コリン・デクスター
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コリン・デクスター
Norman Colin Dexter
誕生 (1930-09-29)
1930年9月29日
リンカンシャー、スタムフォード
死没 (2017-03-21) 2017年3月21日(86歳没)
職業小説家
言語英語
国籍 イギリス
ジャンル推理小説
主な受賞歴英国推理作家協会 ゴールド・ダガー賞、シルバー・ダガー賞
デビュー作「ウッドストック行最終バス」
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コリン・デクスター(Norman Colin Dexter, OBE, 1930年9月29日 - 2017年3月21日[1])は、イギリス推理作家である。イングランドリンカンシャー、スタムフォード生まれ。

ケンブリッジ大学及びケンブリッジ大学の大学院を卒業後、グラマースクールの古典学講師として教職に就いたが、聴覚障害で30歳代半ばで退職。オックスフォード地方試験委員会副書記をつとめる。クロスワードパズルのカギ作りの名手としてもよく知られている。

1975年の処女作『ウッドストック行最終バス』以降、長編12作を発表し、英国推理作家協会 (CWA) の賞(以下、CWA賞という)「ゴールド・ダガー賞」及び「シルバー・ダガー賞」をそれぞれ2度受賞した、イギリス本格派の推理小説作家の一人といわれている。
作品リスト

すべて、出版元は早川書房ハヤカワ・ポケット・ミステリハヤカワ・ミステリ文庫)であり、同社の日本語版翻訳権独占作品となっている。

巻末の内容、カバーデザイン、初版出版日、およびISBNは上段にポケット・ミステリのものを、下段にミステリ文庫のものを記した。
長編

題名原題訳者巻末カバーデザイン初版年月日ISBN備考
ウッドストック行最終バスLast Bus to Woodstock
大庭忠男訳者あとがき勝呂忠4-15-001271-7
塀の中のコリン・デクスター 新保博久渋川育由1988年11月15日4-15-077551-6新版あり
キドリントンから消えた娘Last Seen Wearing大庭忠男訳者あとがき勝呂忠4-15-001297-0
モースとまぼろしの娘のパズル 芳野昌之渋川育由1989年12月31日4-15-077552-42021年新版発行
ニコラス・クインの静かな世界The Silent World of
Nicholas Quinn大庭忠男コリン・デクスターの巧みな世界 N勝呂忠4-15-001321-7
パズル論理学 評論家 瀬戸川猛資渋川育由1990年12月15日4-15-077553-2
死者たちの礼拝Service of all the Dead大庭忠男訳者あとがき勝呂忠4-15-001362-41979年CWA「シルバー・ダガー賞」受賞
解説 翻訳家 宮脇孝雄渋川育由1992年7月31日4-15-077554-0
ジェリコ街の女The Dead of Jericho大庭忠男訳者あとがき勝呂忠4-15-001396-91981年CWA「シルバー・ダガー賞」受賞
モース警部はいかにしてセクシーとなりしか 評論家 大津波悦子渋川育由1993年3月31日4-15-077555-9
謎まで三マイルThe Riddle of the Third Mile大庭忠男訳者あとがき勝呂忠1985年3月31日4-15-001447-7
Dexterous Dexter ― 才人デクスター
小説研究者 若島正渋川育由1993年9月15日4-15-077556-7
別館三号室の男The Secret of Annexe 3大庭忠男訳者あとがき勝呂忠1987年11月15日4-15-001497-3
推理小説のドン・キホーテ
東京女子大学教授 小池滋渋川育由1994年6月10日4-15-077557-5
オックスフォード運河の殺人The Wench Is Dead大庭忠男訳者あとがき勝呂忠1991年4月30日4-15-001567-81989年CWA「ゴールド・ダガー賞」受賞
デクスターを擁護する 作家 法月綸太郎渋川育由1996年6月10日4-15-077558-3
消えた装身具The Jewel That Was Ours大庭忠男訳者あとがき勝呂忠1992年12月31日4-15-001592-9
モースのご当地オックスフォードを歩く
作家 若竹七海渋川育由1997年4月20日4-15-077559-1
森を抜ける道The Way Through the Woods大庭忠男訳者あとがき勝呂忠1993年9月30日4-15-001600-31992年CWA「ゴールド・ダガー賞」受賞
デクスターの集大成 文芸評論家 権田萬治渋川育由1998年10月10日4-15-077560-5
カインの娘たちThe Daughters of Cain大庭忠男訳者あとがき勝呂忠1995年10月31日4-15-001627-5
Thank you very much, Mr. Morse!
評論家 森英俊渋川育由2000年12月10日4-15-077562-1
死はわが隣人Death Is Now My Neighbour大庭忠男訳者あとがき勝呂忠1998年3月31日4-15-001661-5
英国版「いちびり」社長のこと
作家 西澤保彦渋川育由2001年12月10日4-15-077563-X
悔恨の日The Remorseful Day大庭忠男グッドバイ、ミスター・モース! 大庭忠男勝呂忠2000年10月31日4-15-001694-1
わが悔恨の日々 作家 山田正紀
〈特別あとがき〉
偉大なるはなたれ小僧に感謝する
― デクスターの全作品を訳して
翻訳者 大庭忠男渋川育由2002年11月20日4-15-077564-8

