コクーン・ワールド
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ファイブリアは、友野詳によって創作された架空のファンタジー世界、およびその世界を舞台とした一連のライトノベル作品シリーズの総称。

RPGマガジン1991年2月号に掲載されたソード・ワールドRPGリプレイにおける舞台として「地底世界クリュオ」が設定され[1]、後に独立したライトノベルシリーズとして小説化された際、ソード・ワールドとは似て非なる世界としてファイブリアが発表された。その経緯ゆえに、世界の名前を含めた多数の設定が、ソード・ワールドの背景世界フォーセリアパロディになっているが、ダンジョンズ&ドラゴンズバトルテックなど、他のSFやファンタジーを元ネタにしたパロディも多い。特撮ネタも多用されている。目次

1 世界概略

2 地理

2.1 アレクファースト大陸

2.1.1 魔法帝国カスフォール


2.2 “コクーン・ワールド”クリュオ

2.3 “祝福された島”ミティス

2.4 暗黒界

2.5 その他


3 神

3.1 創造神

3.2 六大神

3.3 その他の神々


4 種族

5 魔法

6 関連作品

6.1 角川スニーカー文庫

6.2 角川スニーカーG文庫

6.2.1 ガープス

6.2.2 ライブノベル


6.3 富士見ドラゴンブック

6.4 その他


7 脚注

8 関連項目

世界概略

舞台となる世界ファイブリアは、伏せた皿状の平面的な世界であり、ファイブリアを創り出した創造神によって下から支えられる形で宇宙に浮かんでいる。皿といっても極めて大きなものであるため、大陸や海のある地上から底辺まではそれなりの距離があり、その中に地底世界クリュオや悪魔たちのすむ暗黒界が存在している。世界の遥か上部には、星や世界を支える紐が吊るしてある「宇宙天井」があり、下部には混沌とした未分化のエネルギーや物質がたゆたう「宇宙海面」がある。ただし、以上の世界図はあくまで神(および読者)の視点によるものであり、ファイブリアの住人がこれらの状況を完全に把握しているわけではない。ある時期に、世界全体が大きく傾くという大異変が生じたことがあり、この状態の世界を「ティルト・ワールド」とも称する。

ファイブリアは宇宙における単一の世界ではなく、同格の創造神たちが創った世界が多数存在している[2]。これらの世界に共通した、宇宙を支配する根本原則が「幸運と不幸」である。幸運と不幸は常に平均的に存在し、どこかで幸運な出来事があれば、別のどこかで不幸が起きてバランスがとれるようになるという。創造神を含めた宇宙全ての存在はこの幸運と不幸の天秤に縛られている。幸運と不幸はそれゆえに強大なエネルギー源でもあり、創造神たちによる世界創造の源動力としても活用されていたが、あるとき創造神の1柱が誤って宇宙に大量の幸運と不幸をぶちまけてしまい、全宇宙的に幸運と不幸の分布が偏ってしまうという災禍が発生した。このときファイブリアの創造神が考え出したのが、地上に住む知的種族、すなわち人間に溢れた幸運と不幸のエネルギーを消費させることであった。また、幸運と不幸を消費した人間は、波乱万丈の体験に揉まれて大きく成長していくため、長期的には創造神の後継者として世界を支える役を肩代わりできる者が生まれるのではないかとも期待されている。ゲームにおけるプレイヤーキャラクターは、このような幸運と不幸に翻弄される運命を与えられた「幸運と不幸の戦士」[3]となることを義務付けられている[4]
地理
アレクファースト大陸

ファイブリアにおける面積・人口ともに最大の大陸。「賢人の王国」ラオンなど多数の王国が存在する。経済は「パチール」銀貨を基準とした貨幣経済が広まっている。大陸の名前の元ネタはフォーセリアのアレクラスト大陸から。
魔法帝国カスフォール

かつて、アレクファースト大陸を中心とした「魔法帝国カスフォール」が地上全域を席巻したことがある。帝国臣民は、額に「クォレ」と呼ばれる水晶を付けることを義務付けられ、このクォレを介して魔法を使うための精神力を徴収し、大量の魔法力を安定供給してマジックアイテムを量産していた。経済は魔晶石と呼ばれる魔法力を蓄えた宝石を通貨として使用しており、貨幣単位は「セイシンテン」。

カスフォールは500年ほど前に滅びたとされるが、その原因は不明である。滅亡の直前に、超歴史心理学者バリー・ケルダンによって、帝国の英知を保存した百科事典の編纂が行われていたが、後世にその百科事典が活用されたとの記録はない。一説には、百科辞典編纂の拠点であった辺境の村が、超能力を持った白いラバに壊滅させられたからだとも言われている[5]

