コインロッカー・ベイビーズ
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、村上龍の小説について説明しています。日本のバンドについては「コインロッカー・ベイビーズ (バンド)」をご覧ください。

コインロッカー・ベイビーズ
訳題Coin Locker Babies
作者村上龍
日本
言語日本語
ジャンル長編小説
発表形態書下ろし
刊本情報
出版元講談社
出版年月日1980年10月28日
受賞
第3回野間文芸新人賞
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
テンプレートを表示

『コインロッカー・ベイビーズ』は、村上龍長編小説野間文芸新人賞受賞作品。
概要

1980年昭和55年)10月28日、講談社より上下巻の単行本として刊行された。

当時起こったコインロッカー幼児置き去り事件を題材とし[1]、生後間もなくコインロッカーに捨てられ、その後蘇生したキクとハシによる、都市への復讐を描いた小説である[2]1981年(昭和56年)の第3回野間文芸新人賞を受賞した[3]

1981年(昭和56年)8月、FM東京にてラジオドラマが放送され、2016年平成28年)には舞台化作品が上演された。
あらすじ

1972年(昭和47年)7月12日、駅のコインロッカーに遺棄されていた乳児が発見された。乳児院で「関口菊之」と名付けられたこの子供は、仲間に「キク」と呼ばれるようになる。同じ院にいた溝内橋男、通称「ハシ」と交友を結ぶようになる。

小学校入学を来年に控えた夏、二人はまとめて西九州の離島の桑山家に引取られる。かつて炭鉱で栄えた島の廃墟を探検していた二人は、廃墟の映画館に住むオートバイ乗りの男「ガゼル」と出会う。ガゼルは映画館で自ら上映した小笠原諸島の映画を見ながら「ダチュラ」と呟き、その後キクに、「人を片っぱしから殺したくなったらこのおまじないを唱えるんだ」と言い、この「ダチュラ」という言葉を教える。

高校一年生の秋、ハシは母親を探すと言い、置手紙を残して東京へ出奔した。半年経った1989年(平成元年)の夏、キクは養母の和代と共にハシを探す東京への旅行に出るが、和代は東京で体調を崩し、死亡する。キクは島へ戻ることを拒み、思い出した「ダチュラ」の意味を調べ始める。本屋で店員の協力を得て、ダチュラが米軍の開発した、まれに見る凶暴性を発現させる神経兵器の名であり、かつて精神高揚剤にも使われていたことを知る。

代々木公園のアンツーカー施設で棒高跳びの練習をしていると、運動靴のコマーシャルフィルムの撮影が始まり、キクは背景として出演を依頼される。キクは花嫁衣装を着たモデルの少女、「アネモネ」と話をする。キクは彼女を連れ、鉄条網に囲まれた立入禁止の区域・薬島へ、ダチュラを探しに向かう。フィリピン人のタツオに手助けされてアネモネと薬島に潜り込んだキクは、ハシとの再会を果たす。ハシは長く髪を伸ばし、化粧をしていた。ハシは「僕はホモなんだよ」と言い、ミスターDという男に見込まれもうすぐ歌手としてデビューするのだと話す。

キクはアネモネの本棚にあったスキューバ・ダイビング愛好者の雑誌の記事にあった事件から、小笠原諸島カラギ島のウワネ海底洞窟にダチュラが沈められていることを悟る。キクはアネモネに、ダチュラで東京を廃墟にする計画を打明け、彼女が会員権を持つヘルス・クラブでダイビングの練習を始める。

ハシを売り出したミスターDはドキュメンタリー番組でハシと再会させるため、「便利屋」の男にハシの母親の居所を探させ、沼田君枝という女が1972年の夏に横浜市内のコインロッカーに嬰児を遺棄したことを突き止める。しかしハシは東京へ飛び出してきた手掛かりとなった本の老作家に会い、自分の母親は一昨年に死んでおり、君枝はキクの母親であることを知る。キクはミスターDの計画を阻止しようとアネモネの部屋を飛び出し、ハシにその事実を告げられると、タツオから預かっていた拳銃で君枝を射殺した。キクは多くの人間の同情を買い、懲役5年の刑を科せられた。少年刑務所でキクは、山根、中倉、林らと知り合う。

アネモネはマンションをはじめとする財産を処分して2億円を超える金を作り、モデルの契約も破棄し、キクのいる少年刑務所へ向った。その途中、サービスエリアで出会った運転手に煽り運転をされ、アネモネの飼っていたワニのガリバーは路上に放り出されて轢死する。

その頃、ハシのレコードは驚異的に売れており、ハシはニヴァと結婚していた。

函館に着いたアネモネと面会した際にキクは、訓練の実習航海に出る際に船を陸路で追ってほしいと伝える。やがて実習航海が始まり、途中、遭難したタイの密漁者を救助した際、中倉は拳銃をその男から手に入れる。

やがて台風が来たため、実習生たちは宮城県の睦郡港の倉庫に避難する。そこへ密漁船を救助した訓練生のインタビューのためにテレビ局のスタッフたちがやってくる。インタビューの最中、山根が突如として暴れ出し、警官ら数名を素手で殺害した。中倉が人質をとって警官たちを拳銃で脅迫し、キクと林と共に脱走する。3人は凶悪脱走犯として全国へ手配されたが、無事にアネモネと合流し、台風の過ぎ去った海をパワーボートでカラギ島へと向った。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:56 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef