コピー商品
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任天堂オリジナルのWiiビデオゲーム機中国偽造版Vii

コピー商品(コピーしょうひん)とは、意図して何かに似せた商品である。合法のものと違法のものがある。他社の人気商品に、意匠商標などを似せる。ブランドの商標を似せる場合、偽ブランド商品とも呼ぶ。または、自然物あるいは自然物の加工品、たとえば食品や宝石などに似せた人造製品も、コピー商品と呼ぶ。物品の種類により、コピー食品、コピー車などとも呼ばれる。
無許可のコピー

主にベストセラーやロングセラーの、優れた機能・設計や、高い市場価値を持つ商品を模して製造する。またメディア関連のデータを複製して販売している物もこの範疇に含まれる。

往々にしてオリジナルの商品と比較して粗悪な材料を使用していたり、分解した部品を採寸した際に発生する誤差により、機能や耐久性の面で劣る場合があり、そのようなものは単純に粗悪品と呼ばれる場合もある。

また外見だけは似ているが、中身は全くの別物であったりする製品も出回ることがある。例えば、説明写真にあるVii(威力棒)は任天堂のWiiのコピー品とされるが中身はWiiとは異なる。服やスポーツ用品では外見だけ似ており、中身は質の悪い素材を使っている場合がある。また、人気スマートフォンのiPhoneでは、しばしばAndroid端末の外見や画面上だけ似せている製品が出回っている[1]
違法な場合サムスン(SAMSUNG)のロゴをコピーしたSANMENGのロゴサムスン(SAMSUNG)のロゴをコピーしたSUMSANGのロゴ

オリジナル商品との類似が顕著であれば、オリジナルの権利者が持つ、以下のような知的財産権を侵害することになりうる。

有効に商標登録されたブランド・ロゴ・商品名等 → 商標権

意匠(外観) → 国によって異なるが、意匠権(日本・イギリス)・共同体意匠(英語版)権(EU諸国)・デザイン特許権(アメリカ合衆国)など。

日本において意匠権は、有効に意匠登録された場合に初めて保護される事に留意すべきである。他国においては、立体商標権が存在する場合がある。

機能や製法 → 特許権

コンテンツキャラクターソフトウェア著作権

但し、他者が先行して販売する独自性を有する物品に著しく類似する物品の製造もしくは販売や、周知性を有しまたは特別顕著性を有するロゴ等の類似品を製造や販売を行った場合は、知的財産関連諸法の侵害とは別に、不正競争防止法に触れることもある。

日本では関税法(2006年までは関税定率法)で定められる「輸入してはならない貨物」にいわゆるニセブランド品が含まれており、輸入検査時や入国者への税関検査時に発覚すれば、輸入を差し止められる。
合法な場合

「無許可だが合法」な場合もある。多くの場合、国による知的財産権制度の違いや保護期間の期限切れが関係している。
正式に権利を得ている
正式に元の所有者から権利を得ている場合は合法で有る。
三菱自動車工業ルーカスフィルムと提携したスターウォーズのロゴに似せた『三菱スターカーズ』キャンペーンなど。
パブリックドメインになった
著作権・特許権・意匠権は、有効期限があるため、期限切れによりパブリックドメイン(PD)となる。そのとき商品価値がまだ残っていたなら、類似商品が同時多発的に製造販売されることとなる。医薬品の特許権が切れた場合の後発医薬品、映画の著作権の保護期間が切れた場合のパブリックドメインDVD、意匠権の保護期間の切れたジェネリックプロダクトなどがその例である。ただし、知的財産権(特に著作権)の有効期限は国により異なるため、他国ではまだ権利が有効ということもある。商標権は無限に延長可能なので、商品価値がある間に商標権が消滅することは通常はない。
権利登録をしていなかった
特許権や商標権などは、国ごとに登録が必要である。そのため、権利を登録していない国でコピー商品が販売されることがある。かつては(アメリカ旧著作権法の特殊性により)著作権でもこのようなことが起こりえた。NECインテル8086の互換チップV30を製造したとき、インテルは、日本など無方式主義諸国での登録手続きとなる著作権表示をしていなかったため、著作権を主張できなかった。
権利登録ができなかった
はちみつレモン(サントリー)の場合、その名称から商標登録を拒否されて類似品が乱立。結局サントリーは撤退の憂き目に遭った。ただし現在もサントリー食品インターナショナルから夏季限定賞品としてはちみつレモンは存在している。
その種類の知的財産権が存在しない
たとえばインドでは、成分特許が認められないため、他国では特許が有効な医薬品の後発医薬品を製造販売できる。
各国の事例ベトナムで売られている偽ブランドの安定化電源装置。SONYならぬSONYL、TOSHIBAならぬTOSIBAが商標として書かれている。
日本