名前の元ネタは古代魔法王国カストゥールから。
“コクーン・ワールド”クリュオ

古代帝国カスフォールが神々に対する信仰を弾圧した際、信仰を捨てることを拒んだ者たちが発見し移住した地底大空洞。二つの円がくっついた繭のような形であることから、カスフォール語で「繭」を意味する「クリュオ」の名で呼ばれている(「神殿」を意味する「クーリオ」とも関係があると言われている)。そもそも隠れ里であるため地上の人々には全く知られていない。またクリュオ人たちも地上に関する知識をほとんど失っており、過去の弾圧の記憶から「地上というのはとにかく恐ろしい世界だ」と思い込んでいる。まれに地上から冒険者がクリュオに迷い込むこともあるのだが、上記の理由からクリュオ人に正体を明かすことはまずない。特に神への信仰心が薄かった森妖精と草原妖精はクリュオに住んでおらず、見つかれば最悪の場合怪物扱いされる。岩妖精は居住しているが、クリュオではドワーフと呼ばれている。鉱脈が洞窟の壁に露出しているため貴金属の価値は低く、経済はクリュオ中央の「湖」で取れるパラパ貝の貝殻を使った「シェル」硬貨が基準となる。植物は天井のヒカリゴケとキノコやシダ類が中心で、一部地域でのみ生育する樹木や野菜、果物などは贅沢品とみなされる。主な家畜はアングラット(巨大ネズミ)など。

歴史的経緯から住人のほとんどが信心深く、また人のいうことを素直に信じてしまう質である。ただし長い時間の間に地上とクリュオとでは信仰内容が著しく変化してしまっている。
“祝福された島”ミティス

かつて神々の大喧嘩があった際、慈愛の女神ラーファと邪悪な収集神カードディスが戦った島。その際にラーファの慈愛とカードディスが収集していた食物の源がこぼれ落ちたため、豊かな常春の島と化した。大地の恵みは豊かだが、ファイブリアの端に属し、島の一部が宇宙に突き出している危険な場所でもあり(事実、世界が傾いた騒動の際には多くの者が虚空へと転落していったという)、よほどののんき者以外は住んでいない。バーガー、パッヘルベルなどの国があるようだが、まともな国家として成立しているかは疑問である。島の元ネタはフォーセリアの「呪われた島」のロードス島から。
暗黒界

クリュオよりもさらに深部にある、邪神とその眷属である悪魔たちが住まう世界。ダラディス神の統べる「奈落(アビス)」、カードディス神の統べる「汎魔殿(ハンデモニウム)」など、支配者の特性を反映した複数の陣営に分かれ、互いに争っている。人間の魂を働かせてエネルギーを得る「魂力(ソウルエナジー)」システムが確立されており、悪魔たちは労力となる魂を求め、人間との契約による魂の獲得に務めている。まれに肉体を持ったまま暗黒界に到達する人間もおり、そういった人間は幸運と不運の力を強力に使いこなす「能力」に目覚めることが多いため各陣営から熱烈歓迎される。
その他

暗黒界と対極をなして、光の神々が住まう「天界」が存在するとされているが、作中で取り上げられていないこともあって良く分かっていない。また、地上にもこれまで説明した場所のほかに、神木から特殊な「才能(タレント)」を与えられた「ベジタブルマスター」たちの住む「神木の大陸クリスタルニア」、また「秩序の地」、「あなたの地」などが存在する。それぞれの元ネタはフォーセリアの「神獣の民」が住まうクリスタニア大陸「混沌の地」のケイオスランド「彼方の地」ファーランドから。

ファイブリアには、強い力を持った「神」が実在する。「神」は、世界の基礎を作り上げた「創造神」と、その創造神によって創られ、世界創造を助けた神々とに分けられるが、ファイブリア一般においては創造神の存在はほとんど知られておらず、「神」と言うと通常、後者の神々を指す。人間をはじめとしたファイブリアの諸種族は、神々の仕事や性格を断片的に解釈して信仰や教義を確立している。特にクリュオでは、外部との交流が絶たれた結果、信仰の形が大きく変質してしまった。
創造神

世界の基礎を作り出した存在。現在はファイブリアへの直接的な関与をほとんど行っておらず、ファイブリアを下から支える作業に専念している。将来的には人間の中から自分の後継者に足りるものが生まれ、世界を支える役目を引き継いでくれることを期待しているらしい。


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