コンタクトレンズ
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コンタクトレンズ (英語: contact lens) とは、角膜に接触(コンタクト)させて使用するレンズの形態をした器具である[1]。文脈によっては単にコンタクトとも呼ばれる。指に載せたコンタクトレンズ装着と脱着つけ外しできる器具がある[2]消毒・保存用の道具。
分類

性能、使用目的、効果により分類できる。日本の医薬品医療機器等法の類別に着目した場合、以下のようなものがある。
視力補正用レンズ
近視遠視乱視を補正するための医療機器である(クラスIIIに該当)。同じく視力補正のために用いられる眼鏡との最大の違いは、コンタクトレンズは角膜の上に直接乗せ接触させる点である。材質によりハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズに区別することができる。日本における医療機器のクラス分類告示によれば、中分類名としての視力補正用レンズには下記の治療用コンタクトレンズ等も含まれるが、一般的名称(細分類)としての視力補正用レンズには、次のものがある。

再使用可能な視力補正用コンタクトレンズ

再使用可能な視力補正用色付コンタクトレンズ

単回使用視力補正用コンタクトレンズ

単回使用視力補正用色付コンタクトレンズ
薄いブルーなどの色付きのレンズは、まぶしさを軽減させるためではなく、取り扱い時の視認性を向上させるためのものである。
コラーゲン使用眼防護具
角膜を保護するために眼にのせるコラーゲン製の角膜シールド
角膜矯正用コンタクトレンズ
オルソケラトロジー治療に用いられるコンタクトレンズ
網膜電位計用角膜電極
網膜電位の測定時に電位信号を伝達するため、角膜表面または角膜近傍の粘膜に接触して使用する電極である。
眼科手術用レーザーレンズ
眼科手術用レーザとともに使用するレンズをいう。通常透明の物質で、眼球、眼窩または周辺の皮膚の組織を凝固または切断するために用いるレーザ光を治療部位へ導光するために用いられるものである。
検査用コンタクトレンズ(単回使用)
特定の眼科疾患または状態の診断を支援するために用いる、眼の前面に装着するコンタクトレンズのうち、単回使用のもの。
治療用コンタクトレンズ
眼病の治療の目的で使用するものである。眼の保護、前房の封鎖、薬剤の送達、角膜曲率の変更、または網膜の治療での使用を目的とする。日本では、医療機器(クラスIII(高度管理医療機器))である。
検査用コンタクトレンズ(再使用可能)
単回使用のものは類別上「視力補正用」に位置づけられるが、再使用可能な検査用コンタクトレンズは、類別上は「検眼用器具」とされる。この「検眼用器具」には、検眼レンズや隅角鏡などが分類される。
非視力補正用色付コンタクトレンズ(ファッション用カラーコンタクトレンズ
カラーコンタクトレンズ装用例

再使用可能な非視力補正用色付コンタクトレンズ

単回使用非視力補正用色付コンタクトレンズ
非視力補正用色付コンタクトレンズは、視力の補正や治療・検査を目的とせず、ファッションのために虹彩部分の外観上の色を変えることを目的とするコンタクトレンズである。他の視力補正用のコンタクトレンズも完全に無色透明なものは少なく、着け外しや手入れといった取り扱いの際にコンタクトレンズ自体を見やすくするために薄く着色されたものが多い。その場合添付文書の品名表示は「色付ソフトコンタクトレンズ」などとなっているが、これらは取り扱いの便のための着色であって瞳の外見を変えることを目的としていないので、通常カラーコンタクトレンズには含めない。カラーコンタクトレンズと言った場合は、取り扱いのために着色されたレンズは含まず、外観上の色を変えることを目的に濃く着色されたコンタクトレンズを指す。日本では「カラコン」と略称される。審美目的であるため、日本においては以前は医療機器に該当しなかったが、カラコンの品質に起因する角膜炎や失明の報告が多数あったことを受け、2009年11月以降「再使用可能な非視力補正用色付コンタクトレンズ」「単回使用非視力補正用色付コンタクトレンズ」として医薬品医療機器等法による医療機器になった。(規制の経緯については後述)。
視力補正用コンタクトレンズ
特徴

眼鏡による近視矯正では物が小さく見えるとよく言われるが、近視の多くを占める軸性近視の場合、これは厳密には正しくない。軸性近視では凸レンズである角膜や水晶体が正視の場合より網膜から離れてしまっている。凸レンズには目から離れるほど物を大きく見せる効果があるので、軸性近視の者が裸眼で物を見た場合、凸レンズである角膜や水晶体が網膜から離れてしまっている分、正視より網膜に物が大きく映っている。眼鏡で近視を矯正すると、軸性近視により網膜像が拡大される効果と凹レンズにより縮小される効果が相殺して正視に近い大きさの像が網膜に映る[3]。それに対してコンタクトレンズによる矯正では、角膜との間の距離がゼロに近いため、軸性近視により拡大されたままに近い大きさで物を見ることになる。強度の軸性近視により網膜が委縮して視力が出にくくなっている場合、コンタクトレンズによる矯正として網膜像を拡大されたままとすることにより視力が出やすくなる。

また、強度の屈折異常や左右の視力が大きく異なる場合には眼鏡での矯正が難しいことがある。人によってはそれ以上の左右差があっても案外平気で眼鏡で矯正できることもある[4]が、一般に、目安として左右で2D以上の差があると眼鏡による矯正が難しいとされる。頭痛や眼精疲労を伴うために長時間装用できない者も多い。このような場合はコンタクトレンズが好適である。また、角膜に直接装着するため、裸眼と変わらない広範囲の視界を得られる上に、レンズ自体が小さいことから度数が強くても厚さはほとんど変わらない。他にも、眼鏡を装着した場合と比べて、容姿を変えることなく視力を矯正することができる、といった美容・美観上の利点を目的とする者もいる。

近視を眼鏡で矯正したときには凹レンズのプリズム効果によって輻輳が助けられて読書などで近くを見るときも目をあまり内向きにせずに済み、目が疲れにくいという効果が得られるが、コンタクトレンズではこうした効果は得られない。また、近視を眼鏡で矯正したときには見かけの調節により老眼になっても近くのものがある程度見やすい効果もあるが、コンタクトレンズではこの効果もほとんど得られない[5][6]

眼鏡は寒い屋外から暖房の効いた室内に入ったときなどに結露でレンズが曇ることがあるが、コンタクトレンズは空調の効いた室内にずっといただけでもレンズが乾燥して眼に不快感を生じたり、レンズ表面の涙の膜が破壊されることにより見え方が曇ったりすることがあり、その対策としてコンタクトレンズ用の目薬を使用する必要が生ずることさえある。

片眼鏡鼻眼鏡のような古い形式の眼鏡は使用中に外れて落ちてしまうことがあったが、今日一般的な眼鏡は、ずれやすいものでも精々鼻先にずれてしまう程度で、地面まで落下してしまうことは考えにくい。それに対して、コンタクトレンズは白目までずれてしまって視力矯正の役を果たさなくなったり、地面まで落ちてしまったりすることがある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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