画用紙(がようし、英: drawing paper)とは、図画の支持体に用いられる厚手の洋紙である。白無地が一般的であるが、着色紙で作られた色画用紙(いろがようし、英: construction paper)もある。カード類やペーパークラフトなどの工作・手芸の材料にも使われる。 文献上ヨーロッパにおいて画用紙(drawing paper)の語が現れるのは18世紀末であるが[1]、それ以前から図画に紙は使われていた。麻ぼろなどを原料とする製紙技術が中国から西周りにヨーロッパへ伝わるのは11世紀頃であるが、それ以前から存在する羊皮紙と比べ水分との相性が良く、淡彩のような絵画技法も紙によって成立する[2]。画用紙を含む洋紙の製法は、イタリアのファブリアーノにおける膠サイズの発明(13世紀)、イギリスのジェームス・ワットマン
歴史
着色紙は15世紀頃には図画に使われており、原料ぼろの残留インディゴ色素を含んだVenetian blue paper(伊: carta azzurra)と呼ばれる青い紙がヴェネツィアで製造され、ヴェネツィア派の画家や影響を受けたアルブレヒト・デューラーらがキアロスクーロ素描に用いた[7]。青の他にも夾雑物により黄色や灰色がかった紙が存在し、これらはパステル画家やターナーのような水彩画家に使われている[8]。現代の華やかな色画用紙に近いものが作られるのは、合成染料が発明される19世紀以後であり、折しもフリードリヒ・フレーベルによって提唱された幼稚園創設の世界的波及を契機に、そこで使われる教材(恩物とその発展形)として安価な機械パルプ製の学童用色画用紙が作られるようになった。
特徴カートリッジ紙に描かれた水彩画(トマス・ガーティン、Warkworth Castle, Northumberland、1798年頃、41.6 cm × 55.2 cm、イェール・ブリティッシュ・アート・センター(英語版))
良質なものほど化学パルプ(セルロース純度が高い)の比率が高く、中性紙として、経年保存性に配慮して作られる。印刷用紙では平滑性が求められるが、画用紙では(ケント紙など一部の紙種を除いて)逆に適度な紙肌の凹凸が施される。また消しゴム修正や水性画材への耐性のため、表面の強度、消しやすさ、毛羽立ちにくさが求められる。鉛筆デッサンなどに適する一般的な画用紙は画学紙(ががくし)とも呼ばれる。海外での類似紙種にはカートリッジ紙(英語版)がある。
ケント紙は平滑な画用紙で、製図やイラストレーション、名刺等に使用される。硬筆やインクとの相性が良く、にじみにくさと吸収性を持つ。ケント紙の名はかつてイギリスのケント州から輸入されていたことに由来するが、日本でのみ通用する呼称である[9]。国産品は1918年に日本海軍用の海図用紙として三菱製紙で製造されたものを始まりとする。海外での類似紙種にはブリストルボード(英語版)がある。