1950年代の日本は繊維製品、雑貨においてデザインを盗用する業者が非常に多く、輸出品に関する悪評が問題となった。

外交窓口を通じて一年間に正式な抗議があっただけで、スプーン、フォーク、ナイフ、木製品玩具についてはデンマーク、食卓用刃物の外箱、ヘアピンの台紙、玩具時計の台紙についてはドイツ、スナップボタンの台紙、ボールベアリングの外箱、バッテリーについてはイギリス、糸染綿布についてはオーストリア、ナイロン靴下、化粧品の外箱についてはフランス、理髪用椅子、陶磁器用転写機、プロジェクター、缶詰のラベル、陶磁器、シャワーヘッド、釣具、スライドビューアー、8ミリ撮影機、8ミリ映写機についてはアメリカ、陶磁器製像、サングラスの外箱についてはイタリア、縫目リボンの箱についてカナダといった具合だった。[2]

制限付民間貿易が再開(1947)した翌年から、早速、日本製繊維製品によるデザイン侵害事例発生の苦情がイギリスマンチェスター商工会議所からGHQに持ち込まれた。

輸出振興により国内企業を育成しようとする日本政府の悩みの種で、イギリスは外交ルートを通して年に平均40件以上の苦情を申し込むだけでなく、1957年(昭和32年)には訪英した日本の藤山愛一郎外務大臣がデザイン盗用を突きつけられる事態まで発展した。

当時の通商産業省特許庁は対応に苦慮したが解決には時間がかかった。特に繊維製品に関してイギリスは強く抗議していた。ランカシャー地方の生産者は1930年代に商標の盗用をしていた日本から被害を受けた記憶を忘れていなかった。この盗用問題は外交面においてGATT35条問題を引き起こす遠因となった。即ち、イギリス、フランス、オランダを含む14ヵ国は日本側に差別的対応をする結果になった。

これは一面では外国のバイヤーが要求する場合もあったのは事実(民間の市場調査、市場開拓は渡航の困難さにより不可能だった)だが、生産者に法意識が欠如していたのも事実である。例えば紙見本はまだ許容されるとして、切見本の実物を持ってきたバイヤーの注文を確認せずに受ける繊維業者もかなりの数に上ったとされる。

そこで様々な試みがなされた。その一つは、外国人デザイナーを日本へ招くことだった。レイモンド・ローウィル・コルビジェシャルロット・ペリアン、ラッセル・ライト、フレダ・ダイヤモンド、カイ・フランクヴァルター・グロピウスが実際に創作したり、実地指導、講演をする。この第二のお雇い外国人と呼ばれた活動はデザインの重要性を普及啓発する目的があった。

また特に問題になっている産業では政府が財団を設置してメーカーに自分のデザインを登録して貰い輸出品のデザインの権利を明らかにする枠組みを作ることにした。言い換えると、盗用デザインは輸出できないという枠組みを立法の力を借りながら作ろうとした。また盗用は道徳の問題であり、自分からデザインを作ろうとしない他人任せの姿勢から生まれるところから、奨励機関を通じて啓発しようとした。これは消費者に優れたデザインの商品を知らしめることで、国民の意識を変え生産者を動かそうとした狙いから出発した。

通産省と特許庁は啓発活動として1953年(昭和28年)6月に白木屋デパートにおいてコピー商品と本物を並べて展示した。反省点を見つけ出した日本人もいたが、やり過ぎとの声も上がった。1959年に輸出品デザイン法が施行され1997年(平成9年)まで存続した。また官僚の高田忠を中心として創設されたグッドデザイン賞など、官民における活動で1960年代にはコピー商品は減少した。日本税関押収されるコピー商品は非常に多く、2011年(平成23年)時点で93 %は中華人民共和国で製造されたコピー商品である[3]
中国

中華人民共和国では、「山寨文化」(パクリ文化)と言う言葉が出来るほど、模倣品が蔓延している。

中国ではファッションブランド、電化製品自動車バイク等の様々な偽ブランドが平然と出回っており、山寨(シャンジャイ、Sh?nzhai)と呼ばれている。中にはSQNY(SONY)のラジオや乾電池[4][5]、SHARK(SHARP)のマイク[6]、HONGDA(HONDA)のオートバイ[4][5]等の紛らわしい商標を名乗った商品もあり、大きな問題となっている。


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