この項目では、鎮咳去痰薬について説明しています。ロックバンドについては「コデイン (バンド)」をご覧ください。
コデイン
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名
(5α,6α)-7,8-didehydro-4,5-epoxy-3-methoxy-17-methylmorphinan-6-ol
臨床データ
MedlinePlusa682065
コデイン(英: Codeine)またはメチルモルヒネは鎮痛、鎮咳、および下痢止めの作用のある、μ受容体アゴニストのオピオイドである。塩の形態の硫酸コデインもしくはリン酸コデインとして製品化されている[1]。リン酸コデインは鎮痛剤(疼痛の緩和ケア[2])や下痢止めとして用いられるが、コデインを還元して製造したジヒドロコデインを鎮咳薬(咳止め薬)として風邪薬に配合するのが一般的である。コデインは1832年にアヘンから単離された。プロドラッグであり、代謝産物の約10%がモルヒネとなる。
コデインは世界保健機関(WHO)の必須医薬品に定められている。WHO方式がん性痛治療法では、第2段階の弱オピオイドの第1選択薬に指定されている。日本の処方箋医薬品としては、劇薬に区分される。乱用されやすく、国際条約である麻薬に関する単一条約が、コデインをスケジュールII薬物に指定している。 コデインは、1832年にフランスの薬学者ピエール=ジャン・ロビケ(Pierre Jean Robiquet)によって、アヘンからテバインと共に単離されたことで発見された。 国際条約である1961年の麻薬に関する単一条約が、コデインをスケジュールII薬物に指定している。 アヘン由来の天然化合物ベンジルイソキノリン型アルカロイドだが、コデインはアヘン中のアルカロイドとして0.7 - 2.5%ほどしか含まれない。化学構造上モルヒネに類似し、フェノール環3位のOH基がメチル置換されたメチルモルヒネであるため、アメリカ合衆国内で使用されているコデインはモルヒネをO-メチル化して合成されている。 日本の厚生労働省において認可されている使用方法は以下のようになっている。 投与方法は経口で、形状は錠、散、シロップがある。錠剤ではコデインはしばしばアセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンと共に調合される。これらの組み合わせは、それぞれ単体での使用よりも良い疼痛コントロールが可能となる。 純粋なコデインの使用量が1回60mg、24時間につき240mg以上は投与されない。これは天井効果により、投与量を多くしても効果は投与量に比例して大きくならないからである。反対に副作用が強くなる恐れがある。 コデインを含む製剤は多くの国で一般用医薬品(OTC医薬品)としても販売されている。しかし、このような形で使われるコデインの急性咳に対する有効性にはエビデンスがないというメタアナリシスもある[4]。 一般的な副作用は、掻痒感、吐き気、嘔吐、眠気、口内乾燥感、瞳孔縮小、起立性低血圧、排尿障害、便秘[5]、目眩[1]、薬疹[6]。 ほとんどの副作用への耐性、および作用への耐性は長期連用と共に形成する。これは作用または副作用毎に形成される速度は異なる。たとえば便秘を含む作用への耐性形成は、遅い。 潜在的に深刻な副作用は他のオピオイドと同様に呼吸抑制である。この抑制は用量依存であり、この呼吸抑制が過量服用時に深刻な結果をもたらす。 長期内服からの離脱時において、著しい抑うつ状態を呈する[7]。
効能・効果
各種呼吸器疾患における鎮咳・鎮静
疼痛時における鎮痛
激しい下痢症状の改善
歴史
合成
適応
12歳未満の小児には投与禁止
上気道炎、急性気管支炎に伴う咳嗽及び喀痰喀出困難
激しい下痢症状の改善
軽度から中程度の慢性疼痛時における鎮痛[3]
医薬品
副作用
禁忌
重篤な呼吸抑制のある患者。(呼吸抑制が増強される)[1]
気管支喘息発作中の患者。(気道分泌が妨げられる)[1]
重篤な肝障害のある患者。(昏睡に陥る可能性がある)[1]
慢性肺疾患に続発する心不全の患者。(呼吸抑制や循環不全が増強される)[1]
痙攣状態(てんかん重積症、破傷風、ストリキニーネ中毒)の罹患患者[1]。
急性アルコール中毒の患者。(呼吸抑制が増強される)[1]
アヘンアルカロイドに対する過敏症を有する患者[1]。
出血性大腸炎の患者。(重篤な細菌性下痢、腸管出血性大腸菌や赤痢菌等の患者では、症状の悪化、治療期間の延長を生じる可能性がある)
授乳による乳児の死亡
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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