「コモンウェルス」のその他の用法については「コモンウェルス (曖昧さ回避)」をご覧ください。
コモンウェルス(英: commonwealth)とは、公益を目的として組織された政治的コミュニティーを意味する用語。歴史的には共和国の同義語として扱われてきたが、原義としては哲学用語である「共通善 (英: common good)」を意味する[1]。 概念成立は15世紀頃とされる。当初は common-wealth と綴られ、原義は「共通善」ないし「公共の福祉」といった意味合いであった。また、Commonwealth という単語を「国家」という意味で用いた初期例は、オリバー・クロムウェルによる革命政府の名称(イングランド共和国 - 英: Commonwealth of England)とされる(下記参照)。その後、17世紀に英国の政治思想家(ホッブズやロックなど)によって一種の理想的な共和政体を指し示す概念(※近代政治学の理論モデル)として整理され、「共和国(英: republic)」の同義語という意味合いを強く帯びるようになった。この経緯から、17世紀から現在に至るまで「共和国」の同義語として扱われたが、20世紀に入ってからは「複数の国家や行政区などにわたる友好提携(およびその運営組織)」という新たな定義が加えられつつある。 共和政ローマ期の思想家であるマルクス・トゥッリウス・キケロは、著作『国家論』において「公共体(国家)は公衆の財産である」という一節を残している。この「公共体(レス・プブリカ、羅: res publica)」という言葉を導入するにあたり、英語圏では common-wealth(公衆の common + 財産 wealth)という直截的な訳語が充てられた[2][3]。とはいえ、キケロによって res publica (公共なるもの)と呼ばれた概念は、アリストテレスが著作『政治学』で主張した国家(ポリス 希: π?λι?)の定義、すなわち「善なる目標を共有する団体」[4]をラテン語に導入したもの[5]であり、この「共有された善なる目標」(共通善)こそが common-wealth という言葉の本質である。そして、近代の政治思想家たちが古代ギリシアの都市国家を共和政の原風景と見なしたことから、結果として「共和国」の同義語という意味を獲得するに至った[1]。 ところで、現代英語では「共和国」を Republic と表記するが、こちらは res publica と語源を同じくする 仏: republiqueからの借用語である。この単語で表記されるようになったのは、近代的な民主共和制を尊ぶ啓蒙思想が仏語圏において最も盛んに論じられたという思想史的な経緯が影響している[6]。 「コモンウェルス(Commonwealth)」は、多様な意味で使用され、統一的な日本語訳が存在しないため、以下の通り、文脈によって異なる訳語が当てられる、或いは、省略されることもある。 かつてイギリスの植民地だった諸国との緩やかな連合体として「Commonwealth of Nations」が結成されており、その加盟国の中で現在もイギリスの君主を自国の君主(元首)として戴く個々の国を「Commonwealth realm」(「レルム(realm)」の記事も参照)と呼ぶ。 なお、イギリスで定冠詞「the」を付けて「the Commonwealth」と呼んだ場合や、「New Commonwealth」と呼んだ場合、或いは、例えば「コモンウェルスゲームズ(Commonwealth Games)」のように直後に名詞を続けた場合は、上記の意味で解されることが一般的であり、また、イギリスの外務省の正式名称も「Foreign, Commonwealth and Development Office」(外務・英連邦・開発省)である。 独立国家共同体(英: Commonwealth of Independent States、略称CIS)は、ソビエト連邦の崩壊に伴い、上記の「Commonwealth of Nations」をモデルに、ソビエト連邦を構成した15ヶ国の内、バルト三国を除く12ヶ国で結成(後にジョージアとウクライナが脱退し10ヶ国に)された緩やかな連合体である。
概要
語源
訳語と用例
緩やかな国家連合体
Commonwealth of Nations
独立国家共同体
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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