短編集

短編集として1冊が刊行されている。

題名原題訳者巻末カバーデザイン初版年月日ISBN備考
モース警部、最大の事件Morse’s Greatest Mystery大庭忠男 他短篇集の愉しみ
小説研究者 若島正勝呂忠1995年2月10日
ISBN 978-4150016197
モースにさよならを言う前に
小説研究者 若島正渋川育由1999年12月10日ISBN 978-4150775612
短編名(収録順)原題訳者概要
信頼できる警察As Good as Gold大庭忠男「ハヤカワ・ミステリ文庫」のみに収録
モース警部、最大の事件Morse’s Greatest Mystery大庭忠男
エヴァンズ、
初級ドイツ語を試みるEvans Tries an 0-Level大庭忠男
ドードーは死んだDead as a Dodo大庭忠男
世間の奴らは騙されやすいAt the Lulu-Bar Motel中村保男
近所の見張りNeighbourhood Watch大庭忠男
花婿は消えた?A Case of Mis-Identity大村美根子
内幕の物語The Inside Story大庭忠男
モンティの拳銃Monty’s Revolver大庭忠男
偽者The Carpet-Bagger大庭忠男
最後の電話Last Call大庭忠男

未収録短編

短編集に収録されていない短編が6本ある。そのうち邦訳が広く発行されているものは3本のみである。

短編名(収録順)原題訳者発表年邦訳初出
The Burglar1994You, The Mail on Sunday
行きつ戻りつThe Double Crossing
宮脇孝雄2003『ミステリ・マガジン』第51巻第4号(2006年4月)Mysterious Pleasures
Between the Line2005The Detection Collection
奇妙な事件の手紙The Case of
the Curious Quorum鈴木恵2006『ミステリ・マガジン』第56巻第1号(2011年1月)The Verdict of Us All
残りの半分The Other Half鈴木恵2007年2?5月『ミステリ・マガジン』第62巻第5号(2017年9月)The Strand Magazine
Morse and the Mystery of
the Drunken Driver2008Daily Mail
Clued-Up2009Cracking Cryptic Crosswords

モース警部シリーズ

「モース警部シリーズ」(Inspector Morse Mysteries)は、すでに完結した上記の長編13作から成る作品群である。主人公のモースは捜査初期段階の情報収集において、血液検査筆跡鑑定など、近代の犯罪捜査に必須であると思われる科学捜査に対する依存度が低く、関係者には理解しがたい飛躍した結論を伴う仮説の提示、構築、検証もしくは再構築を繰り返す。その後、新たに判明した事実によってこれらが覆される度に新たな推理の構築を迫られるにもかかわらず、他の誰よりも早く真実にたどり着くモースの手腕が描かれている。
登場人物
E.モース
オックスフォードシャー、キドリントンのテムズ・バレイ警察本部
CID所属の主任警部で本シリーズの主人公。Eで始まる彼のファーストネームは、作品中において誰も知らず、また、本人もそれを知らせようとしない様子が描かれており、作品中のひとつの謎となっていた。[2]詳細は「モース警部」を参照
ルイス
テムズ・バレイ警察本部CID所属の部長刑事。事件捜査における、自他共に認めるモースの相棒役で、シャーロック・ホームズに対するワトスン博士、あるいはエルキュール・ポアロに対するヘイスティングズ大尉に相当する人物と紹介されることもあるが、物語が彼の「手記」という形をとることが無く、また、モースは彼と同じ職場の上官であるという点では、上記の二者とは大きく異なっている。15歳で中等学校を卒業後は、働きながら昼間、夜間の学校に通い20歳で警察官となる。[3]作品中の年齢は不詳。ヘディントンに家を所有[4]しており、妻、子の3人家族である。ちなみに、好物は(特に妻が作る)エッグ・アンド・チップスである。大柄でがっしりした体格の元ボクサーだが、礼儀正しく温厚な印象そのままの人格で、部長刑事に昇進した4年後モースと初めて組むと、その迷走する推理と捜査に振り回されながらも信頼関係を構築し、彼の何気ない一言が触媒となった結果、モースの推理の完成に寄与することも多々あった。特技は、英単語を逆さまに読むことで、学生時代はクラスで1番だった。[5]また、自動車の運転全般が得意で、モースと共に行動するときは公用車、モースの自家用車を問わず彼が運転することが通例となっている。モースが推理のために行う飲酒によく付き合わせられるが、給料はモースの半分ほどにもかかわらず、2人分の代金合計の4分の3はルイスが支払っている。[6]モースの死後、預金の3分の1を遺産として残されている。
ストレンジ
テムズ・バレイ警察の警視正で、年齢はモースの1歳年上である。モースの捜査手法に対しては、「目の前に広くてまっすぐな道路があっても脇道に逸れるが、誰にも先頭を譲らずにゴールする。」と高く評価している。警察を退職しようと常々思っているが、後任が見つからないため慰留されるなど、なかなか計画が実現しない中、1997年妻が冠状動脈血栓で急死する。


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