コウマクノウキン門
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 コウマクノウキン門
カワリミズカビ属(Allomyces)
分類

:菌界 Fungi
:コウマクノウキン門 Blastocladiomycota

学名
Blastocladiomycota T.Y.James, 2007[1]
タイプ属
コウマクノウキン属 Blastocladia Reinsch, 1877[1]
シノニム


Allomycota Caval.-Sm.1981 nom. nud.[1][2]

英名
 blastoclads[3][4], blastodads[3]
下位分類群


フィソデルマ綱 Physodermatomycetes[注 1]

コウマクノウキン綱 Blastocladiomycetes

コウマクノウキン門(コウマクノウキンもん)(学名: Blastocladiomycota)は菌界に属するの1つであり、215種ほどが知られている。「コウマクノウキン」の名は「厚膜嚢菌」を意味しており、この門の生物が厚い細胞壁で覆われた休眠胞子嚢をつくることに由来する[5]。後方へ伸びる鞭毛を1本もつ遊走子を形成し、この特徴から21世紀初頭まではツボカビ門に分類されていたが、分子系統学的研究から系統的にやや異なることが示され、独立の門として扱われるようになった。

単細胞のものから発達した菌糸をもつものまである。腐生性(植物遺体などを分解)で淡水や土壌に生育しているものが多いが、ボウフラなど動物に寄生するものもおり、また植物寄生性で農作物に被害を与えるものもいる。基本的に単相の配偶体と複相の胞子体の間で世代交代を行う点で、菌類の中では特異である。
特徴
体制

菌体の体制は多様であり、単細胞で1個の遊走子嚢になるもの(単心性)から、複数の遊走子嚢を形成するもの(多心性)、さらに発達した菌糸を形成するもの (mycelial) まである[3][4][6][7](下図1)。ふつう仮根 (rhizoid) によって基質に付着し栄養を吸収しているが(下図1b, c)、仮根を欠き全実性(菌体全体が遊走子嚢になる)のものもいる[3][6]。菌糸は無隔壁、または不完全な隔壁をもつ[3](下図1c)。細胞壁キチンを含む[4][6]。寄生性の種の中には、宿主内で仮根や細胞壁を欠く多核体として生育し、分断して分節菌体 (hyphal body) を形成して増殖するものもある[3][6][8]。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}1a. フシフクロカビ属(Catenaria)は分実多心性で遊走子嚢が細い菌糸でつながっている。線虫(茶色部分)体内に寄生している。1b. コウマクノウキン属(Blastocladia)の菌体は樹木状で基部から多数の仮根が生じており、頂端部に多数の胞子嚢を形成する。1c. カワリミズカビ属(Allomyces)は菌糸と仮根からなる菌体を形成する。
生活環

有性生殖が知られているものでは、コウマクノウキン門の菌類は基本的に単相染色体を1セットもつ)の配偶体(gametothallus, gametophyte)と複相(染色体を2セットもつ)の胞子体(sporothallus, sporophyte)の間で世代交代を行う[3][4][9][5](下図2)。配偶体と胞子体がほぼ同形同大であるもの(同形世代交代)から一方の世代が小さいもの(異形世代交代)があるが、一方の世代を欠くものもある[3][4][7][8]2a. カワリミズカビ属(Allomyces)の生活環: この種では単相 (1n) の配偶体 (gametothallus) と複相 (2n) の胞子体 (sporothallus) はほぼ同形であり、二叉分枝する菌糸仮根 (rhizoids) からなる。配偶体は配偶子嚢 (gametangium) を形成、放出された雌雄の配偶子は合体 (anisogamy, P!)、核融合 (K!) して接合子 (zygote) となる(図ではヘテロタリック)。接合子から発達した胞子体は遊走子嚢を形成して体細胞分裂によって遊走子 (栄養胞子 mitospore) を形成、無性生殖を行う (asexual)。また胞子体は有色の休眠胞子嚢(下)を形成、この中で減数分裂 (M!, meiosis) を行い遊走子 (減数胞子 meiospore) を形成、これが配偶体になる。2b. ボウフラキン(Coelomomyces)の生活環: 配偶体 (gametothallus) はカイアシ類 (copepod) 体内に寄生し、配偶子 (gamete) を形成、放出された同型配偶子 (+, -) が合体 (isogamy, P!)、核融合 (K!) して接合子 (zygote) となる(図ではヘテロタリック)。接合子はカの幼虫(ボウフラ、図は成虫)に感染 (infection) して胞子体 (sporothallus) となる。胞子体で形成された休眠胞子嚢(resting sporangium; 下)はボウフラから放出され (liberation)、減数分裂 (M!) して遊走子 (減数胞子 meiospore) を形成、カイアシ類に感染する。

配偶体は配偶子嚢を形成し、その中に配偶子をつくる(上図2a, b)。相補的な性(配偶子に大小がある場合は雌雄とよばれる)の配偶子嚢が別々の菌体に形成されるもの(雌雄異体)と、同じ菌体に形成されるもの(雌雄同体)がある[3][4]


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