コネティカットのひょこひょこおじさん
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コネティカットのひょこひょこおじさん
Uncle Wiggily in Connecticut
作者
J・D・サリンジャー
アメリカ合衆国
言語英語
ジャンル短編小説
シリーズグラース家
初出『ザ・ニューヨーカー1948年3月20日
収録『ナイン・ストーリーズ』(1953年)
ウィキポータル 文学
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「コネティカットのひょこひょこおじさん」(原題:Uncle Wiggily in Connecticut)は、J・D・サリンジャーの短編小説。1948年3月20日に『ザ・ニューヨーカー』誌で発表された。短編集『ナイン・ストーリーズ』(1953年)の2番目に収められている。郊外に住む中流家庭の主婦の孤独を会話劇の中に描いた作品。グラース家の双子の兄、ウォルト・グラースが会話の中で間接的に登場する。

1949年に『愚かなり我が心』として映画化された。


目次

1 あらすじ

2 映画化

3 主な日本語訳

4 脚注


あらすじ

メアリ・ジェーンは大学時代のルームメイト、エロイーズの家を訪ね、リビングで酒を飲みながら共通の友人について雑談をしている。2人とも男がきっかけで大学を退学している。そこにエロイーズの娘ラモーナが現れる。ラモーナは眼鏡をかけて、ジミー・ジマリーノという想像上の恋人(イマジナリー・フレンド)がいる。メアリ・ジェーンは用事の時間が近づくが、エロイーズは帰そうとしない。そして過去の恋人、軍人のウォルト・グラースは自分をよく笑わせてくれた、2人でバスを追いかけて転んだとき、「かわいそうなひょこひょこおじさん[1]」と冗談を言ったと話し、引き換えに今の夫ルーの悪口を言う。

“「一度あたし、つまずいて転んじまったことがあるんだ。いつもあたしはPXの前のバス停で彼を待ってたんだけど、いつか彼がおくれて来て、ちょうどバスが出るとこだった。追いつこうとして二人で駆けだしたんだけど、あたしが転んで足首をくじいちまった。そしたらウォルトがね、〈かわいそうなひょこひょこおじさん〉だなって言うの。あたしの足首にひっかけて言ったのよ。かわいそうなひょこひょこおじさんか。……いい子だったなあ、彼」”

ウォルトはストーブの爆発の事故で死んだと話し、エロイーズは泣き始める。外から帰ってきたラモーナは、ジミーが車に轢かれて死んだと言う。

その後泥酔したエロイーズは夫からの電話で目が覚めるが、迎えに行くのを断り、メイドの亭主を家に泊めるのも断る。ラモーナの部屋に入り、ジミーが死んだのにどうしてベッドの端に寝ているのかと怒る。ラモーナがミッキー・ミカラーノという新しいイマジナリー・フレンドがいるからと答えるとエロイーズは無理矢理ラモーナをベッドの真ん中に寝かせる。そしてラモーナの眼鏡を顔に押し付けて「かわいそうなひょこひょこおじさん」とつぶやき涙を流す。
映画化

1949年に『愚かなり我が心』(原題:My Foolish Heart)の題で映画化された。短編の原作を映画化するために、原作に存在しないキャラクターやシーンが追加され、情緒的で感傷的な作品となり、批評家から酷評された[2][3]。サリンジャーも出来には満足せず、以後、「ハリウッドではひどいめに遭った」と自作の映画化を承諾することはなかった[4][5]
主な日本語訳

コネティカットのひょこひょこおじさん(『ナイン・ストーリーズ』
野崎孝訳、 新潮文庫

コネティカットのよろめき叔父さん(『九つの物語』中川敏訳、 集英社文庫

コネチカットのアンクル・ウィギリー(『ナイン・ストーリーズ』柴田元幸訳、ヴィレッジブックス

脚注^ 足首のankleと叔父のuncleをかけている。
^ しかし商業的にはヒットした。
^ ケネス・スラウェンスキー『サリンジャー 生涯91年の真実』田中啓史訳、晶文社、286頁
^ ポール・アレクサンダー『サリンジャーを追いかけて』田中圭史訳、DHC、145頁
^ ただし1956年に財政的な不安から「笑い男」の映画化権を売り込んだことがある。(スラウェンスキー、436頁)





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