ゲンゴロウ
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この項目では、ゲンゴロウ類のうち「ゲンゴロウ」を標準和名とする代表種について説明しています。

本種を含むゲンゴロウ類全般については「ゲンゴロウ類」をご覧ください。

本種を含むゲンゴロウ科の1については「ゲンゴロウ属」をご覧ください。

ゲンゴロウ

保全状況評価
絶滅危惧II類(環境省レッドリスト

分類

:動物界 Animalia
:節足動物門 Arthropoda
:昆虫綱 Insecta
:コウチュウ目(鞘翅目) Coleoptera[1]
亜目:オサムシ亜目(食肉亜目) Adephaga[注 1][1]

水生食肉亜目 Hydradephaga[1]

上科:オサムシ上科 Caraboidea
:ゲンゴロウ科 Dytiscidae[2]
亜科:ゲンゴロウ亜科[3](Dytiscinae[4] または Cybistrinae[注 2][6]
:ゲンゴロウ族[4] Cybistrini[4][6]
:ゲンゴロウ属[4] Cybister[8][6]
:ゲンゴロウ C. chinensis

学名
Cybister chinensis Motschulsky, 1854[9]
シノニム
Cybister japonicus Sharp, 1873[9][10]
和名
ゲンゴロウ[RL 1]

ゲンゴロウ(竜蝨・源五郎[11]、Cybister chinensis Motschulsky, 1854[注 3] / ナミゲンゴロウ・オオゲンゴロウ・ホンゲンゴロウなどの別名あり)は、コウチュウ目ゲンゴロウ科ゲンゴロウ亜科ゲンゴロウ属水生昆虫[14]。日本産のゲンゴロウ類[11]・および水生甲虫類としては最大種である[注 4][17]

かつて日本では一部地方で食用にされるほど高密度で生息し、秋に多産する生息池の水を落とした際には多数採集できた[17]。このようにかつて身近な昆虫だった本種はタガメと並び「日本の水田の昆虫」の代表格として挙げられたが[18][19]2020年現在は生息環境破壊・侵略的外来種の侵入・乱獲などにより日本全国で著しく減少し絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)に指定されている[RL 1]
名称

本種は漢字で「源五郎」と表記するが、その語源には以下の説がある[20]

江戸時代後期・1834年(天保5年)に大石千引が記した語源解説書『言元梯』によれば[21]、本種の名称「ゲンゴロウ」は「玄甲」もしくはその読み下し「げんがはら」が語源とされる[20]。ゲンゴロウの姿・小動物を捕食する生態が「玄甲」に見立てられたと考えられる[20]

増井金典は「でんぐりかえろ」(旋回する、の意味)が「ゲンゴロウ」の語源と推測している[22]

「語源は不明」とする説もある[23]。この語源不明説を扱った文献では「『源五郎』と称する生物名には他に『源五郎』『源五郎鮒』がおり、前者は『毛黒狐』(けぐろきつね)の訛りという説があるほか、後者は『大言海』にて人名由来説・『夏頃(けごろ)』の延という説の2説が紹介されているが、いずれも確かな語源はわからない」と解説されている[23]

なお本種の和名は単に「ゲンゴロウ」ではあるが、「ゲンゴロウ」の名称は本種に限らずゲンゴロウ類(ゲンゴロウ科)の総称としても用いられる[24]。そのため特に普通種だった本種を指す場合はゲンゴロウ類全体と区別できるよう、「ナミゲンゴロウ」「オオゲンゴロウ」「ホンゲンゴロウ」「タダゲンゴロウ」とつけられた。

都築・谷脇・猪田 (2003) は「漢字で『源五郎』と書く人名のような和名が大変親しみやすい印象を与えており『他の水生昆虫の名前を知らなくても“ゲンゴロウ”の名前は知っている』人も多い」と述べているほか[25]三木卓も自著で「この虫をかつて愛した人たちの親愛感が『源五郎』という名前に残っている」と形容している[26]
異名

竜蝨(りゅうしつ)の異名があるほか[24]、一部地方ではヘビトンボの幼虫と同じく本種幼虫を孫太郎虫(まごたろうむし)と呼称する場合がある[27]。このほかかつて食用に用いていた長野県ではガムシとともにトウクロウ・秋田県では同じくヒラツカの地方名で呼ばれたほか[28]新潟県方言では成虫をガムシとともに「ガメ」「ガメムシ」「ガマ」「ワッパムシ」など、幼虫を「キイキムシ」と呼称した[12]

幼虫は凶暴性から英語で Water Tiger(水中のトラ) および Water Devil(水中の悪魔)と呼ばれるほか[29]、日本でも凶暴性・体躯がムカデを連想させることから「田のムカデ」[30]「水ムカデ」などの異名で呼ばれる[31]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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