コミックマーケットが抱える問題(コミックマーケットがかかえるもんだい)ではコミックマーケット準備会が主催する同人誌即売会であるコミックマーケット(Comic Market、通称:コミケあるいはコミケット)が抱える問題と課題を挙げる。コミックマーケットの歴史は2020年で45年を数える。この歴史の一面を見た場合、ある意味では漫画・アニメなどを主軸とする同人の世界が数々の諸問題の影響などを乗り越えてきた歴史を反映している。現在もまた、著作権に関する問題・描写と規制・同人イベントの参加者のモラル・イベントの肥大化とそれに付随して発生する問題を抱えている。本項では、特に肥大化の進むコミックマーケットに固有の問題を列挙する。同人誌や同人ゲームの抱える著作権問題、および過激な性的描写による表現などの問題は「同人誌」の項目も参照されたい。以下に挙げる諸問題の多くについては、コミックマーケット準備会が発行するカタログに概略が記載され参加者への注意も毎回喚起されているものである。
本記事では以下、コミックマーケット準備会のことを「準備会」と表記する。 2000年代後半以降、参加者の人数は一日あたり15万人を超え20万人に達することもある状態が続いており(実際、2008年夏のC74の1日目、2日目、3日目の入場者数はそれぞれ17万人、18万人、20万人で、一日あたりでは東京ゲームショウや東京モーターショーの2倍前後となっている[1][注 1])、身動きがとれないほどの混雑した場所もあったなどの報告[3] が毎回の様に繰り返されており、主催者側も一部エスカレーターの運用を停止するなど群集事故を防ぐ方策を講じている。 だが、日程を増やすことは容易ではなく、同人イベントに使用可能な施設としては東京国際展示場(東京ビッグサイト)が日本国内でも最大で、同種の施設(コンベンションセンターと呼ばれる展示場施設)として、これを超える規模のものは存在しておらず[4]、そのような超巨大コンベンションセンターの具体的な新設や拡張の計画も現在の国内にはなく、この膨大な参加者数は、それ自体が1つのネックとなってしまっている[注 2]。千葉市の幕張メッセは確かに東京ビッグサイトに準じる規模を持つ展示場であり過去にコミックマーケットが行われていたこともあるが、その後、コミケを追放した経緯がある(1991年8月に発生したコミケ幕張メッセ追放事件、しかし追放後の2015年3月28日 - 29日にコミケットスペシャル6オタクサミットを幕張メッセで開催)。西日本最大の展示場であるインテックス大阪の場合だと、アクセスできる公共交通機関がOsaka Metro南港ポートタウン線[注 3]しかなく、2019年に供用が開始された愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)は中部国際空港に位置することから空港利用客との混乱が起こりうることが懸念されるため、2022年に新第1展示館の供用が開始されたポートメッセなごやは名古屋臨海高速鉄道あおなみ線しかアクセスできる公共交通機関がなく、人を捌ききれないため、事実上開催が不可能である。地理的にも東京都江東区の東京ビッグサイトと千葉県千葉市の幕張メッセまでが首都圏近郊であり、大阪府大阪市のインテックス大阪と愛知県名古屋市のポートメッセなごやは遠征となり、通常規模のコミックマーケットを首都圏南関東近郊以外で大規模開催した事例はない(通常より格段に小さいSP版すら、北関東の茨城県水戸市のSP5水戸や沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターのSP3沖縄しかない)、さらに東京ビッグサイトと幕張メッセとインテックス大阪が日本3大展示場で展示面積7万平方メートル以上を誇るため、東京ビッグサイトと幕張メッセの双方が使用不可になると通常コミケ規模やコミケ以外のイベントでも東京ゲームショウなど大規模イベントは事実上開催不可能になる。他に神奈川県横浜市のパシフィコ横浜もあるが、展示面積は2万平方メートルほどと幕張メッセの3分の1にも満たない(4分の1ほどしかない)ので、展示面積不足で無理である。 なお2020年東京オリンピック・パラリンピックへの対応として、東京ビッグサイトに東新展示棟と西ホール付近の拡張棟(南展示棟)、東京テレポート駅付近の仮設展示場(青海展示棟)が新設され、2016年のC91より東新展示棟が使用されている。また、2019年のC96・97については、東展示棟でオリンピック関連の一部占用が始まるため、西展示棟・南展示棟(以上サークル)・青海展示棟(企業ブース)で行われた。オリンピック・パラリンピック開催終了に開催されたC99以後は、ホールの規模が拡大したことにより、会期が2日間に短縮された。 数十万人単位の参加者の誘導と会場警備には多くのボランティアが参加しているが、それ以上に年々参加者が増加しており、主催者も抜本的な混雑緩和策をめぐり苦慮を重ねている。コミックマーケットの一参加者でもある斎藤環は2005年9月30日の インターネット放送『マル激トーク・オン・ディマンド』
イベント肥大化と会場施設面の問題
会場容量の限界
コミックマーケット参加者の入場待機列(東京国際展示場西館付近にて撮影)
コミックマーケット参加者の企業スペース入場待機列(東京国際展示場西館屋上にて撮影)混雑する場内(C62)
参加者の体調問題コミックマーケット開催期間中、りんかい線国際展示場駅横で展開中の献血ブース