ココナッツカダンカダンウイロイド
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ココナッツカダンカダンウイロイド
分類

階級なし:Subviral agents
階級なし:ウイロイド Viroids
:ポスピウイロイド科
Pospiviroidae
:コカドウイロイド属
Cocadviroid
:ココナッツカダンカダンウイロイド
Coconut cadang-cadang viroid[1]

学名
Coconut cadang-cadang viroid
Anon; Imperial et al.,, 1985
シノニム

CCCVd

ココナッツカダンカダンウイロイド (Coconut cadang-cadang viroid) とは、ポスピウイロイド科コカドウイロイド属に属するウイロイドである[1]ヤシ科の植物に対して致死性の病気であるカダンカダン病の病原体である。遺伝子を構成するヌクレオチドの数は最小で246しかなく[2]アボカドサンブロッチウイロイド (Avocado sunblotch viroid) と並んで[3]、全ての生物ウイルスの中で最小のゲノムを有する。名称が長いのでしばしばCCCVdと称される。
概要

CCCVdは、名称が示す通りココナッツを生産するココヤシ (Cocos nucifera) に対して重篤な病気をもたらす事で知られている。病気としての発見は1927年から1928年フィリピンサンミゲル島で報告された事が最初である[4]病原体としてCCCVdが記載されたのは1985年である[5]

CCCVdの外観は円形または直線状の1本鎖RNAである。ゲノムサイズは非常に小さく、ヌクレオチドの数は最小のものでわずか246である[2]。このうちの44の配列は他のウイロイドにもよく見られる。また、タンパク質は一切コードしていない。CCCVdのゲノム[2]
1 - 50 CUGGGGAAAU CUACAGGGCA CCCCAAAAAC UACUGCAGGA GAGGCCGCUU 51 - 100 GAGGGAUCCC CGGGGAAACC UCAAGCGAAU CUGGGAAGGG AGCGUACCUG101 - 150 GGUCGAUCGU GCGCGUUGGA GGAGACUCCU UCGUAGCUUC GACGCCCGGC151 - 200 CGCCCCUCCU CGACCGCUUG GGAGACUACC CGGUGGAUAC AACUCACGCG201 - 246 GCUCUUACCU GUUGUUAGUA AAAAAAGGUG UCCCUUUGUA GCCCCU

CCCVdは上記にあげたゲノム配列の197位にシトシンを1つ追加した247の長さを持つ変異体もよく知られている。CCCVdによる病気は、この変異体が引き起こす[6]

CCCVdが感染する植物はヤシ科 (Arecaceae) に属する。自然界ではココヤシ、タラバヤシ (Corypha utan) 、ギニアアブラヤシ (Elaeis guineensis) Oreodoxa regia で発見されている。実験室ではビンロウ (Areca catechu) 、アレカヤシ (Dypsis lutescens) 、ナツメヤシ (Phoenix dactylifera) 、ダイオウヤシ (Roystonea regia) 、Adonidia merrillii 、Caryota cumingii 、Saribus rotundifolius 、Ptychosperma macarthurii への感染が知られている[7]

ゲノムが非常に似ているものにココナッツチナンガヤウイロイド (Coconut tinangaja viroid, CTiVd) があり、これは254の長さを持つが[8]、ゲノム配列が約64%も類似している。チナンガヤ病と呼ばれる症状も非常によく似ており区別はしがたいが、CTiVdはグアムに生息しており、フィリピンに生息するCCCVdとは分布が一致しない[9]
分布

CCCVdはフィリピンに多く分布しており、ビコル地方マスバテ州カタンドゥアネス州サマル州、およびこれらの地域に点在する小さな島々に特に多くみられる。生息地の北限はマニラ、南限はホモンホン島にあり、これはココヤシやアブラヤシの主力生産地であるミンダナオ島に接している点で重要である[5]
カダンカダン病
感染

CCCVdの感染は、主に収穫に用いられる鎌や鉈による機械的な接触によるもので、適切な衛生環境が保たれていない状態で、CCCVdが付着している刃物によって傷つけられることで感染する。一方で、CCCVdが自然状態でどのように広がるかはよくわかっていない。花粉や種子を通じて広がる可能性があるが、その伝達速度は非常に遅く、実験では病気の個体の花粉を受粉した健康な個体が症状を示すまでに6年かかった。昆虫によるCCCVdの媒介は、鞘翅目 (coleopteran insects) による媒介が一部示されているものの、適切な調査が行われておらず詳細は不明である[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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