンテナ
WAV
RIFFファイルフォーマットを拡張したもの。Microsoft Windows上で広く使われている。また、多くのPCMレコーダーもWAV形式に対応している。リニアPCMのコンテナとしてよく使われる。
AIFF
AIFFファイルフォーマット、研究開発等の経緯からMac OS上で広く使われているが、今日ではPSP(PlayStation Potable)等の各種ハード・機種にも対応している。
Sunオーディオファイル
拡張子はauやsnd。UNIX・Linuxなどで使われている。
Core Audioフォーマット
拡張子はCAF。オーディオコンポーネントCore Audio用のコンテナ形式。macOSや、iPhone・iPad・Apple Watch・Apple TV・HomePodで使われている。
マルチメディアコンテナ
Audio Video Interleave (AVI)
以前Windows用の標準だったコンテナ、やはりRIFFをもとにしている。なお、近年のものでは一部DivXやXvidといったMPEG-4準拠のコーデックを必要とするものなども存在する。
QuickTime file format (MOV)
QuickTimeの標準コンテナ。AppleのMac OSを中心に使われているが、Windows版もある。
MPEG-2システム
MPEG-2系フォーマットの一種。現在、以下の2フォーマットが存在。
1.MPEG-2 TS
世界各国のデジタル放送規格の多くで採用されているコンテナ。
2.MPEG-2 PS
DVD(DVD-Video、DVD-VR)などで採用されているコンテナ。
MP4
主にMPEG-4関連の動画・音声の記録に用いられている標準コンテナ。QuickTime file format(MOV)がベースとなっている。QuickTime PlayerやWindows Media Playerなどで再生可能。
Ogg
Xiph.Org Foundationのコーデック(Vorbis、Theoraなど)用の標準コンテナ。
Ogg Media (OGM)
Oggを独自に拡張したコンテナ。
Advanced Systems Format (ASF)
MicrosoftのWMAやWMV用の標準コンテナ。早くからストリーミング配信用(Windows向け)の主要フォーマットとして広く使われていた。
RealMedia
RealVideoやRealAudio用の標準コンテナ。
Matroska
オープンなフォーマット。DivX7やWebMで採用されている。
Material Exchange Format (MXF)
主に、放送局、プロダクションなどプロ用途で使われているコンテナである。
3GPP
NTTドコモやソフトバンクモバイルなど主にW-CDMA方式の携帯電話で使われる。MP4ファイルフォーマットをベースにしている。
3GPP2
auなどCDMA2000方式の携帯電話で使われる。こちらもMP4ファイルフォーマットをベースにしており、当初からストリーミングでの利用を考慮した形式になっている。
Flash Video (FLV)
Adobe Flashで使われるコンテナ。